外国人の労働問題ー労働問題に注力する弁護士が解説


その他についてよくある相談Q&A

外国人労働者の状況

グローバル社会が進み、日本では至るところで外国人を見かけるようになりました。2017年の1年間の訪日外国人は2869万1073人に上ります。

約15年前の2003年の1年間の訪日外国人の総数は521万1725人でしたので、実に5倍以上の増加になります。

こうした中、観光を目的とした外国人だけでなく、日本で働く外国人労働者も増加しています。厚生労働省の統計データによれば、2017年10月末時点の外国人労働者は127万8670人で、雇用している事業所数も19万4595箇所に上ります。

日本の人口は減少傾向であり、少子高齢化の流れもあいまって、労働人口の減少による人手不足の不安が漂っています。

政府としても、日本経済の成長のためには、外国人労働者を幅広く受け入れていく必要があると考えています。

日本企業が海外企業と世界で競争をしていくためにも、優秀な外国人を採用して活用することが求められています。

また、人手不足が深刻な小売業や飲食業などでは、外国人留学生をはじめとして、アルバイトを利用するという傾向もみられます。

このように、現代社会では、外国人労働者を雇用する必要性が多くの企業で高まってきています。

もっとも、外国人を採用して、雇用するにあたっては、日本人を採用する場合と異なる点が多数あります。そこで、企業は外国人を雇用するにあたっての流れや注意点をしっかり押さえておく必要があります。

デイライト法律事務所では、外国人労働者はもちろん、海外での職歴の方が長い日本人スタッフなどを実際に雇用しており、外国人雇用に関して、自らの事務所の経験も踏まえて、弁護士が企業の外国人の労働問題に対応しております。外国人の労働問題にお困りの方は、まずはデイライト法律事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。

外国人を雇用するまでの流れ

企業が実際に外国人を雇用するまでの流れは、以下のとおりです。

(1)採用活動

外国人の採用を検討する場合、まずは、日本人の採用と同じく、採用活動を行わなければなりません。

留学生の採用であれば、大学生向けの採用イベントにブースを出店したり、自社で採用説明会を開催したりします。

近年は、留学生専用の採用イベントを企画している企業なども増えています。また、公的な機関では、ハローワークが外国人向けに就職支援を行っています。

 

(2)ビザの取得、確認

外国人を採用するにあたっては、日本人と異なり、就労することができる資格をその外国人がもっていることが必要になります。

この資格の典型が就労ビザと呼ばれるものです。

したがって、企業は採用したい外国人が資格をきちんともっているかを確認しなければなりません。

また、新たに外国から日本で働こうとする外国人を採用する場合や留学生を卒業後に採用する場合には、就労ビザを申請して、ビザを取得してもらわなければなりません。

 

(3)雇用契約の締結

日本人労働者と同じく、外国人を雇用する場合にも雇用契約を締結しなければなりません。

このときに雇用契約書や労働条件通知書の交付を行います。

外国人だからといって雇用条件を明示しないで採用することは労働基準法違反となりますので、注意が必要です。

(4)入社、就労

入社後は、企業が日本人労働者と同じく指揮監督権を行使して、外国人労働者に就労してもらいます。

もっとも、外国人労働者は労働者の出身国の教育や仕事に対する考え方など、日本人労働者と違う特徴が多々あります。

そのため、外国人労働者を採用する企業としては、そういった違いをうまくマネージメントしていく必要があります。

そのためには、日本人労働者以上に入社時の教育はもちろん、その後の定期的な個人面談が重要になってきます。

 

外国人を雇用する場合の注意点

(1)在留資格の確認

外国人が日本で就労するためには、就労することが法律上認められる資格を有していることが必要です。

したがって、外国人を採用する企業は、この在留資格の確認を必ず行わなければなりません。

在留資格は、大きく分類すると、①活動に対応して定められた資格②身分上の地位に基づいて定められた資格の2種類があります。

 

