災害調査とは?|災害時監督が実施される場合と対応

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者


災害調査とは、災害発生原因を明らかにし、原因を解消し事業主に再発防止を促すための労働基準監督署による調査です。

死亡事故の発生など重大な労働災害が発生した場合に、事故発生後、速やかに実施されます。

災害時監督は、事故報告書などから法違反の可能性がある事故についての調査です。

災害調査、災害時監督のいずれについても労働基準監督官等からの事情聴取など誠実に対応する必要があります。

ここでは、災害調査や災害時監督が実施された際の対応について解説していきます。

ぜひ参考になさってください。   

災害調査とは

災害調査の対象

労働災害により被災者が死亡した場合や、同時に複数人が被災する重大災害の場合、被災者が一人でも重篤な傷害を負った場合に実施されます。

災害調査の目的は、労働安全衛生法など法違反の有無の調査をすること、災害発生原因を明らかにすること、原因を解消し事業主に再発防止を促すとともに今後同種の災害が起きないように、労働災害防止に向けた行政施策の立案・展開に役立てることにあります。

 

災害調査の実施方法

災害調査では、労働基準監督署に連絡が入り次第、速やかに労働基準監督官と産業安全専門官、労働衛生専門官等が現場に行きます

調査の内容は、災害発生現場の元々の状況、被災の状況、災害発生の原因、労働安全衛生法等の法違反の有無などを中心に調査が実施されます。調査の中で、法違反が災害の発生原因になっていると認められる場合には、司法審査に切り替わります

調査の結果は、すべて都道府県労働局に報告され、事案によっては、厚生労働本省労働基準局に報告されることになります。

 

災害発生時の企業の対応

まず、企業としては、重大災害が発生し、労働者が死亡、瀕死の重傷、中毒、爆発災害が発生した場合には、所轄の労基署に連絡をしなければならず、一定の重大事故に関しては事故報告書を提出する必要があります。

また、企業としては、現場に調査に来た労働基準監督官等による事情聴取に対応し、また、労働基準監督官から二次災害防止のための指示がされた場合には、可能な限り協力しなければなりません

災害発生の原因が労働安全衛生法と同法に基づく規則その他の法令について違反がある場合には、事業の関係者に労働基準監督署への出頭を命じられる場合があります。

 

災害時監督とは

災害時監督の対象

災害時監督は、災害調査を実施するケースに該当しない一定以上の労働災害が発生した場合に、労働基準監督官が実施します。

労働災害の発生を把握し、同種の労働災害の発生防止を主眼として実施される臨検監督です。

 

災害時監督の実施の流れ

労働基準監督官が企業から提出された死傷病報告や労災の請求書などから、もともと事故の発生原因に法令違反がありそうなものをピックアップして臨検を実施します。

違反の例としては、作業手順などの作業方法に関する違反、機械そのものの問題に関する違反、環境の管理に関する違反などが考えられます。

労働基準監督官は、災害時監督を実施した結果をもとに、問題があれば災害再発防止のために是正勧告や指導票を渡すなどして、是正指導することになります。

 

災害時監督での企業の対応

企業としては、臨検に来た労働基準監督官に対して、事故報告書に記載している事故の発生状況や被災労働者の状態などについて、具体的に説明することが求められます。

また、事前に資料の開示を求められているならば、その準備も必要となります。

災害時監督での企業の対応

 

 

災害調査や災害時監督の実施は拒否できる?

災害調査や災害時監督を拒否すべきではありません。

これらの調査を拒否した場合、労働基準監督官の臨検を拒み、妨げたということで、刑事罰が科される可能性があります。

調査を拒否して、送検手続きがとられれば、報道されてしまい社会的信用を失う可能性もあります。

したがって、正当な理由がなく災害調査や災害時監督を拒否すべきではありません。

どうしても日程が合わないなどの理由があれば、労働基準監督官に事情を説明して日程を調整してもらうなどの対応をすべきでしょう。

 

 

災害調査についてよくあるQA

罹災調査とは何ですか?

罹災調査とは、地震や洪水、豪雨などの自然災害によって被害を受けた家屋の被害状況を調査するものです。

罹災調査は、市区町村の調査員が行います。

罹災調査は、災害調査・災害時監督とは全く別物です。

 

災害危険度判定調査とは何ですか?

災害危険度判定調査とは、建物構造や道路、公園などについて、地震による危険性を調査するものです。

 

災害危険度判定調査も市区町村が実施するもので、災害調査・災害時監督とは全く別物です。

 

 

まとめ

災害調査や災害時監督にあたって、対応に不安があるのであれば、弁護士などの専門家に立ち会ってもらうことも検討すべきでしょう。

労働事件チーム当事務所では、労基署対応の経験豊富な弁護士もおり、実際に臨検に立ち会った弁護士もいます。
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