普通解雇|要件やメリット・デメリットについて弁護士が徹底解説

執筆者
弁護士 阿部尚平

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

保有資格 / 弁護士

普通解雇とは

普通解雇とは、懲戒解雇のような特別な解雇以外の解雇をいいます。

会社が解雇を検討、実行するということは、通常は何かしらの理由があるはずです。

多くの解雇理由は普通解雇に分類されることになります。

普通解雇の理由としてよくあげられる理由は、①能力不足、②経歴詐称、③度重なる遅刻や欠勤、④協調性の欠如、⑤業務命令違反などです。

なお、これらはその程度によっては懲戒解雇の対象となる可能性もあります。

普通解雇は、従業員の同意を得ることなく、会社側が一方的に従業員としての地位を奪うことになります。

そのため、普通解雇を有効に行うためには、次の項目で説明するように厳しい要件が必要となっています。


 

 

普通解雇の要件

解雇予告について

普通解雇では、原則として、解雇をする30日前までに、労働者に対し、解雇を予告する必要があります(労働基準法第20条)。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

解雇予告がされてから30日が経過するまでは解雇が成立しないことになっていますので、解雇予告は普通解雇を行うための手続上の要件といえます。

なお、即日解雇をしたいという場合には、30日分以上の平均賃金を支払うことで(解雇予告手当といいます。)、即日解雇も可能です。

 

手続上の要件
  • 30日前の予告
  • 又は30日分以上の平均賃金の支払い

労働契約法の規制

労働契約法は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています(労働契約法第16条)

引用元:労働契約法 | e-Gov法令検索

この条文から分かるとおり、解雇には「客観的に合理的な理由」「社会通念上の相当性」が要件として必要になっています。

これらの要件は、個別の事案に応じて判断されています。

そのため、どのような事情があれば解雇が認められるのかを明確に線引きすることは難しいですが、一般的に、以下の要素が重要になると思われます。

就業規則に定める解雇事由に該当する

基本的に、解雇は、就業規則上の根拠が必要と考えられます(労働基準法第89条)。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

その上で、解雇したいと考えている従業員が就業規則の記載(解雇事由)に該当することが必要になります。

例えば、ある従業員が3日間無断で欠勤したとします。

その会社の就業規則には解雇できる場合として「7日以上の無断欠勤」と規定されていたと仮定します。

この場合、もし会社がその従業員を解雇したら、「客観的合理性」がないと判断される可能性が高いと考えられます。

解雇が相当であること

例えば、会社が新卒社員を採用し、その社員が平均的な社員と比べて能力不足だったとします。

もし、その会社が通常必要となる研修や教育を行わずに一方的に解雇した場合、仮に「客観的合理性」の要件を満たしていたとしても、「社会通念上の相当性」を欠くと判断されると思われます。

なお、裁判所の考え方としてはかなり厳しく判断を行なっており、普通解雇のハードルは高いと考えるべきです。

 

 

能力不足や協調性の欠如を理由に解雇できる?

能力不足を理由とした解雇について

能力不足を理由とした解雇について、裁判所の基本的な判断態度を示した裁判例があります。

判例 東京地方裁判所平成13年8月10日判決

長期雇用システム下で定年まで勤務を続けていくことを前提として長期にわたり勤続してきた正規従業員を勤務成績・勤務態度の不良を理由として解雇する場合は、労働者に不利益が大きいこと、それまで長期間勤務を継続してきたという実績に照らして、それが単なる成績不良ではなく、企業経営や運営に現に支障・損害を生じ又は重大な損害を生じる恐れがあり、企業から排除しなければならない程度に至っていることを要し、かつ、その他、是正のため注意し反省を促したにもかかわらず、改善されないなど今後の改善の見込みもないこと、使用者の不当な人事により労働者の反発を招いたなどの労働者に宥恕すべき事情がないこと、配転や降格が出来ない企業事情があることなども考慮して濫用の有無を判断すべきである。

他方、長期雇用下の中核的従業員については、だからこそ高度かつ総合的な職務遂行能力を求められるという点を重視して解雇を緩やかに認める裁判例もあります。

ただし、このような場合でも教育指導などの解雇回避措置が求められています。

ただ単に能力が不足しているという理由のみで直ちに解雇が認められるわけではありませんから、会社として出来る指導は尽くしておきましょう。

また、指導等については、解雇の可能性がある場合、必要に応じて書面で通知されることをお勧めいたします。

適切な内容の書面は、指導内容を明確にするだけでなく、万一、裁判になったときに解雇の要件(客観的合理性と社会通念上の相当性)を満たしていることの立証手段となります。