①活動に対応して定められた資格

在留資格 行うことができる活動 該当例 在留期間
外交 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族 外交活動の期間
公用 日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項に掲げる活動を除く。) 外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族 5年,3年,1年,3月,30日又は15日
教授 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究,研究の指導又は教育をする活動 大学教授等 5年,3年,1年又は3月
芸術 収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動(この表の興行の項に掲げる活動を除く。) 作曲家,画家,著述家等 5年,3年,1年又は3月
宗教 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 5年,3年,1年又は3月
報道 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動 外国の報道機関の記者,カメラマン 5年,3年,1年又は3月
高度専門職 1号
高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの
イ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動ロ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動ハ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動2号
1号に掲げる活動を行った者であって,その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動
イ 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導又は教育をする活動ロ 本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動ハ 本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動ニ 2号イからハまでのいずれかの活動と併せて行うこの表の教授,芸術,宗教,報道,法律・会計業務,医療,教育,技術・人文知識・国際業務,興行,技能の項に掲げる活動(2号のイからハまでのいずれかに該当する活動を除く。)
ポイント制による高度人材 1号は5年,2号は無期限
経営・管理 本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。) 企業等の経営者・管理者 5年,3年,1年,4月又は3月
法律・会計業務 外国法事務弁護士,外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動 弁護士,公認会計士等 5年,3年,1年又は3月
医療 医師,歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動 医師,歯科医師,看護師 5年,3年,1年又は3月
研究 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(この表の教授の項に掲げる活動を除く。) 政府関係機関や私企業等の研究者 5年,3年,1年又は3月
教育 本邦の小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動 中学校・高等学校等の語学教師等 5年,3年,1年又は3月
技術・人文知識・国際業務 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学 その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(この表の 教授,芸術,報道,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,企業内転勤,興行の項に掲げる活動を除く。) 機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師,マーケティング業務従事者等 5年,3年,1年又は3月
企業内転勤 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動 外国の事業所からの転勤者 5年,3年,1年又は3月
興行 演劇,演芸,演奏,スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。) 俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等 3年,1年,6月,3月又は15日
技能 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機の操縦者,貴金属等の加工職人等 5年,3年,1年又は3月
技能実習 1号

イ 本邦の公私の機関の外国にある事業所の職員又は本邦の公私の機関と法務省令で定める事業上の関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所の職員が これらの本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所の業務に従事して行う技能等の修得をする活動(これらの職員がこれらの本邦の 公私の機関の本邦にある事業所に受け入れられて行う当該活動に必要な知識の修得をする活動を含む。)

ロ 法務省令で定める要件に適合する営利を目的としない団体により受け入れられて行う知識の修得及び当該団体の策定した計画に基づき,当該団体の責任及び監理の下に本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の業務に従事して行う技能等の修得をする活動

2号

イ 1号イに掲げる活動に従事して技能等を修得した者が,当該技能等に習熟するため,法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関において当該技能等を要する業務に従事する活動

ロ 1号ロに掲げる活動に従事して技能等を修得した者が,当該技能等に習熟するため,法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関 において当該技能等を要する業務に従事する活動(法務省令で定める要件に適合する営利を目的としない団体の責任及び監理の下に当該業務に従事するものに限る。)

技能実習生 1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)
文化活動 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(この表の留学,研修の項に掲げる活動を除く。) 日本文化の研究者等 3年,1年,6月又は3月
短期滞在 本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポ―ツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動 観光客,会議参加者等 90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間
留学 本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(義務教育学校の後期過程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校(義務教育学校の前期過程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制 に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動 大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等の学生・生徒 4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月
研修 本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(この表の技能実習1号,留学の項に掲げる活動を除く。) 研修生 1年,6月又は3月
家族滞在 この表の教授から文化活動までの在留資格をもって在留する者(技能実習を除く。)又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動 在留外国人が扶養する配偶者・子 5年,4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月
特定活動 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動 外交官等の家事使用人,ワーキング・ホリデー,経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等 5年,3年,1年,6月,3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)

