労基署が労働関係の書類を問題視するポイントを教えて下さい。


採用についてよくある相談Q&A

経営者のイメージイラスト労働者名簿、賃金台帳のほかに、労働関係に関する重要な書類はありますか?また、それらの書類について、労基署はどのような場合を問題視しますか?

Answer

弁護士本村安宏雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他タイムカードなど労働時間の記録に関する書類が重要です。これらは3年間の保存義務があり、違反した場合は30万円以下の罰金に処せられます。

 

記録の保存義務

労働基準法は、使用者に対し、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類について、3年間の保存義務を課しています(同法109条)。

これは労働関係の紛争解決及び監督上の必要から、その証拠を保存するために、労働関係に関する重要書類について、一定期間保存すべき義務を定めたものと解されます。

このような法の趣旨からすると、ここでいう「その他労働関係に関する重要な書類」とは、例えば、出勤簿、タイムカード、労使協定書等が該当すると考えられます。

なお、行政解釈(通達)も、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類は「その他労働関係に関する重要な書類」に該当するとし、関係する書類としては、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、タイムカード等の記録、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書などがあるとしています(平成13年4月6日基発第339号)。

保存義務に違反した場合は30万円以下の罰金が法定刑となっています(労基法120条1号)。

 

 

保存期間

保存期間である3年の起算点は、書類によって異なりますが、下図のとおりです。

記録の保存期間

記録 保存期間の起算日
労働者名簿 労働者の死亡、退職又は解雇の日
賃金台帳 最後の記入をした日
雇入れ又は退職に関する記録 労働者の退職(解雇)又は死亡の日
災害補償に関する記録 災害補償が終わった日
賃金その他労働関係に関する重要な書類 その完結の日

 

 

パソコン等に保存する方法

近年はペーパーレス化が進んでいることから、労働関係に関する記録をパソコン等で作成し、電子データとして保存する企業が増えています。このような場合、労働関係に関する記録をわざわざ紙で出力して保存しなければならないのかが労働基準法上明らかではないため問題となります。

パソコンこの点について、行政解釈(通達)は、光学式読み取り装置(OCR)により、読み取り、画像情報として光磁気ディスク等の電子媒体に保存する場合、
①画像情報の安全性が確保されていること、②画像情報を正確に記録し、かつ、長期間にわたって復元できること(詳細は下図を参照)
のいずれの要件も満たすときは保存義務違反とはならないとしています(平成8年6月27日基発第411号)。

 

電子媒体へ保存する要件

画像情報の安全性が確保されていること 故意又は過失による消去、書換え及び混同ができないこと。電子媒体に保存義務のある画像情報を記録した日付、時刻、媒体の製造番号等の固有標識が同一電子媒体上に記録されるとともに、これらを参照することが可能であること。
同一の機器を用いて保存義務のある画像情報と保存義務のない画像情報の両方を扱う場合には、当該機器に保存義務のある画像情報と保存義務のない画像情報のそれぞれを明確に区別する機能を有していること。
画像情報を正確に記録し、かつ、長期間にわたって復元できること 電子媒体、ドライブその他の画像関連機器について、保存義務のある画像情報を正確に記録することができること。
法令が定める期間にわたり損なわれることなく保存できること。
電子媒体、ドライブ、媒体フォーマット、データフォーマット、データ圧縮等のデータ保管システムについて、記録された画像情報を正確に復元できること。また、労働基準監督官の臨検時等、保存文書の閲覧、提出等が必要とされる場合に直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていること。

労働関係の書類の作成について、詳しくは労働問題に詳しい弁護士へご相談ください。

当事務所の労働弁護士は、使用者側専門であり、企業の人事労務戦略をサポートしています。

まずはお気軽にご相談ください。

 

 


「採用」についてよくある相談

よくある相談Q&A