なお、当事務所では、指導書について、サンプル・雛形をホームページ上に公開しており、無料で閲覧やダウンロードが可能です。ぜひ参考にされてみてください。

協調性がないことを理由とする解雇について

協調性がないことを理由とする解雇を認めた裁判例として、東京高等裁判所平成28年11月24日判決が挙げられます。

この判決は、

  1. ① 「単に職場の良好な人間関係を損なうという域を超えて、職場環境を著しく悪化させ、会社の業務にも支障を及ぼすものである」ことを要件として挙げた上で、
  2. ② 当該従業員を雇用し続ければ会社の業務に重大な打撃を与えるという会社の判断も首肯できること
  3. ③ 当該会社が小規模会社であり、当該従業員を配転することは事実上困難であって、解雇に代わる有効な手段がないこと
  4. ④ 会社が再三にわたって注意、警告してきたにもかかわらず、当該従業員が反省して態度を改めなかったこと

なども考慮して普通解雇を有効とした判決です。

この判決では解雇が有効と判断されていますが、「職場環境を著しく悪化させ、会社の業務にも支障を及ぼす」という要件は、そう簡単に認められるものではありません。

単に協調性がないというだけでの解雇は無効と判断されるリスクが十分に存在します。

したがって、協調性のない従業員に退職してもらいたい場合には、出来る限り退職勧奨によって自主退職を促した方がリスクは少ないでしょう。

 

 

普通解雇が無効になることはある?

既に解説したとおり、普通解雇が有効とされるためには、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当」であることが求められます。

これらの要件を満たさないと判断された場合には当然普通解雇は無効と判断されることになります。

以下では、普通解雇が無効とされた裁判例を2つ紹介します。

判例 <東京地方裁判所平成17年2月18日判決>

事案の概要

営業所で資材管理業務をしていた従業員が躁鬱病で欠勤が多くなり、出勤しても業務を全うできず、躁状態時の振る舞いで他の者の業務にも影響を与えたため、7か月の休職期間を経て業務に仮復帰をさせた。

しかしながら、従業員の状態に大きな変化はなく、会社が復帰後1年程度で解雇通知を行なった。

裁判所の判断
  1. ① 解雇通知直後、かかりつけの医師が、躁鬱病の軽躁状態のために通院治療は必要だが、事務作業は可能との診断書を提出したこと
  2. ② 会社が解雇に先立って専門医に助言を求めた形跡がないこと
  3. ③ 従業員に対して適切な対応をとり、自宅待機や再度の休職を用いて適正な治療を受けさせれば治療の効果を上げる余地があったこと

などを理由として挙げ、治療による回復可能性がなかったとはいえず、解雇客観的で合理的な理由を有するとはいえないと判断した。

この裁判例は、傷病による労働能力の喪失を理由とした解雇の例ですが、病気が認められれば直ちに解雇ができるというわけではないことが分かります。

傷病による解雇を検討する際には、雇用を継続できないかを模索した形跡を残しておくことが必要といえます。

うつ病等のメンタルヘルスに不調を抱える従業員への対処、病状の把握等の方法については、以下の書式も参考にされてください。

 

判例 <東京地方裁判所平成11年10月15日判決>

事案の概要

人事考課平均値が低い従業員56名に対して、会社が退職勧奨を行い、その中で1名のみが退職に応じなかった。

当該従業員は、的確な業務遂行ができず、配置転換を繰り返されており、取引先からの苦情もあった他、他の部署への異動も不可能であると考えられていた。

そこで会社は就業規則に定める解雇事由である「労働能率が劣り、向上の見込みがないとき」にあたるとして解雇を行なった。

裁判所の判断

就業規則の「労働能力が劣り、向上の見込みがないと認めたとき」との規定は、平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、著しく労働能力が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならない。

常に相対的に考課順位の低い者の解雇を許容するものと解することはできないため、当該規定を、相対評価を前提とするものと解するのは相当ではない。

面接を受けた部署への移動が実現しなかった主たる理由は当該従業員に意欲が感じられないなどといった抽象的なものであることからすれば、会社が雇用関係を維持するための努力をしたものと評価することはできない。

裁判所は、就業規則の規定を限定的に解釈して普通解雇の要件を満たしていないと判断しました。

就業規則に定めを置いている解雇理由であっても、裁判所の判断によって客観的で合理的な理由がないと考えられるものについては解雇が無効になるということがよく分かります。

