解雇とは?|種類や解雇する上での注意点【弁護士解説】

監修者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

解雇とは

解雇とは、会社が従業員をやめさせることをいいます。

より法律的な言い方をすると、「解雇」とは、「使用者(会社)の一方的な意思表示によって労働契約を解約すること」をいいます。

つまり、労働者が「やめたくない」と思っていても、労働者の意思に関係なく、会社だけの意思で労働契約を終わりにするのが「解雇」です。

一般に「会社をクビになった」という表現がありますが、この場合の「クビ」は「解雇」のことを指すことが多いといえます。

 

ワンポイント:会社のやめ方の3パターンー解雇・自主退職・合意退職

従業員が会社に雇用されて働いている場合、その従業員(労働者)と会社(使用者)の間には、労働契約が存在しています。

従業員が会社をやめるということは、法律的にいうと、この労働契約を解約するということです。

労働契約の解約には、「誰の意思で労働契約を解約するか」によって、次の3パターンがあります。

労働契約の解約の種類(会社のやめ方) 誰の意思で労働契約を解約するか
解雇 会社だけの意思で労働契約を解約する。
自主退職 従業員だけの意思で労働契約を解約する。
※従業員が普通に退職届を提出して会社をやめる場合は、この「自主退職」になります。自主退職は「自己都合退職」などと呼ばれることもあります。
合意退職 会社と従業員がお互い合意して労働契約を解約する。

 

会社による自由な解雇はできない

「解雇」は使用者(会社)だけの意思で従業員(労働者)との労働契約を終了させるものですが、じつは、会社は、いつでも自由に従業員を解雇できるわけではありません。

日本の労働法のもとでは、会社は、ある一定の条件を充足した場合でなければ従業員を解雇できないことになっています。

必要な条件を充足せずに会社が従業員を解雇すると、その解雇は違法な解雇(いわゆる不当解雇)となります。

このルールのことを「解雇権濫用の法理(かいこけんらんようのほうり)」といいます。

会社が不当解雇をしてしまった場合には、その解雇が無効になったり、従業員に対して損害賠償を支払う義務が生じるなど、会社にとって大きな不利益になることがあります。

会社が従業員を解雇したい場合は、解雇に必要な条件がそろっているかどうかを事前にしっかりと確認することが必要です。

 

 

解雇の種類

会社が従業員を解雇するために必要な条件は、解雇の種類によって異なります

会社が従業員を解雇しようとする場合、まずは、その解雇がどの種類の解雇であるかを見極めましょう。

解雇の種類は、大きくわけて次の4種類です。

  • 普通解雇
  • 整理解雇
  • 懲戒解雇(ちょうかいかいこ)
  • 諭旨解雇(ゆしかいこ)

 

①普通解雇

普通解雇とは、以下の②から④のどれにもあてはまらないタイプの解雇のことをいいます。


 

②整理解雇

整理解雇とは、会社の経営上の理由で行う解雇のことをいいます。

たとえば、会社が、赤字を出し続けている支店を閉鎖することを決定した場合に、その支店に所属している従業員をやむを得ず解雇するケースなどが整理解雇に該当します。

一般に言われる「リストラ」は、整理解雇のことを指す場合が多いです。

 

③懲戒解雇

懲戒解雇とは、懲戒処分として行う解雇のことです。

従業員が社内ルールに違反したり、社会的によくない行為を行ったりした場合、会社は、その従業員に対して、処罰的な措置をとることができます。

この処罰的な措置のことを「懲戒処分」といいます。

懲戒解雇は、このような懲戒処分の一貫として、会社が従業員を解雇するというものです。

懲戒解雇は、懲戒処分の中でいちばん重いものといえます。

懲戒処分についての詳しい解説はこちらをご覧ください。

また、懲戒解雇についての詳しい解説はこちらをご覧ください。

 

④諭旨解雇

諭旨解雇も、会社が従業員に対して懲戒処分の一環として行う解雇です。

ただし、諭旨解雇は、会社と従業員が話し合って退職を決めた、という形をとります(これに対し、懲戒解雇は、会社が問答無用で従業員を解雇するという処分です。)。

したがって、諭旨解雇は、懲戒解雇と比べるとやや温情的な解雇だといえます。

解雇の種類については、こちらの記事で詳しくまとめております。

 

 

違法にならないために!解雇する上での注意点

会社が従業員を解雇しようとするときは、違法な解雇にならないように、事前に次の2つのステップを確認しましょう。

ステップ1:その解雇はどの種類の解雇か?

まずは、会社がこれから行おうとする解雇が、どの種類の解雇かを確認しましょう。

なぜならば、解雇の種類によって、その解雇が違法にならないための要件が異なるからです。

解雇の種類は、上記で説明した①から④の4種類です。

 

ステップ2:その種類の解雇に必要な要件が充足できているか??

解雇の種類を確認したら、次は、これから行おうとする解雇が必要な要件を充足しているかどうかを確認しましょう。

適法な解雇のために必要な要件は、解雇の種類ごとに、こちらの記事にまとめています。

合わせて読みたい
解雇の種類と要件

 

違法な解雇を行った場合のリスク

もし、会社が上記の2ステップで適切な判断ができず、違法な解雇を行ってしまった場合のリスクには、次のようなものが考えられます。

解雇が無効になる
会社が行った解雇は効力がないものとされ、会社はその従業員をずっと雇用していたことになります。
給料などの金銭的負担
会社は、従業員に対し、従業員が受け取っていたはずの給料などを補償しなければならず、これを支払うことになります。
裁判や労働審判などの対応
従業員から「解雇が無効である」「給料や慰謝料を支払え」などの裁判や労働審判を起こされることもあります。
会社にとって、訴訟や労働審判に対応するのは、手間の面でも費用の面でも(費用としては弁護士費用などが考えられます)、大きな負担となり得ます。

 

解雇のための判断には法的な観点が必要

会社が違法な解雇をしないためには上記の2ステップの判断が必要になりますが、じつは、この判断を適切に行うためには、法令や裁判例を踏まえた高度な法的判断が必要になることもあります。

弁護士として依頼者である企業様のご相談を受けていると、従業員を解雇することは簡単なことだと考えていらっしゃる企業様も多い印象です。

しかし、特に日本の労働法制には、「労働者を守る」という目的で作られたルールが多くあります。

特に「解雇」は、労働者が仕事そのものを失うものですから、労働法制による労働者の保護が強く働きます。

会社が安易に労働者を解雇してしまい、後に裁判で違法な不当解雇であると判断され、会社が大きな不利益を受けるケースが目立ちます。

解雇は、企業にとってリスクの高い行為だといえます。

会社が従業員の解雇を検討しているときは、事前に、労働法に強い弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

まとめ

  • 「解雇」とは、会社が従業員をやめさせること(いわゆる「クビ」)。
  • 法律的には、「解雇」とは、使用者(会社)の一方的な意思表示によって労働契約を解約すること。
  • 解雇の種類は4種類ー普通解雇・整理解雇・懲戒解雇・諭旨解雇。
  • 違法な解雇を避けるために必要な事前の2ステップ。
    ① 解雇の種類を確認する。
    ② その種類の解雇に必要な要件を充足しているかを確認する。
  • 解雇は会社にとってリスクの高い行為。
  • 解雇を検討しているときは、事前に労働法に強い弁護士に相談を!

以上、「解雇」について解説しました。

この記事が企業の皆様のお役に立つことを願っております。





  

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