労使協定とは?労基署が問題視するポイントを教えて下さい。


就業規則・労使協定についてよくある相談Q&A

経営者のイメージイラスト労使協定とはどのようなものですか。また、労使協定について、労基署はどのような場合を問題視しますか?

 

Answer

弁護士鈴木啓太イラスト労使協定とは、使用者が労働者との間で締結される、書面による協定のことをいいます。

労使協定を締結すべき場合は種々ありますが、労働者に残業させる場合は労使協定が必要であり、これを締結していないと是正勧告等の対象となります。

 

労使協定の締結と届出義務

労働基準法は、使用者に対して、一定のことを実施する場合、事前に労働者との間で労使協定を締結しなければならないと定めています。

この労使協定の中には労基署への届出が必要なものとそうでないものがあります。労働者に与える影響が大きいものなど、特に労基署が把握しておく必要性が高いものについては届出が必要となっています。

労働基準法における労使協定の締結と届出義務を整理すると下図のとおりとなります。

労使協定の整理

労使協定の締結が必要な事項 労基法の根拠条項 労基署への届出義務
時間外・休日労働 36条
賃金から法定控除以外にものを控除する場合 24条
1ヶ月単位の変形労働時間制           ○ 32条の2 ◯(注1)
1年単位の変形労働時間制 32条の4
1週間単位の非定型的変形労働時間制 32条の5
フレックスタイム制 32条の3
休憩の一斉付与の例外(交替休憩) 34条
専門業務型裁量労働制 38条の3
企画業務型裁量労働制 38条の4
事業場外労働のみなし労働時間制 38条の2 ◯(注2)
年次有給休暇の時間単位での付与 39条4項
年次有給休暇の計画的付与 39条6項
年次有給休暇の賃金を標準報酬日額で支払う場合 39条7項
労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合 18条2項
1か月60時間を超える時間外労働の賃金 引上げ部分の代替休暇の付与 37条3項

注1:就業規則に定めた場合には届出は不要

注2:事業場外労働が法定労働時間内の場合は不要

例えば、労働基準法では、法定労働時間外の労働が禁止されていて、もし、違反した場合には会社が罰則を受けることになります。

しかし、時間外労働に関する協定を締結し、労基署へ届け出ていれば、罰則を受けることがなく時間外労働を命ずることができるようになります(同法36条)。

なお、この時間外・休日労働に関する労使協定は、労働基準法第36条に基づくものであることから、通常「三六(サブロク)協定」と呼ばれています。

 

 

実務上の留意点

労使協定は、従業員の過半数代表者(過半数労働組合がある場合はその労働組合。以下「過半数代表者等」という。)との間で締結しなければなりません。すなわち、労使協定は、過半数代表者等が同意しなければ締結できません

なお、就業規則は過半数代表者等の同意までは不要です。すなわち、就業規則は過半数代表者等から意見を聴くだけでよく、仮に、意見を就業規則の内容に反映しなかったとしても、そのこと自体は違法ではありません。

会社員 周知また、労使協定は、結するだけではなく、就業規則と同様に労働者に周知しなければなりません(労基法106条)。

使用者は、労使協定を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は、備え付けること、書面を交付すること、又はコンピュータを使用した方法によって、労働者に周知させなければなりません(労基法106条1項、労基則52条の2)。

使用者がこの周知義務を履行しない場合、30万円以下の罰金に処せられますので注意が必要です(労基法120条1号)。

労使協定について、詳しくは労働問題に詳しい弁護士へご相談ください。

当事務所の労働弁護士は、使用者側専門であり、企業の人事労務戦略をサポートしています。

まずはお気軽にご相談ください。

 

 


「就業規則・労使協定」についてよくある相談

よくある相談Q&A