 

 

 

普通解雇を行う流れ

普通解雇を行う流れ

①解雇の方針決定

普通解雇を行う場合であっても不当解雇として争われるリスクはありますから、そのリスクを踏まえても解雇を行うという会社全体の方針を確定させてから解雇の手続きに移るべきです。

ある従業員に対して解雇を行おうと考えた場合、その従業員の上司や会社の上層部(取締役等)にも相談した上で方針を決定しましょう。

②解雇理由の検討

解雇の方針が定まった後は、解雇の理由を検討します。

丁寧に周囲からのヒアリングを行なうなどして、解雇理由が合理的なものであることを裏付けておきましょう。

解雇理由の検討が不十分な状態で解雇を通達してしまうと、従業員が解雇理由に納得できず、後から裁判を起こされる可能性があります。

従業員に適切に解雇理由を伝えて納得してもらい、仮に裁判になった場合にも解雇が有効であると判断してもらうための証拠を保全しておくためにも、解雇理由の検討はしっかりと行いましょう。

【ヒアリングについて】

解雇事由の存在を確認するために、本人や状況をよく知る他の従業員等からの事情聴取は極めて重要です。

また、事情聴取については、後々の訴訟リスクに備えて、記録として残しておくことをお勧めいたします。

なお、当事務所では、事情聴取書について、サンプル・雛形をホームページ上に公開しており、無料で閲覧やダウンロードが可能です。ぜひ参考にされてみてください。

③解雇通知書の作成

解雇理由が定まったら、解雇通知書を作成します。

解雇通知書とは、会社が労働者に対して、解雇の意思表示を通知する書面のことをいいます。

法律上、解雇は口頭であっても通知が可能ですが、口頭での通知の場合、あとから通知がされたかどうかを巡ってトラブルになる可能性があります。

したがって、確実に解雇の意思表示をしたことを示すために解雇通知書を作成するのが一般的です。

下記のページに解雇通知書の書式がありますので、活用されるとよいでしょう。


④従業員に解雇を通知する

面談して書面を手渡す方法

法律上、解雇通知が有効とされるためには、解雇予告通知が解雇する従業員に間違いなく届くことが必要になります。

ワンポイント・アドバイス

面談して書面を手渡す場合、後から手渡した事実を証明するために、解雇予告通知書のコピー等を準備しておくか受領証を作成し、受領した旨の記載や受領日を記載してもらい、署名押印をするよう促しましょう。

このような手続きを踏んでいない場合、後々解雇通知書を受け取ったかどうかについてトラブルとなる可能性が残ってしまいますから、確実に手渡したことを示す証拠を残しておきましょう。

郵送する方法

解雇する従業員が既に出勤していない場合や、従業員が解雇通知書の手渡しに際しての受領証等の記載を拒んだ場合には、郵送によって通知する方法も考えられます。

郵送による通知の場合、配達証明の付いた内容証明郵便の活用を検討しましょう。

配達証明の付いた内容証明郵便によって、会社から従業員宛に郵便を送付した事実と送付した解雇通知書の内容を証明することが可能になります。

そのため、後から従業員がそのような書面を受け取っていないという主張を行うことを封じることが可能になります。

ただし、配達証明の付いた内容証明郵便は、本人に直接渡す郵便物ですので、受領拒否をされる可能性が残っています。

受領拒否の場合、法律上は通常到達すべきであったときに到達したものとみなされます(民法第97条2項)。

しかし、相手に解雇通知書を確認してほしい場合、普通郵便を併用することも検討しましょう。

メール等で送信する方法

解雇を通知する方法として、メール等を利用することも可能です。

メールの表題に解雇通知と記載し、本文に解雇通知書と同様の内容を記載して、添付ファイルに解雇通知書のデータを貼り付けるという形式を取れば問題はないでしょう。

ただし、メールは従業員に届いたかどうか、確認したかどうかを確かめる手段があまりなく、郵送や手渡しの方法よりも通知方法としては不安が残ります。

状況にもよりますが、より慎重を期したい場合は、メールでの通知だけでなく、郵送による通知も合わせて検討されると良いでしょう。

⑤解雇後の各種手続き

普通解雇を行なった後は、従業員が失業保険を受給できるようにするための離職票の発行など、各種手続きを行うことになります。

必要な手続きとしては、以下のようなものが挙げられます。

  1. ① 離職票の発行申請等、失業保険を受給できるようにするための手続き
  2. ② 社会保険からの脱退に関する手続き
  3. ③ 源泉徴収票の交付
  4. ④ 住民税の特別徴収を停止する手続き
  5. ⑤ 解雇理由証明書の交付(従業員からの請求があった場合)

