セクハラをどこに相談?相談窓口の特徴を弁護士が解説

執筆者
弁護士 木曽賢也

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士

セクハラの被害を受けた方は、不安な気持ちでいっぱいかと思います。

デリケートな問題なので、なかなか相談しづらいかもしれません。

しかし、誰にも相談せずに放置してしまうと、更なるセクハラ被害を受けるかもしれませんし、問題は解決しないかもしれません。

もっとも、セクハラの被害をどこに相談したらよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事ではセクハラの相談窓口を解説いたします。

相談窓口ごとのメリットやデメリットにも触れているため、セクハラ被害者の方は参考にされてください。

加えて、セクハラを相談された方の対応方法も解説しております。

この記事でわかること

  • セクハラの相談窓口、それぞれのメリットデメリット
  • セクハラを相談された場合の対応方法
  • セクハラの相談を弁護士にする場合のポイント

セクハラの相談窓口一覧

セクハラ被害を受けた方の相談窓口は、以下のとおりです。

  • 上司
  • 会社のセクハラ相談窓口
  • 労働基準監督署(総合労働相談コーナー)
  • 労働局(雇用環境・均等部(室))
  • みんなの人権110番
  • 女性の人権ホットライン
  • 労働組合(ユニオン)
  • 弁護士

 

 

相談窓口の特徴

特徴、メリットやデメリットの一覧表

特徴 メリット デメリット
上司
  • 身近な存在
  • 被害者のことを一番把握しており、相談しやすい相手
  • 早期に相談できる
  • すぐに対応してもらいやすい
  • 上司自身が加害者と近い関係の場合、加害者をかばう可能性がある
  • セクハラについての対応の知識がない場合、解決に向かうような対応をしてもらえない可能性がある
会社のセクハラ相談窓口 会社によって、会社内部の人間が担当する場合もあれば、会社の外部の人間(委託先)が担当する場合もある
  • 早期に相談できる
  • すぐに対応してもらいやすい
  • 再発の防止まで考えてもらえる
  • 会社によっては、そもそも相談窓口を設置していないことがある
  • セクハラの加害者が、セクハラ相談窓口の担当者よりも地位が高い場合(例えば加害者が社長の場合)、放置されてしまう可能性がある
労働基準監督署(総合労働相談コーナー)

※所在地等は、こちらをご参照ください

  • 行政の機関
  • 各都道府県に設置されている
  • 労働問題全般に対応
  • 相談料無料、予約不要、秘密厳守
  • 労働問題に慣れている
  • 必要に応じて、助言・指導制度及びあっせん制度についての説明が行われる
  • 解決方法を提案されるだけで、根本的な解決には至らない可能性がある
  • 軽微な事案の場合、あまり動いてもらえない可能性がある
労働局(雇用環境・均等部(室))

※所在地等は、こちらをご参照ください

  • 行政の機関
  • 各都道府県に設置されている
  • 男女雇用機会均等法、育児介護休業法、パートタイム労働法に関する相談に対応
  • 相談料無料、予約不要、秘密厳守
  • 労働問題に慣れている
  • 必要に応じて、助言・指導制度及びあっせん制度についての説明が行われる
  • 解決方法を提案されるだけで、根本的な解決には至らない可能性がある
  • 軽微な事案の場合、あまり動いてもらえない可能性がある
みんなの人権110番

※詳細は、こちらをご覧ください

  • 相談は、法務局職員又は人権擁護委員が担当(法務省が管轄)
  • 電話相談、対面相談、インターネット相談などに対応
  • 差別や虐待、ハラスメントなど、様々な人権問題に対応
  • 相談無料、秘密厳守
  • 気軽に相談できる
  • 人権擁護委員の方は民間のボランティアであり、法律に対する理解に個人差があることが考えられる
  • 悩みを聞くだけで終わる可能性がある
女性の人権ホットライン

