職場安全衛生とは?基本と企業の義務を弁護士が解説

執筆者
弁護士 木曽賢也

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士

職場の安全衛生とは、労働災害の防止や従業員の健康維持を目的とした労働者が安心して働ける環境を整えるために欠かせない考え方です。

その基盤には労働安全衛生法があります。

企業には、労働者の安全と健康を確保するための管理体制を整備し、必要な措置を講じる法的義務があります。

この記事では、職場安全衛生の基本的な意味から、企業が実際に取り組むべき義務や管理体制について、弁護士がわかりやすく解説します。

ぜひ参考になさって下さい。

職場の安全衛生とは

職場の安全衛生とは

職場の安全衛生とは、労働災害の防止や従業員の健康維持を目的とした労働者が安心して働ける環境を整えるために欠かせない考え方です。

安全衛生に関わる法律としては、労働安全衛生法があります。

参考:労働安全衛生法|e−Gov法令検索

労働安全衛生法では、従業員が安全に働けるよう、会社に対して様々な義務を定めています。

 

 

安全衛生委員会とは

安全衛生委員会とは、安全委員会と衛生委員会とを統合したものをいいます。

安全委員会

安全委員会とは、一定の業種・規模の事業場において、労働者の危険防止の基本対策と重要事項及び労働災害の原因・再発防止対策を審議する機関をいいます。

 

衛生委員会

衛生委員会とは、一定規模の事業場において、労働者の健康障害を防止するための基本対策、労働者の健康保持や増進を図るための基本対策、労働災害の原因・再発防止対策を審議する機関をいいます。

 

安全衛生委員会を設置しましょう

このリーフレットは、委員会設置の目的、委員の構成、調査審議事項等についてわかりやすくまとめたものです。

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職場の安全衛生対策

職場の安全衛生対策

職場の安全衛生対策は様々なものが考えられますが、いくつか具体例をご紹介します。

 

高所作業の際に安全帯を着用させる

高さが2m以上の箇所で作業を行う場合、作業床を設置できない時は、安全帯を着用させることが義務付けられています(労働安全衛生規則518条2項)。

参考:労働安全衛生規則|e−Gov法令検索

 

安全衛生教育

講習会などを開き、安全対策や危険な機械の操作方法などを教える機会を設けることが考えられます。

 

健康診断を受診させる

雇入れ時と年1回の定期健康診断を受けさせ、従業員の健康状態を把握します。

 

長時間労働の削減

残業が多い従業員に対しては、面接指導などを行い、長時間労働をしないよう配慮することも安全衛生対策の一つです。

 

 

産業医とは

産業医とは、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を備えた専門医のことをいいます。

職場において労働者の健康管理等を効果的に行うためには、医学に関する専門的な知識が不可欠なことから、常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、事業者は、産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならないこととなっています。

産業医について

このリーフレットは、産業医の要件、産業医の職務等をまとめたものです。

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その他の健康確保のための情報

以下、厚労省が発表しているメンタルヘルス関連のリーフレットを掲載しています。

心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

現在、社会においては、心の健康問題により休業している労働者が増加しており、休業後の職場復帰支援がスムーズに進まないという調査結果が見られています。

そのため、職場復帰支援に関する社会的関心が高まっています。

この手引きは、このような現状に鑑み、労働者の職場復帰支援に関する経験や知見等を踏まえ、円滑な職場復帰を支援するために事業者によって行われることが望ましい事項等について、作成されたものです。

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長時間労働者への医師による面接指導制度について

労働安全衛生法により、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、事業者は医師による面接指導を実施することが義務づけられています。

このリーフレットは、医師による面接指導制度の概要、実施の流れ等をわかりやすくまとめたものです。

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脳・心臓疾患の労災認定

心筋梗塞などの「心疾患」、脳梗塞などの「脳血管疾患」については、その発症の基礎となる血管病変等が、主に加齢、食生活などの日常生活による諸要因や遺伝等による要因により徐々に増悪して発症するものですが、仕事が原因で発症する場合もあります。

このリーフレットは、脳・心臓疾患の認定基準の概要と、「過労死」がどのようにして労災認定されるかについて、わかりやすく解説したものです。

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精神障害の労災認定

近年、仕事によるストレスが関係した精神障害についての労災請求が増え、その認定を迅速に行うことが求められています。

このリーフレットは、認定基準の概要について、事業主の方にわかりやすく説明したものです。

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健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~

事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければなりません。

また、労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければなりません。

このリーフレットは、健康診断の種類、一般健康診断の項目について紹介したものです。

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労働安全衛生法に基づく健康診断実施後の措置について

事業主は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について、就業場所の変更等の適切な措置を講じなければなりません。

このリーフレットは、その手順、参照条文等について紹介したものです。

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過重労働による健康障害を防ぐために

このリーフレットは、過重労働による健康障害を防止するために、時間外労働の削減、年次有給休暇の取得促進、健康管理体制の整備、健康診断の実施等について、わかりやすく説明したものです。

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職場の安全衛生でよくあるQA

安全衛生の基本5Sとは?

整理(Seiri)、 整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)、しつけ(Shitsuke)のことをいいます。

全て頭文字が「S」から始まるため、安全衛生の基本5Sと呼ばれています。

5つとも安全衛生に必要な要素となります。

 

安全衛生の3つの基本は?

①作業環境管理、②作業管理、③健康管理の3つを指します。

①作業環境管理とは、作業環境中の有害因子(粉じん等)の状態を把握し、できるかぎり良好な状態で管理していくことです。

②作業管理とは、作業方法や作業時間などを適正化するよう努めたり、作業時に保護具を使用して作業の安全を確保することなどをいいます。

③健康管理とは、作業者の健康状態を把握して健康被害を未然に防ぐことをいいます。

 

 

まとめ

以上、安全衛生体制の整備について、機関や厚労省のリーフレットをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

人事上の問題は会社側に大きなリスクをもたらす可能性があります。

このホームページでご紹介している情報が企業や弁護士の皆さまのお役に立てれば幸甚です。

なお、当事務所は、企業や士業(社労士・税理士)の皆様に対して、初回無料で法律相談を行っています。

法律相談は、当事務所の労働問題に注力する弁護士が対応していますので、専門的な助言を必要とされている場合、ぜひご活用ください。

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