労基署の定期監督とは|拒否することはできる?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 鈴木啓太

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士


労基署から調査の案内が来ましたが、定期監督を拒否することはできますか?

 

弁護士の回答

定期監督とは、厚生労働省で毎年作成される方針に基づき、対象となる事業場を選別して行うものであり、労働基準法や労働安全衛生法に基づいた調査です

したがって、定期監督を拒否することはできません。

調査を拒否したり、調査で虚偽の報告をしたりすると刑事罰を科せられることになります。

 

定期監督の法的根拠

労働基準法は、労働基準監督官に、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行う権限を与えています(労基法101条1項)。

また、労働基準監督官は、労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行うこととされています(労基法102条)。

労働安全衛生法にも同様の規定が定められています(安衛法91条1項、92条)。

このように、定期監督は法的根拠をもって実施されています。

参考:労働基準法|電子政府の窓口

 

 

定期監督は拒否できない

定期監督を拒否すると罰則が課される可能性がある

労働基準法は、120条の罰則規定において、労働基準監督官の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者には30万円以下の罰金に処すると定めています(労基法120条4号)。

したがって、調査の案内が来たにもかかわらず、無視し続けたり、合理的な理由もないまま、拒否し続けていれば、刑事処分の可能性も出てきます。

参考:公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会|判例検索

 

無視や拒否すれば調査が厳しくなる可能性も

定期監督の調査のために、労基署への来所を促されたにもかかわらず、何の連絡をすることなく、指定された日に労基署を訪れなかった場合には、後日、事業場に電話連絡が入ったり、あるいは労働基準監督官が抜打ちで調査が実施される可能性があります。

その際、担当する労働基準監督官としては、事業場から連絡がない以上、調査に非協力的な事業場であると判断して、厳しい姿勢で調査を進めていくことになり、その後の調査に悪影響を与えかねません。

したがって、労基署の連絡を無視するのは到底得策とはいえません。

同じく、労働基準監督官が事業場を来訪する場合でも、事業場内への立入りを拒否したりすることはできません。

労働基準監督官には、調査権限が法律上認められているため、労働基準監督官の行為が建造物侵入罪になることはありません。

 

 

定期監督の実施日は変更できる?

労基署から案内された日時は都合が悪く、労基署へどうしても行くことができない場合もあります。

このような場合は、案内を無視するのでなく、事前に担当する労働基準監督官に連絡して日時の変更をしてもらうようにするべきです。

基本的に、定期監督の場合には、通知書が届いてすぐに連絡すれば日時の変更には応じてもらえる可能性は高いでしょう。

しかしながら、何回も日時を変更したりすることや一度事業場の方から提案した日を後日、直前になって変更するといったことは調査の拒否と評価されますので、控えなければなりません。

また、労働基準監督官が抜打ちで事業場を訪問した際に、代表者が出張で不在にしている場合など、定期監督に対応できない場合もあり得ます。

このような抜打調査の場合には、代表者がいない旨を伝えて労働基準監督官に再来訪をお願いします。

仮に、調査の内容として、代表者の事情聴取が必要な場合には、労働基準監督官としてもその日に調査を行うことはできませんので、改めて調査日を設けざるをえません。

ただし、就業規則や36協定届の締結状況の確認といった形式的な面の調査の場合、代表者が不在にしていても、その場にいる労働者に就業規則の場所や36協定の締結の有無を確認すれば足りるので、この場合には、調査を別日に変更することは困難でしょう。

 

 

まとめ

定期監督を拒否すれば、その後の調査が厳しくなる可能性があり、悪質な場合には刑事罰が課される可能性があります。

したがって、定期監督は拒否することなく誠実に対応する必要があります。

 

 


労基署対応
   
執筆者
弁護士 鈴木啓太

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 法人分野:労務問題 個人分野:人身障害事件  

実績紹介 / 福岡県屈指の弁護士数を誇るデイライト法律事務所のパートナー弁護士。労務問題に注力。企業向けに働き方改革等のセミナー講演活動を行う。「働き方改革実現の労務管理」「Q&Aユニオン・合同労組への法的対応の実務」等の書籍を執筆。



  

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