外国人の労働関係法令適用の有無と注意すべき問題は何ですか?


その他についてよくある相談Q&A

質問外国人労働者には、労働関係法令の適用がありますか?また、外国人労働者を雇用する企業で気をつけなければならない労働問題には、どのようなものがありますか?

 

Answer

弁護士西村裕一イラスト基本的には、労働関係法令が適用されます

労働問題については、日本人と同様、賃金(最低賃金、割増賃金等)、労災保険・雇用保険未加入等に気をつけなければなりませんまた、外国人特有の問題として、出入国管理及び難民認定法違反(不法就労等)問題があります

 

外国人労働者についての労働行政運営方針

厚生労働省は、「平成29年度地方労働行政運営方針」の「第4平成29年度地方労働行政の重点施策」において、「外国人労働者対策・国際協力の推進」を重点施策にあげています。また、労働基準担当部署の重点施策にもあげられています。

そのため、外国人労働者の労働問題は非常に重要といえます。

 

 

労働関係法令の適用

外国人外国人労働者も労働者である以上、日本国内で就労する限り、労働契約法、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、男女雇用機会均等法等の労働関係法令の適用がありますこれは、在留資格上は就労することのできない外国人労働者(不法就労労働者)であっても変わりません

そのため、外国人労働者の人事・労務問題についても、基本的には日本人の労働者と変わりませんので、日本人と同様に、賃金問題、労働保険未加入問題といった労働問題が生じる可能性がありますまた、外国人労働者特有の問題として、入管法違反(不法就労)等の問題があります。

こうした点に違反が見られる場合には、労基署の調査、是正勧告等の対象になる可能性がありますので、注意が必要です。

 

 

外国人労働者特有の労働問題

雇用管理の改善と再就職支援の努力義務

2007年の雇用対策法改正により、事業主に、外国人労働者の雇用管理の改善および再就職支援の努力義務が課されています。

すなわち、雇用対策法第8条には、

「事業主は、外国人(日本の国籍を有しない者をいい、厚生労働省令で定める者を除く。以下同じ。)が我が国の雇用慣行に関する知識及び求職活動に必要な雇用に関する情報を十分に有していないこと等にかんがみ、その雇用する外国人がその有する能力を有効に発揮できるよう、職業に適応することを容易にするための措置の実施その他の雇用管理の改善に努めるとともに、その雇用する外国人が解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職する場合において、当該外国人が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該外国人の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない。」

と規定されています(下線部は、筆者加筆)。

 

安全衛生教育

事業主が労働災害を防止し、従業員の生命、身体の安全を守るために、労働安全衛生法上、安全衛生教育を行うことが義務づけられています

もっとも、外国人労働者の場合は言語や習慣の違いによって、日本人労働者と同様の教育では理解できない場合があります。そのようなときに形式的に安全教育をしたのみにとどめて、後に労働災害が発生した場合には、十分な安全教育を施していたかどうかの責任が問われる可能性があります。

労基署もそうした点を労働災害の調査等において、注視することもあります。

そのため、外国人の安全衛生教育においては、複数言語表記にしたり、イラストを用いる等、工夫が必要になってくる場合もあります。

安全衛生教育

・雇入時の安全衛生教育(安衛法第59条第1項)

・作業変更時の安全衛生教育(安衛法第59条第2項)

・職務教育(安衛法第60条)

・免許、技能講習(安衛法第61条第1項、施行令第20条)

・特別教育(安衛法第59条第3項、安衛則第36条)

・安全衛生教育及び指針(安衛法第60条の2)

・能力向上教育(安衛法第19条の2)

・健康教育等(安衛法第69条)

・労働災害防止業務従事者講習(安衛法第99条の2)

 

就業規則の作成、周知等

労働基準法第89条柱書には、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。と規定されています。

まず、ここでいう「常時10人」に国籍の区別はないため、外国人労働者も含めた数になりますそのため、例えば、元々常時9人の労働者を使用しており、新たに外国人(常時使用の要件を満たす)を雇い入れた際には、就業規則の作成義務が生じます。

また、就業規則の周知義務(労基法第106条、労基則第52条の2)を果たす意味でも、雇用している外国人労働者にも理解できるよう、当該外国人が理解できる言語で記載された就業規則を作成することが適切です。

この点、注意しなければならないのは、仮に外国語で記載された就業規則を作成した場合に、その就業規則についても労基署への届出が必要になることです。届出を忘れると、労基法第89条違反の問題が生じることがあります。

上記のとおり、外国人の労務管理については注意しなければならない問題があります。

労務管理についてお悩みの方は、労働問題に詳しい弁護士にご相談ください。

 

 


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