平成28年の入管法改正により平成29年9月より、上記に加え、「介護」という在留資格が新たに創設されました。

この在留資格は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有するものが介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動」に対して許可される資格です。

この記載からも明らかなとおり、日本の介護福祉士の資格を有していることが必要になります。

上記の在留資格のうち、「外交」と「公用」については、民間の企業で取得することは想定されていないものになります。

また、「教育」や「医療」、「法律・会計業務」についても、学校法人や医療法人でなければ、民間で利用することはあまりないと思われます。

そうすると、民間企業が外国人を雇用する上で、使用する頻度の高い在留資格としては、「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」、「技能」、「介護」が考えられます。

また、一般ビザに分類されるもののうち、「技能実習」、「留学」の外国人を雇用することもあり得ます(技能実習生、留学生の採用の注意点は(4)、(5)をそれぞれご確認ください。)。

「短期滞在」の在留資格はその名のとおり、観光などの短期的な滞在を主として設定されているため、短期滞在の在留資格で外国人を採用することはできません。この点、短期滞在の在留資格で、外国人が会議など、ビジネス目的で来日することはよくありますが、これは日本企業がこの外国人を雇用して就労してもらうわけではないため、区別して考えなければなりません。

いわゆる就労ビザに関して、ビザの申請を許可するかどうかの判断基準として、入国・在留審査要領というものがあります。この審査要領によれば、企業が外国人を雇用する場合に考慮事情となるのは主に3点です。

 

ア 報酬額
ここでいう報酬額は、賞与を含めた賃金を12か月で割った額を基準に判断します。具体的な基準としては、個々の企業の賃金体系を基礎に日本人と同等額以上であるか、また、他の企業の同種の賃金を参考にして日本人と同等額以上であるかという視点で判断するとされています。

したがって、明確に月額◯万円を支払えば許可されるというわけではなく、雇用する企業の日本人の新卒採用者の給与水準や中途採用者の給与水準と同じ程度のものであるかを判断することになっています。

なお、在留資格のうち「興行」は月額20万円以上という基準が設けられています。これを踏まえると、月額20万円というのが一つの目安として考えられる数字になるでしょう。

イ 学歴
上記の在留資格のうち、「技術・人文知識・国際業務」に関しては、学歴も判断基準として定められています。

具体的には、大学を卒業し、又はこれと同等の以上の教育を受けていることが必要になります。学校制度は国によって、異なっているため、日本の大学教育と同等以上の教育を受けていることという要件になっています。

大学を卒業していれば、この基準に合致することが多いでしょうが、日本でいう短期大学や高等専門学校なども審査対象となりえます。

ただし、注意点としては、従事しようとする業務と大学等で専攻した科目とが関連している必要があります。したがって、工学部を卒業した外国人が法務に関する業務に従事しようと就労ビザを申請しても、科目の関連性がないとして申請を拒絶される可能性があるということになります。

ウ 実務経験
これは、その名のとおり、申請しようとする就労ビザの分野での経験をいいます。ただし、大学在学中のアルバイトについては、実務経験には含まれないことになっています。

 

 

②身分上の地位に基づいて定められた資格

在留資格 日本において有する身分又は地位 該当例 在留期間
永住者 法務大臣が永住を認める者 法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く。) 無期限
日本人の配偶者等 日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者 日本人の配偶者・子・特別養子 5年,3年,1年又は6月
永住者の配偶者等 永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子 5年,3年,1年又は6月
定住者 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 第三国定住難民,日系3世,中国残留邦人等 5年,3年,1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)

在留活動に対応した在留資格と異なり、上記の在留資格は、活動ではなく、身分上の地位に基づいて付与された資格のため、就労活動には制限がありません。

したがって、これらの在留資格を有していることが確認できれば、企業が当該外国人を採用することは可能です。

このように、外国人を雇用するにあたっては、日本人の場合と異なり、在留資格の確認が必要不可欠です。企業が積極的に外国人を採用する場合には、就労ビザの申請についても、企業が自らサポートをしていく必要があります。