※詳細は、こちらをご覧ください

  • 相談は、法務局職員又は人権擁護委員が担当(法務省が管轄)
  • 電話相談、インターネット相談などに対応
  • 夫・パートナーからの暴力、職場でのいじめやセクシュアル・ハラスメント、ストーカーなど女性が被害者となる相談に対応
  • 相談無料、秘密厳守
  • 気軽に相談できる
  • 人権擁護委員の方は民間のボランティアであり、法律に対する理解に個人差があることが考えられる
  • 悩みを聞くだけで終わる可能性がある
労働組合(ユニオン)
  • 会社内部で組織されている組合や、外部で組織されているユニオンなどがある
  • 集団で会社と交渉をする
  • 集団で会社と交渉をするので、セクハラをやめてもらえる可能性がある
  • セクハラ以外の労働条件も交渉できる可能性がある
  • 毎月一定の組合費を支払わなければならない
  • 乱暴な強行手段を用いることもあり、被害者が会社に居づらい雰囲気になることがある
弁護士
  • インターネット等で検索して見つけることができる
  • 従業員側の弁護士、会社側の弁護士などに分かれていることがある
  • 秘密厳守
  • 法的な観点で事実を分析しアドバイスを受けることができる
  • 代理人となって加害者や会社に損害賠償請求をしてくれることがある
  • 場合によっては訴訟などの強い手段を用いることができる
特になし


 

上司

相談先としてまず考えられるのは、被害者の上司でしょう。

上司は、会社の内部のことをよく知っているため、早期に相談しやすいのがメリットとして挙げられます。

もっとも、上司と加害者が親しい関係の場合には、上司は被害者ではなく加害者の味方をするかもしれません。

また、上司がセクハラの対応に慣れていない場合、誤った対応の仕方をすれば被害者は二次被害を受けてしまうことが考えられます

例えば、相談を受けた上司が会社内部の別の方に相談し、別の方も他の方に相談し・・・と思わぬ形で会社に噂が広まってしまうことなどです。

 

会社のセクハラ相談窓口

会社にセクハラ相談窓口が設置されている場合には、その相談窓口に駆け込むというのも一つの手段です。

会社のセクハラ相談窓口は、会社内部の方が担当している場合もあれば、外部の方(例えば、弁護士)が担当している場合もあります

会社内部にセクハラ相談窓口が設置されているか、設置されているとしたら誰が担当しているかは、何らかの方法で周知されているはず(例えば、社内掲示板)です。

会社のセクハラ相談窓口は、セクハラが起きた場合にまさに本領を発揮する場所です。

もっとも、加害者の会社での地位が高ければ高いほど、担当者が会社内部の方であれば対応に困るという側面があり、放置されてしまう可能性があります。

 

労働基準監督署(総合労働相談コーナー)

労働基準監督署の中に、労働問題全般の相談を受け付けている総合労働相談コーナーというところがあります。

専門の相談員が面談もしくは電話で対応しております。

必要に応じて、都道府県労働局長による助言・指導が行われます。

助言・指導で解決されない場合は、紛争調整委員会によるあっせん手続に移行することがあります。

参考:個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)|厚生労働省

もっとも、労働基準監督署が裁判の代理などをしてくれるわけではないので、裁判等のより強い手段を用いるべき事案では、最終的な解決は難しいといえます。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

 

労働局(雇用環境・均等部(室))

労働基準監督署と同じような機関として、労働局(雇用環境・均等部(室))というものがあります。

労働局(雇用環境・均等部(室))では、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、パートタイム労働法に関する相談に対応しております。

なお、基本的な内容やメリット・デメリットなどは上記で解説した労働基準監督署と同じことがあてはまります。

参考:雇用環境・均等部(室)所在地一覧(令和4年1月11日時点)|厚生労働省

 

みんなの人権110番

法務省が管轄する人権一般の相談を受け付けている機関になります。

相談は、法務局職員又は人権擁護委員が担当しています。

電話で気軽に相談できることがメリットかと思います。

デメリットとしては、人権擁護委員はボランティアであるため、労働関係の知識に個人差があると考えられ、事案に即した適切なアドバイスが受けられない可能性があります

参考:常設相談所(法務局・地方法務局・支局内)|法務省

 

女性の人権ホットライン

法務省が管轄する機関になります。

夫・パートナーからの暴力、職場でのいじめやセクハラ、ストーカーなど女性が被害者となる相談に対応しております。

メリットやデメリットは、上記の「みんなの人権110番」と基本的に共通です。

参考:女性の人権ホットライン|法務省

 

労働組合(ユニオン)