 

 

普通解雇は会社都合の解雇になる?退職との違い

普通解雇は会社都合扱い

普通解雇の場合には、会社都合の解雇として扱うことになります。

「会社都合」や「自己都合」とは、雇用保険法において特定受給資格者として有利に扱われるか否かという意味に置き換えられます。

雇用保険法においては、従業員の責めに帰すべき重大な理由による解雇(懲戒解雇や諭旨解雇のような場合)によって離職した者が、特定受給資格者として扱われることになっています(雇用保険法第23条2項2号)。

普通解雇は、従業員に何かしらの問題点があったからこそ行われるものではありますが、「従業員の責めに帰すべき重大な理由による解雇」には当たりません。

そのため、会社都合として扱われることになるのです。

特定受給資格者の範囲については、ハローワークが詳しくまとめています。

参考:ハローワークインターネットサービス

退職の場合は理由次第

これに対し、退職の場合は、自己都合退職と会社都合退職の両方があり得ます。

一般的には多くの退職が自己都合退職となります。

病気や結婚、待遇への不満等を理由に退職する場合などが自己都合退職といえます。

他方、退職せざるを得ない状況にあった場合には会社都合退職として扱われます。

例えば、ハラスメント被害に遭った場合や、会社が倒産した場合などです。

 

(普通解雇と退職の違いのまとめ)

普通解雇 退職
会社都合扱い 病気・結婚・待遇への不満等→自己都合
ハラスメント被害・倒産等→会社都合

 

 

その他の解雇との違い

普通解雇以外にも様々な解雇類型が存在します。

以下ではそれらの解雇と普通解雇の違いを解説します。

最後に一覧表の形でまとめてありますので、そちらだけでもご覧ください。

懲戒解雇との違い

懲戒解雇は、懲戒処分の中で最も重い処分として行われる解雇類型です。

社内での横領行為や重大なハラスメント等が発生した場合に社内の風紀を維持する目的で行われます。

普通解雇の場合、基本的には30日前までの解雇予告が必要になるのに対し、懲戒解雇の場合には、一定の場合に解雇予告が不要となります(労働基準法第20条1項但書き)。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

ただし、労基署の除外認定が必要となります(規則7条)。

参考:労働基準法施行規則 | e-Gov法令検索

また、普通解雇の場合には7日間の待機期間が満了した後すぐに失業保険がもらえる一方、懲戒解雇の場合には更に3ヶ月の給付制限期間が経過しないと失業保険がもらえませんし、退職金の支給に関して普通解雇は会社ごとの規定に従った支払いが必要になる一方で懲戒解雇は不支給や一部減額といった措置があり得ます。

そのほかにも、普通解雇は再就職への影響は少ないですが、懲戒解雇は面接等で懲戒歴を尋ねられた場合に真実を告知すべき義務があると考えられているという点で影響が出る可能性があるという違いもあります。


諭旨解雇との違い

諭旨解雇は懲戒解雇よりも少しだけ軽い懲戒処分として行われる解雇類型ですが、普通解雇との関係で考えると、大きな違いはありません。

上記で説明した懲戒解雇との違いがほぼそのまま当てはまると考えてもらえればと思います。

整理解雇との違い

整理解雇とは、経営不振や事業所の閉鎖などの経済的な理由によって従業員を解雇する場合の解雇類型です。

普通解雇と整理解雇の違いは、解雇理由と解雇の目的にあります。

普通解雇は、能力不足や傷病等による労働能力の喪失といった従業員に原因がある解雇理由となりますが、整理解雇は解雇類型の説明のとおり、経済的な理由が主です。

また、解雇の目的も、普通解雇が従業員との雇用関係を終わらせるという目的にある一方、整理解雇は能力の有無にかかわらず人件費を削減しなければならないためという違いがあります。

普通解雇 整理解雇 懲戒解雇・諭旨解雇
解雇理由
  • 能力不足
  • 傷病等による労働能力の喪失
  • 協調性の欠如
  • 経営不振
  • 事業所の閉鎖
  • 横領行為
  • 度重なる業務命令違反
  • ハラスメント
解雇の主目的 雇用関係の終了 人件費削減 社内風紀の維持
解雇予告義務 30日前までの予告が必要 30日前までの予告が必要 場合によっては予告が不要
失業保険の給付開始 7日間の待機期間満了後から 7日間の待機期間満了後から 待機期間+3か月の給付制限期間あり
退職金の支払い 退職金支給規定に従った支払い 退職金支給規定に従った支払い 不支給や一部減額があり得る
再就職への影響  懲戒解雇・諭旨解雇と比べると軽微若しくは影響無し 特に無し 懲戒解雇歴を尋ねられた場合には、信義則上の申告義務がある