もっとも、こうしたビザの申請業務は専門的な知識が必要で、企業の人事担当者のみで行うことは非常に難しいものです。デイライト法律事務所では、こうした専門性の必要な就労ビザの申請サポートについて、ご相談はもちろん、申請書類の作成についても弁護士が対応しております。外国人を雇用する際には、是非デイライト法律事務所の弁護士にご相談ください。

ビザ申請についての弁護士費用は以下のとおりです。

サポート内容 弁護士費用(税別)
在留資格の認定 15万円
在留資格の変更 10万円
在留資格の更新(転職なし) 5万円
在留資格の更新(転職あり) 15万円
永住許可申請 20万円
帰化申請 20万円

※一度不許可となっている案件などの弁護士費用は応相談となります。

 

(2)雇用の届出

日本人の場合には、企業が新たに雇用をした場合、雇用保険や社会保険の登録は必要ですが、それらの保険の加入対象外の方を採用する場合、特に届出は不要です。

他方で、外国人を採用した場合には、雇用対策法28条により、雇用した者の氏名、在留資格、在留期間などを届け出なければなりません。これは、留学生をアルバイトとして採用する場合にも必要な手続です。

したがって、外国人を雇用する場合には、必ず届出を行うことを忘れないようにしなければなりません。

(3)労働法令の適用が外国人にもある

日本で外国人に働いてもらう場合、どこの国の法律が適用されるのかが問題になります。この点については、日本で働いてもらう以上、日本の法律が適用されるというのが国際私法の原則になります。

つまり、労働基準法や労働契約法、労働安全衛生法といった各種労働法令が外国人の場合にも適用されることになります。最低賃金法も外国人労働者に適用されますので、外国人を最低賃金法違反で雇用することはできません。

労働基準法や労働契約法の適用があるため、外国人を雇用する場合にも、雇用契約書や労働条件通知書の作成が必要不可欠となります。日本語の能力があまり高くない場合には、その国の外国人の言語で雇用契約書や労働条件通知書を作成するといったことも検討しなければなりません。また、複数の外国人を採用する場合には、その言語で記載した就業規則や業務マニュアルを用意しておくことも必要です。

雇用契約書の注意点としては、雇用期間を明確にしておくことと、万が一、就労するために必要な就労ビザが取得できなかった場合には、労働契約は履行不能で消滅する旨を明確に記載しておかなければなりません。

留学生に内定を出して、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合、この変更が許可されなければ、内定取消事由になることを内定通知書に記載しておくことで、内定を出した外国人との間でトラブルを防ぐことが可能となります。

(4)技能実習生の場合

技能実習制度は、技能、技術または知識を開発途上国へも提供していくことで、先進国として発展してきた日本の国際社会への貢献を目的として定められました。

この技能実習制度は30年以上前の1981年から在留資格が新設され、運用されてきましたが、約10年前の2007年には10万人を超え、2017年末の時点では27万人まで増加しています。

こうした中で、平成29年11月1日より外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行されています。

この法律によって、技能実習生を受け入れたい企業については、①企業単独型、②団体管理型のどちらかの制度を利用することになります。

①企業単独型は、日本の企業が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の従業員を受け入れることで行う方法です。

この企業単独型による受入れをするには、海外に支店や子会社、合弁会社がある場合や国際取引が継続して1年以上継続しているか1年間の取引実績が10億円以上に上ることという要件があり、利用できる企業はそれほど多くありません。

他方で、②の団体管理型は、協同組合や商工会などの非営利団体が一括して外国人を技能実習生として受け入れ、受け入れた実習生を各企業へ振り分けるという形をとります。この場合、技能実習生を受け入れたい企業は、監理団体に申込みを行います。その上で、受け入れる外国人との間で個別に雇用契約を締結し、実習計画も個別に作成しなければなりません。