労働組合とは、従業員が主体となって労働条件等の改善等を目的として組織される団体のことです。

大企業では自社に労働組合が存在することが多いですが、中小企業では自社に存在しないことがあります。

自社に労働組合が存在しなくても、外部のユニオンと呼ばれる組合もあります。

労働組合やユニオンは、団体交渉と呼ばれる交渉方法によって、数人以上の組合員と会社の交渉担当者とセクハラ問題の解決について話し合うことになるかと思います。

もっとも、ユニオンについては、通常毎月一定の組合費を支払わなければなりません。

また、場合によっては目的実現のために街宣活動などの手段を用いることもあり、平和的解決が実現されない可能性があります

労働組合について、詳しくはこちらをご覧ください。

ユニオンについて、詳しくはこちらをご覧ください。

 

弁護士

セクハラの相談をする先として最も優れているのは弁護士です。

弁護士は法律のプロであり、的確なアドバイスが期待できます

内容によっては、代理人として事件に関与し、交渉で慰謝料請求等を行います。

交渉で相手方が応じない場合には、労働審判や訴訟などの法的手続を用いて解決を目指します。

相手方も、他の第三者からの働きかけに応じなくても、弁護士からの働きかけであれば応じるというケースも多々あると思います。

また、弁護士に相談するデメリットは基本的にはありません。

したがって、セクハラの相談は弁護士にすることをお勧めします。

 

 

セクハラを誰かに相談されたらどうすればいい?

セクハラの相談をされた側はどのように対応すればよいでしょうか。

相談された側の立場(友人なのか、上司なのか等)によっても微妙に異なることもありますが、対応方法として共通することは、以下のとおりです。

よく話を聞いてあげる

セクハラを受けた被害者は、精神的に負担があり、やっとの思いで相談されているはずです。

そのため、まずは親身になって話をしっかり聞いてあげることが重要です。

 

被害者の体調面に気を遣う

セクハラの被害者は、時に深刻な体調不良を起こしてしまう可能性があります。

被害者の表情や発言で違和感などを感じる場合は、病院への通院を勧めたりすることも必要かと考えています。

 

むやみやたらに第三者に話さない

セクハラの相談内容はプライバシー性が高いものです。

仮に第三者に話す必要性があっても、必ず被害者の同意を得るようにしてください。

むやみやたらに第三者に話してしまった場合は、せっかく話してくれた被害者の信頼を無くして最終的にはトラブルになる可能性がありますので十分注意してください。

 

弁護士への相談を促す

セクハラは立派な法律問題であり、一般の方だけでは対応に限界があります。

「被害者を助けてあげたい!」という気持ちはとても大事ですが、誤った対応をしてしまうと逆に被害者を傷つけることになるかもしれません。

本当に被害者の方を救おうと思うのであれば、専門家、つまり弁護士へ相談するよう促すべきです。

 

 

セクハラの相談ができないという方へ

セクハラの被害者は、以下のような理由で他人に相談しづらいという方がいるかもしれません。

【 セクハラの相談をしにくい理由の例 】

  1. ① 相談しても解決しないかもしれない
  2. ② 相談した相手が言いふらして変な噂が広まらないか心配
  3. ③ 仕事に支障が出るかもしれない

しかし、結論としては、弁護士へ相談すれば上記の相談しにくい理由を気にしなくて大丈夫です。

以下、理由を述べます。

①相談しても解決しないかもしれない

「相談しても結局解決しないから」と思われて相談できないという方がいらっしゃるかもしれせん。

もっとも、弁護士であれば、関連する法律を踏まえ、現状のご要望(加害者にセクハラをやめさせたいか、加害者や会社に損害賠償請求したいか等)に合わせた適切なアドバイスが可能かと思います。

そして、弁護士は法的手段(労働審判や裁判)を用いることができる以上、最終的に解決まで導くことができる可能性が高いといえます。

 

②相談した相手が言いふらして変な噂が広まらないか心配

セクハラは性に関わるセンシティブな問題であり、簡単に人に知られたくない内容です。

相談した相手方が他の方に言ってしまって拡散される可能性があるため、相談しにくいという方もいらっしゃるでしょう。

この点について、弁護士は、法令上守秘義務(弁護士法23条)があり基本的に相談内容が他の方に漏れるということはありませんので、ご安心して相談してください。

参考:弁護士法|e−Gov法令検索

 

