労災事故等によって、労働者側が何らかの経済的利益を得た場合は? 損益相殺


労災事故等により、労働者側が何らかの経済的な利益を得た場合、つまり、労災事故がなければ得られなかったはずの利益には、その利益分について、加害者側は損害賠償額から控除することが可能になります。この利益を控除することを損益相殺といいます。

損益相殺の対象となるものは、労災保険給付金、労災上積補償金、障害厚生年金、遺族厚生年金などがあります。

労災保険給付金としては、①療養補償給付、②休業補償給付、③障害補償給付、④遺族補償給付、⑤傷病補償年金、⑥介護補償給付、⑦葬祭料などがあります。

労災上積補償金とは、使用者の側で、労災保険からの補償では必ずしも十分とはいえない場合に備えて、労災保険の保険金にプラスして補償を行う制度です。法律で義務付けられた制度ではなく、使用者が独自の立場から補償を行うことができます。

そのため、使用者に裁量が認められ、支給要件も補償対象者も労災保険に合わせる必要がないので、例えば支給対象事由を死亡または重傷者に限定するとか、目的を精神的苦痛に対する慰謝目的にする等が考えられます。

年金について、障害厚生年金、遺族厚生年金は損益相殺の対象となりますが、老齢厚生年金は損益相殺の対象になりません。

裁判所のイメージ画像過去の裁判例でも、

<東京地裁八王子支部平成15年12月10日>では、
・遺族補償前払い一時金
・葬祭料

が損益相殺の対象とされ、

<名古屋地裁平成15年8月29日>では、
・療養補償給付
・休業補償給付
・障害補償一時金

が損益相殺の対象とされました。

 

 

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