技能実習生は最初の2か月間は監理団体で座学を受けたのち、受入企業での実習が開始されます。座学の期間も含めて、原則は3年間になりますが、優良な監理団体、受入企業と認められた場合には、一旦帰国をしたのちにさらに2年間の継続ができるようになりました。

こうした技能実習生を受け入れることで、人手不足を解消するということも企業の選択肢の一つになっていますが、技能実習生の立場については、受入企業との間で雇用契約を締結することになっています。実習という名前はついているものの、雇用契約ですので、他の従業員などと同様に雇用管理を行わなければなりません。したがって、雇用契約書や労働条件通知書の作成も行う必要があります。

(5)留学生の場合

留学生は、あくまで大学をはじめとする教育機関で教育を受けるために日本での在留を許可されているので、本来的には仕事をすることはできません。

しかしながら、現実には多くの留学生がアルバイトを実施している状況です。これらの外国人は、不法就労をしているわけではなく、きちんとした手続を踏んで、アルバイトをしているということになります。

留学生がアルバイトをするためには、「資格外活動許可」を受けなければなりません。

この許可を受けるためには、外国人の住居地を管轄する入国管理局に申請書を提出します。法務省のHPによれば、許可までに2週間から2か月ほどの期間を要するとされていますので、早めに手続をしておく必要があります。

また、留学生は上述のとおり、あくまで本業は学業ですので、資格外活動に当たるアルバイトについては、厳密に時間が決まっています。

具体的には、1週間で28時間までです。この28時間には残業時間も含まれていますので注意が必要です。

例えば、1日の所定労働時間を5時間、週5日勤務としていた場合、3時間以上残業をしてしまうと28時間をこえることになってしまいます。したがって、留学生を採用する場合には、28時間よりも少なめに所定労働時間を設定するか、残業は一切行わせないようにしなければなりません。

なお、大学が休講期間に入る長期休暇の間は1日8時間、週40時間までの勤務が例外的に認められます。ただし、この時間も残業を含んでの時間ですので、超えないように取り図らなければなりません。

(6)違反した場合の罰則

(1)で解説した就労の可能な在留資格を有しない外国人を就労させた企業は、不法就労助長罪に該当し、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は併科となってしまいます。

また、(5)の留学生の時間超過についても、不法就労助長罪に該当してしまいます。

留学生としては、少しでも長く働いて給料を得たいと考えて、1週間に28時間という時間を超えてでも働こうとするケースもあります。しかしながら、採用している企業がこれを安易に認めてしまうと、企業の方が罪に問われてしまうリスクがあるため、絶対に認めてはいけません。

なお、不法就労を行った外国人は退去強制の対象になる可能性があり、母国へ強制送還されるリスクもあります。この場合、最低でも5年間は日本への再入国ができないことになりますので、不法就労は企業にとっても、当該外国人にとっても避けなければなりません。

外国人を雇用する場合の保険関係

外国人を雇用する場合に、保険に入らなければならないのかという点が疑問点としてよく挙げられますが、この点については、日本人と同様の基準で保険の加入について判断しなければなりません。

したがって、外国人だからといって、各種保険に一切加入しなくてよいというわけではなく、雇用保険や社会保険に加入させなければなりません。

外国人の労働問題でお困りなら

企業法務チーム外国人を雇用する場合には、日本人を雇用する場合と異なって、手続面で注意しなければならない点が多くあります。

また、実際に雇用してからも、日本人との違いからマネージメントが難しく、外国人労働者とトラブルになる可能性もあります。

こうした外国人の労働問題については、労働問題の専門家である弁護士に早い段階で相談すべきです。

デイライト法律事務所では、外国人労働者はもちろん、海外での職歴の方が長い日本人スタッフなどを実際に雇用しており、外国人雇用に関して、自らの事務所の経験も踏まえて、弁護士が企業の外国人の労働問題に対応しております。

外国人の労働問題にお困りの方は、まずはデイライト法律事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。


「その他」についてよくある相談

よくある相談Q&A