派遣先が安全衛生教育未実施の場合、労基署は問題視しますか?


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質問弊社(派遣先)は、派遣元事業主から派遣労働者の派遣を受けています。派遣先が派遣労働者への安全衛生教育を実施しない場合、労基署は問題視しますか?

 

Answer

弁護士西村裕一イラスト労働安全衛生法上、派遣先に安全衛生教育の実施義務が生じる場合があります。そのため、労基署が問題視する可能性があります。

 

派遣先への労働安全衛生法の適用

労働安全衛生法について、原則的な責任主体は派遣元事業者にあります。もっとも、実際上、派遣労働者は派遣先の事業場において、派遣先の指揮命令下で就労しています。

そのため、派遣先も派遣労働者を使用する事業者として、派遣労働者の安全衛生確保のための責任を負い、一部労働安全衛生法の適用を受けます(派遣法第45条ないし第47条)。

具体的には、安全衛生管理体制の確立、危険又は健康障害の防止措置の実施、安全衛生教育・特別教育の実施、特殊健康診断の実施等あります。

労働安全衛生の確保(派遣先のものを例示)

解説する弁護士のイメージイラスト・安全衛生管理体制の確立

・危険又は健康障害の防止措置の実施

・安全衛生教育・特別教育の実施

・特殊健康診断の実施

 

 

安全衛生管理体制の確立

派遣労働者の安全衛生を確保するために、派遣元事業主、派遣先共に安全衛生管理体制の確立が要請されています。

派遣元事業主、派遣先は、それぞれ派遣労働者を含め算出した常時使用する労働者数等に応じて、総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医等の選任義務が課されています。

また、派遣先は、常時使用する労働者数等に応じて、安全管理者や安全衛生委員会等の選任・設置義務も課されています。

なお、安全管理体制の確立については、派遣先がもっぱらの責任主体となります。

安全衛生管理体制の確立(選任・設置義務)

派遣元事業主 派遣先
総括安全衛生管理者
安全管理者
衛生管理者
安全衛生推進者

※但し、衛生推進者の選任義務あり。

産業医
安全衛生委員会

※但し、衛生委員会の設置義務あり。

 

 

危険又は健康障害の防止措置の実施

安全第一派遣先は、機械等の安全措置など、派遣労働者が就労するに際し、危険又は健康障害を防止するための措置を実施しなければなりません。

なお、この危険・健康障害の防止措置の実施は、派遣先がもっぱらの責任主体となります。

 

 

安全衛生教育の実施

派遣労働者の安全衛生を確保するために、派遣元事業主、派遣先共に安全衛生教育を実施しなければなりません。

具体的には、派遣元事業主は、派遣労働者の雇入れ時、作業内容変更(派遣先の変更等)時に安全衛生教育を実施する必要があります。

他方、派遣先は、派遣労働者の作業内容変更(異なる作業への転換等)時、危険有害業務従事時に安全衛生教育(危険有害業務従事時は特別教育)を実施する必要があります。

安全衛生教育の実施義務等

派遣元事業主 派遣先
雇入れ時

 

×

※実施結果の確認

作業内容変更時

例:派遣先の変更

例:異なる作業への転換、作業方法の大幅変更

危険有害業務従事時 ×

 

 

健康診断の実施

健康診断について、一般健康診断は派遣元事業主が、特殊健康診断は原則として派遣先が行う必要があります。

なお、派遣元事業主が特殊健康診断を実施しなければならないのは、派遣労働者が有害業務に従事した後、派遣期間が満了し、別の派遣先では有害業務に従事していない場合となります。

 

 

具体的対応(設問について)

上述のとおり、派遣先も派遣労働者に対して、安全衛生教育を実施しなければならない場合があります。

また、派遣先に実施義務はなくとも、例えば、雇入れ時の安全衛生教育(実施義務者は派遣元事業主)を派遣元事業主が適切に行うことができるよう、派遣先で使用する機械・設備の種類、作業内容の詳細、派遣先において使用している教材、資料などを、派遣元事業主に対し積極的に提供することが重要です。

また、派遣元事業主から教育の委託の申入れがあった場合には、可能な限りこれに応じるよう努めるなど必要な協力をすることが重要です。

労働安全衛生管理体制、安全衛生教育は、派遣関係に限らず必要になる場合があります(派遣関係の場合はより複雑になることもあります。)。

企業法務チームこうした問題への対応は労働問題に精通した弁護士にご相談されることで解決することも多いです。

お悩みの方は、是非当事務所へご相談ください。

 

 


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