③仕事に支障が出るかもしれない

上司や会社のセクハラ相談窓口に相談すれば、会社から何か不利益な処分(例えば、減給や解雇)をされないか心配で相談できないという方もいらっしゃるかと思います(このような処分は基本的に違法ですが)。

また、会社に居づらくなり、仕事に支障が出るかもしれないから相談しづらいということもあるでしょう。

弁護士は、基本的に会社の外部の人間になるため、セクハラに関する相談を行っても仕事への支障はないです。

 

 

セクハラの相談を弁護士にするときのポイント

セクハラ問題について、弁護士へ相談するときの流れは以下のようになります。

それぞれ、段階ごとのポイントを解説いたします。

Step1 事実関係を整理

相談時間内に適切なアドバイスを受けられるよう、簡単なものでも構いませんので、事実関係を整理しておくことをお勧めします。

事実関係は、できるだけ5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識してまとめられていると良いと思います。

なお、事実関係をまとめる際は、以下のハラスメント事情聴取書が参考になります。

このハラスメント事情聴取書は、本来、会社の人が聞き取りを行う際に使用することを想定していますが、セクハラ被害者の方も事実関係をまとめる際に参考になると考えています。

ハラスメント事情聴取書について、詳しくはこちらをご覧ください。

合わせて読みたい
ハラスメント事情聴取書

 

Step2 証拠を整理

次に、セクハラに関する証拠を整理します。

セクハラの証拠の例は、以下のとおりです。

【セクハラの証拠の例】

  • 録音
  • メール・LINE等のSNS
  • 写真
  • 動画
  • 文書
  • 目撃者の証言
  • 被害者の日記・メモ・SNSの投稿 など

以上のような証拠は、できるだけ相談時に持参して弁護士に示しましょう。

なお、どの程度の証拠であれば証拠として価値があるか、わからないこともあるかと思います。

そのような場合には、無理をして証拠を整理する必要はなく、どういった証拠が価値があるかという点についても相談時に弁護士に確認してみてください

 

Step3 弁護士探し(労働問題に注力しているか確認、会社側か従業員側かを確認)

実際に相談をする弁護士を探します。

ここで注意すべきなのは、セクハラ問題に詳しい弁護士に相談することです。

弁護士にも得意、不得意分野があるため、適切なアドバイスを受けるためには見極めが必要です。

セクハラ問題に詳しいかどうか判断するためには、例えば、

  • ホームページ上で労働問題を扱っているかどうか
  • その法律事務所や弁護士の労働問題の解決実績
  • ホームページ上でセクハラに関する解説記事を書いているかどうか
  • 労働問題に関する書籍を出版しているか

などを手がかりに判断すると良いと思います。

また、労働問題の中でも、

  • 従業員側を多く扱っている弁護士
  • 会社側を多く扱っている弁護士

などに分かれることが多いですので、セクハラの被害者の方は従業員側を多く扱っている弁護士に相談するようにしましょう。

 

Step4 相談予約

通常、法律相談は予約制であることが多いです。

そのため、相談しようと思っている法律事務所に電話やメールで問い合わせをして、相談予約をしましょう。

法律相談は、事務所によっては対面相談、電話相談、オンライン相談(LINE、Zoom、FaceTime、Google Meet等)に対応していることがあります。

 

Step5 相談

準備が整ったら、実際に弁護士に相談します。

相談では、被害者から聞き取った事情や証拠をもとに、見通しや今後の進め方のアドバイスをもらえるはずです。

内容によっては、弁護士が代理人として事件を進めていくことになります。

 

 

まとめ

  • セクハラの相談窓口としては、上司、会社のセクハラ相談窓口、労働基準監督署(総合労働相談コーナー)、労働局(雇用環境・均等部(室))、みんなの人権110番、女性の人権ホットライン、労働組合(ユニオン)、弁護士などがある。
  • セクハラの相談窓口として最も優れているのは、弁護士である。
  • セクハラを誰かに相談された場合は、よく話を聞いてあげる、被害者の体調面に気を遣う、むやみやたらに第三者に話さない、弁護士への相談を促すなどを心がける。
  • セクハラ相談の弁護士への相談の流れは、事実関係を整理→証拠を整理→弁護士探し(労働問題に注力しているか確認、会社側か従業員側かを確認)→相談予約→相談

 

 




  

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