労基署はどのような事項を重点的に監督していますか?


労基署対応についてよくある相談Q&A
Answer

弁護士勝木萌イラスト月80時間を超える残業が行われている事業場などに対する監督指導の徹底をはじめ、長時間労働の是正に向けた取組みを積極的に行っています。

 

過重労働解消キャンペーン

平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」や「日本再興戦略2016」には、「長時間労働の是正に向けた法規制の執行強化」が盛り込まれるなど、長時間労働対策の強化が喫緊の課題となっています。

これを受け、厚生労働省は、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を平成28年11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組みを推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組みを集中的に実施しました。

また、このときの重点監督は、下図の内容とされていました。

重点監督の内容

書類を記入する男性の写真1 監督の対象とする事業場等

以下の事業場に対して、重点監督を実施

①長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等

②労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等を端緒に、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等

※必要に応じ夜間の立ち入りを実施。

※②については、監督指導の結果、法違反の是正が図られない場合は、是正が認められるまでハローワークにおける職業紹介の対象としない。

2 重点的に確認する事項

①時間外・休日労働が時間外・休日労働に関する協定届(いわゆる36協定)の範囲内であるかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導する。

②賃金不払残業がないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導する。

③不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導する。

④長時間労働者については、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導する。

3 書類送検

重大・悪質な違反が確認された場合は、送検し、公表する。

この重点監督は、労働基準関係法令の違反が疑われる全国7014の事業場に対して集中的に実施されました。

そして、4711の事業場(全体の67.2%)で労働基準関係法令違反を確認し、そのうち 2773の事業場(39.5%)で違法な時間外労働が認められたため、それらの事業場に対して、是正に向けた指導が行われました。

 

重点監督の結果のポイント

1 重点監督の実施事業場:7014事業場

4711の事業場(全体の67.2%)で労働基準関係法令違反あり。

2 主な違反内容

①違法な時間外・休日労働があったもの:2773事業場(39.5%)

うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が1か月当たり80時間を超えるもの:1,756事業場(63.3%)

うち、月100時間を超えるもの:1,196事業場(43.1%)

うち、月150時間を超えるもの:257事業場(9.3%)

うち、月200時間を超えるもの:52事業場(1.9%)

② 賃金不払残業があったもの:459事業場(6.5%)

③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:728事業場(10.4%)

3 主な健康障害防止に係る指導の状況

①過重労働による健康障害防止措置が 不十分なため改善を指導したもの:5269事業場(75.1%)

うち、時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの:3299事業場(62.6%)

②労働時間の把握方法が不適正なため 指導したもの:889事業場(12.7%)

解説する弁護士のイメージイラスト厚生労働省は、上図の結果を踏まえて、長時間労働が行われている事業場などに対する監督指導の徹底をはじめ、長時間労働の是正に向けた取組みを積極的に行っていくと発表しています。

例えば、今年も11月に同様の過重労働解消のためのキャンペーンを予定しています。

その他の取組みの一つとして、厚生労働省は、平成29年1月20日、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを策定し、公表しました。

このガイドラインでは、労働時間の適正管理に対する使用者の責務を明らかにし、労働時間に該当するか否かについて具体例(下図参照)が記載されています。

これは、従来より通達されていた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日、基発339号)を、より具体的にしたものといえます。

 

労働時間の具体例

①使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間

②使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)

③参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

解説する弁護士のイメージイラストまた、同省は、違法残業の疑いで書類送検した事案などを平成29年5月からホームページで一括掲載するようになりました。

対象は、平成28年10月以降に労使協定の上限を超えて違法に残業させたり、残業代を支払わなかったりした疑いなどで書類送検した事案です。

従来は報道発表してもホームページに掲載していない都道府県労働局がありました。違法残業事案をホームページへ掲載することで、一罰百戒の効果を得ようとするものです。

労働基準法違反容疑で書類送検された電通を巡っては、滋賀県などが発注事業の競争入札への参加停止の措置を取っており、自治体への情報提供という狙いもあります。

このような状況からすると、今後、労基署は、長時間労働が疑われる事業所に対して、より積極的に監督を行っていくことが予想されます。

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