 

 

普通解雇のメリット・デメリット

企業側

①メリット

普通解雇を行うメリットは、言うまでもなく、能力不足等の問題を有する従業員との雇用契約を一方的に終了させられる点にあります。

有効に普通解雇が行えた場合には、問題社員の対応に割かれていた労力を通常の業務にあてることが出来ますから、十分なメリットといえるでしょう。

②デメリット

他方、普通解雇を行うことにはデメリットも多く存在します。

既に色々な裁判例を紹介しましたが、普通解雇が有効かどうかは事前に判断しにくいことが多いです。

そのため、十分に解雇理由を検討し、自信を持って行なった普通解雇であっても、後から有効性を争われて敗訴するというリスクは避けることが出来ません。

敗訴した場合には従業員としての地位が認められるだけでなく、それまでの賃金相当額の支払いも命じられることになりますから、このデメリットは決して小さくありません。

また、会社都合退職が認められた場合に受給要件を満たさなくなるものもあります。

普通解雇は会社都合退職扱いとなりますから、キャリアアップ助成金などの雇用関連助成金を受給している場合には、注意をしておかなければなりません。

このように解雇にはデメリットもあることから、事前に労働問題に詳しい弁護士へ相談されることをお勧めいたします。

労働者側

①メリット

普通解雇は会社都合退職となりますから、失業保険において特定受給資格者として扱われます。

7日間の待機期間が明ければすぐに失業保険がもらえるという意味では、懲戒解雇や自主退職の場合と比べてメリットといえるかもしれません。

また、解雇される日から30日前までに解雇予告がなされていなかった場合、30日に満つるまでの解雇予告手当を受け取ることが出来ます。

会社側が余裕を持って解雇予告をしている場合には受け取ることはできませんが、突然解雇を言い渡された場合には働かずとも手当がもらえるという金銭的なメリットがあります。

②デメリット

普通解雇をされることで職を失うことになりますから、再就職までの期間、不安定な生活を送ることになってしまうという大きなデメリットも存在します。

解雇無効を争う場合であっても、裁判にはかなりの費用と時間がかかりますから、最終的に勝訴できたとしても、判決までの間の生活が大変であることに変わりはありません。

 

メリット  デメリット
企業側 問題のある従業員との雇用契約を終了させられる
  • 一部の助成金が受け取れなくなる可能性がある
  • 訴訟リスクがある
労働者側
  • 失業保険の受給で優遇される
  • 解雇予告手当がもらえる場合がある
職を失うことになる

 

 

普通解雇されたら退職金は減額になる?

退職金の取り扱いは、会社が定めている退職金支給規程の内容次第です。

既に説明したとおり、懲戒解雇や諭旨解雇では退職金の不支給や一部減額があり得ますが、普通解雇の場合には、一部減額等はされずに退職金を受け取れることが一般的です。

 

 

普通解雇されたら失業保険はもらえる?

失業保険の給付には7日間の待機期間がありますが、待機期間後直ちに失業保険をもらえるかどうかは、退職理由によって異なります。

会社都合退職の場合は、待機期間が終われば失業保険をもらうことが出来ますが、自己都合退職の場合にはそこから更に給付制限を受けることになります(雇用保険法第33条1項)。

参考:雇用保険法 | e-Gov法令検索

普通解雇は、基本的に会社都合退職として扱われることになりますから、7日間の待機期間が終われば直ちに失業保険を受け取れるということになります。

 

 

まとめ

普通解雇についての解説は以上となります。

普通解雇も使用者からの一方的な意思表示によって行われるものですから、労働者保護の観点から様々な制約が課されています。

また、解雇が不当であるとして争われてしまうと、訴訟対応のための時間や費用が大幅にかかり、解雇が無効と判断された場合には、更に賃金の支払いによる負担や社会的信用が低下するおそれがあります。

このようなトラブルを防ぐために、普通解雇を行いたいと考えられる場合であっても、事前に弁護士に相談した上で対応されることをお勧めいたします。

解雇問題について弁護士に依頼すべき理由について、詳しくはこちらのページもご覧ください。

 

 




  

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