セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)問題

セクハラとは

セクハラとは、セクシュアル・ハラスメントの略語であり、簡単に言えば、「性的嫌がらせ」といった意味で
広く使われていますが、使う人によってそのニュアンスは様々です。

法律では、職場における「セクハラ」について、「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」と規定しています(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第11条)。
 
例えば、上司が部下の女性従業員に対して、「肩をもんで上げようか」などと言って肩をもんだ場合、それがたちまちセクハラになるわけではありませんが、当該従業員が抗議を行ったことに腹を立てて配転を命じたり、または、繰り返して当該従業員の就業環境が害された場合、セクハラになり得るでしょう。

 

セクハラは犯罪か

セクハラ=犯罪であると誤解されている方は非常に多くいます。
しかし、セクハラを犯罪として直接罰する法律はありません。

新聞等で問題となるセクハラは、セクハラの中でも特に悪質なものであり、これについては、
強姦罪(刑法177条)、強制わいせつ罪(刑法第176)として刑法により処罰されます。

また、例えばそれが誹謗中傷であった場合は名誉毀損罪(刑法第230条)や侮辱罪(第231条)として、
わいせつな画像を常時パソコンに表示した場合は、わいせつ物陳列罪(第175条)として刑法に抵触することになります。
 
一般に「セクハラ裁判」と言われているのは、民事訴訟により加害者等に対して損害賠償請求を求めているものであり、加害者に対しては、不法行為による損害賠償請求(民法709条)や精神的損害による慰謝料請求(民法710条)、また事業主等に対しては、法人の不法行為による損害賠償請求(民法44条)、債務不履行による損害賠償請求(民法415条)、使用者責任に基づく損害賠償請求(民法715条)を行うものが大半となっています。
 
 

セクハラの苦情が出た場合

従業員からセクハラを受けているとの苦情があった場合、対応に困ってしまう企業が少なくありません。

もし、セクハラが実際に起こってしまった場合には、最大限の配慮をもって問題に対処する必要があります。
配慮を怠った不適切な対応を行ってしまった場合、会社が訴えられる可能性も
十分に考えられます。

例えば、セクハラを受けているという女性社員の申告にもとづき、セクハラ行為をしたとされる男性社員の事情を
よく聞かずに解雇した場合には、「解雇権の濫用」を理由として裁判所に訴訟等を提起される場合が多々あります。

この場合、解雇は無効と判断され、男性社員に対して多額の損害賠償や
解雇期間中の賃金を支払わなければならなくなります。

他方で、女性社員がセクハラを申告したにもかかわらず、セクハラに当たるほどのものではないとして、
何ら適切な処置を講じなかった場合にも、会社は損害賠償責任等を負う可能性があります。
 
このような事態を避けるためには、セクハラの申告を受けた時点で早急に弁護士に相談し、
事実関係の確認と適切な処置を行うための指示を仰ぐのが賢明でしょう。
 
 

セクハラ問題への対応

セクハラ問題に対しては、次の3つの局面が考えられます。



(1)法的助言

詳しい事情を伺った上で、
①まず、当該行為がセクハラ行為にあたるか
②次に、セクハラ行為があったとすればどのような処分が適切か
③セクハラ行為でなかったとすれば、その後従業員にはどのように対応すべきか
等を専門的観点より適確にアドバイスします。
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(2)示談交渉

セクハラ行為を受けたと申告してきた社員、またはセクハラ行為を行ったとして懲戒処分等を受けた社員が、
会社の対応に不満を持ち、不適切だったとして争ってきた場合には、弁護士が御社に代わって交渉にあたります。
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(3)訴訟

上記のアドバイスに従って対応したにもかかわらず、訴訟を提起されてしまった場合には、
事実関係をよく把握している弁護士が御社の対応が適切であったことを代弁して戦います。
 
また、上記のアドバイスを受けずに訴訟を提起されてしまった場合でも、
弁護士が出来る限り御社の対応の正当性を主張し、ダメージが最も少なくなるように最大限努力します。
 
 

セクハラ対策は義務です!

平成11年度の改正男女雇用機会均等法によって、
事業主にはセクハラ防止措置を講じる義務が課せられました。

防止措置とは、労働者からの相談に応じる体制の整備、適切に対応する体制の整備、
その他の必要な措置をいい、具体的には以下のようなものが考えられます。
 

(1) 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

① 職場におけるセクハラの内容・職場におけるセクハラがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
セクハラの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

 

(2) 相談(苦情含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

相談窓口をあらかじめ定めること。
相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また広く相談に対応すること。



(3) 事後の迅速かつ適切な対応

事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
事実確認ができた場合は、行為者及び被害者に対する措置を適正に行うこと。
再発防止に向けた措置を講ずること(事実が確認できなかった場合も同様)



(4) (1)~(3)までの措置と併せて講ずべき措置

相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
 
指針の全文はこちらのリンクをご覧ください。↓
 
上記防止措置は、企業の規模や職場の状況の如何を問わず、必ず講じなければなりません。
これらは、安心して仕事に取り組める環境を整え、生産性を向上させるためにも重要です。

もし、適切な防止措置を講じておらず、是正措置を受けても改善が見られない場合には、
厚生労働大臣により企業名を公表される場合もありますので、注意が必要です。
 
 

専門家に相談しましょう

以上のとおり、企業にはセクハラを防止する措置を講じることと、セクハラの申告があった場合には、
迅速かつ適切に対処することが求められます。

これを怠ってセクハラ問題に関する訴訟を提起されてしまった場合は、
会社の怠慢な対応が世間に公表されることになり、内外ともに会社の信用を失うことにもなりかねません。
 
「セクハラかどうか」「どう対処すべきか」といった判断が難しい場合には、
早めに弁護士に相談し、具体的な事案に即したアドバイスをしたがって
対処することが重要であるといえます。


後で取り返しのつかないことにならないためにも、問題の種が小さいうちに弁護士に相談しましょう。
 
 

弁護士(法律事務所)を外部相談窓口として活用する

企業の方に是非お勧めしたいのは、御社内部ではなく、弁護士(法律事務所)をセクハラ等の
相談窓口として定め、社員の方々に周知しておくという方法です。
 

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