派遣労働者を毎週土曜日に働かせる場合労基署はどう考えますか?


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解説する弁護士のイメージイラスト今度派遣元から派遣されてくる予定の労働者を、毎週土曜日に働かせようと考えています。当社の就業規則では、土曜日は休日になっていないので休日労働にはならないと思うのですが、労基署はどう考えるでしょうか?

 

Answer

弁護士鈴木啓太イラスト派遣元の就業規則上、土曜日を休日と規定している場合には休日労働になります。

そのため、労基法違反(36協定違反)となる可能性があるため、そもそも労働者派遣ができない場合に該当する可能性がありますし、そのまま派遣すると労基署の調査等の対象になる可能性があります。

 

労働者派遣についての労働行政運営方針

解説する弁護士のイメージイラスト厚生労働省は、「平成29年度地方労働行政運営方針」の「派遣労働者の保護及び就業条件の確保対策等の推進」において、「派遣労働者の保護措置の更なる充実を図るため、労働者派遣法違反を繰り返す派遣元事業主等に対する指導監督に万全を期し、労働関係法令の遵守を徹底させるほか、安全衛生教育や健康管理に関する派遣元・派遣先の連携を徹底させる必要がある。このため、共同した監督の実施など職業安定行政と労働基準行政との緊密な連携を図る。」として、重点施策にあげています。

これまでも労基署は、労働者派遣の違反について厳しい方針で臨んできましたが、今後もそれは変わらないでしょう。

特に、労働者派遣は、最近平成27年改正があったこともあり、より規制内容が複雑になったといえます。

 

 

労働者派遣

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「派遣法」といいます。)第2条1号で「労働者派遣」は、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないとする。と定義されています。

つまり、労働者派遣において、雇用関係にあるのは派遣元事業主と派遣労働者のみであり、派遣先と派遣労働者との関係は指揮命令関係のみとなります。

下記のとおり、①派遣元事業主と派遣先との労働者派遣契約②派遣元事業主と派遣労働者との雇用関係③派遣先と派遣労働者との指揮命令関係の3つがポイントになります。

労働者派遣

解説図

①派遣元事業主(A)と派遣先(B)との、労働者派遣契約

当該契約に基づき、Aは派遣労働者(C)を派遣

当該契約に基づき、BはAに対して、派遣料金支払い

 

②CがBに派遣されても、Aとの雇用関係は継続

 

③BはCに対して、指揮命令

CはBに対して、労務を提供

 

 

派遣元と派遣先の義務分担

上記のとおり、派遣労働者と雇用関係にあるのは派遣元事業主です。そのため、就業規則の作成・届出は派遣元事業主が行うことになりますし(労基法第89条)、派遣労働者には派遣元事業主の就業規則が適用されることになります。

もちろん、派遣元事業主、派遣先事業主ともに、労基法を遵守しなければならないことは当然です。

派遣元・派遣先の労基法上の責任分担(主なもの)

労基法上の実施事項 派遣元 派遣先
労働契約の締結   〇   -
労働者名簿の作成・保存   〇   -
就業規則の作成・届出   〇   -
賃金の支払   〇   -
変形労働時間制、フレックスタイム制の労使協定の締結・届出

時間外・休日労働協定の締結・届出

  〇   -
時間外・休日・深夜労働の割増賃金の支払   〇   -
賃金台帳の作成・保存   〇   -
労働時間、休憩時間、休日の管理 ※1   -   〇
年次有給休暇の付与   〇   -
年少者の労働時間、休日の管理   -   〇
産前・産後休業の付与   〇   -
産前・産後休業の制限(時間外・休日・深夜労働)   -   〇
育児時間の付与

生理日の就業が著しく困難な場合の措置

  -   〇
労働災害補償の支払   〇   -

※1 労働時間、休憩時間、休日労働の労使協定の締結・届出は派遣元がこれを行い、派遣先はその枠組みに従って、派遣労働者を指揮命令して就労させることになります。

 

 

留意点

労働時間管理

時間のイメージ画像派遣労働者の労働時間管理の枠組みは、労働関係法令に従うとともに、派遣元事業主が就業規則等を定め(労基法第89条)、時間外・休日労働協定の締結・届出(同法第36条)等を行うことになります。

派遣先事業主は、これらを遵守して派遣労働者を指揮命令することになります。とはいえ、現実に派遣労働者が就労しているのは派遣先になるため、労働時間、休憩、休日等の管理については、派遣先事業主が責任を負います(派遣法第44条2項)。

仮に、派遣先において時間外労働、休日労働等をすることが予定されている場合は、労働者派遣契約締結前にあらかじめ確認しておく必要があります。

時間外・休日労働ができる場合

①派遣元事業主の就業規則に、時間外・休日労働に関する規定を設ける。

②派遣元が、時間外・休日労働に関する36協定を締結して、労基署に届け出る。

③派遣元事業主と派遣労働者との間で、労働条件通知書及び就業条件通知書に、時間外・休日労働に関する事項を記載し、当該労働者の同意を得る。

④派遣元事業主と派遣先との間で締結する労働者派遣契約書に、派遣労働者について、時間外・休日労働に関する規定を設ける。

 

労働者派遣が禁止される場合

解説する弁護士労働者派遣をする際には、派遣元事業主と派遣先事業主とが、労働者派遣契約を締結することになります。しかし、当該派遣契約内容に沿った労働をすると労基法等に反する場合には、そもそも労働者派遣をすることができません(派遣法第44条3項)。

例えば、下図に挙げる場合が想定されます。

派遣元が労働者派遣をしてはならない場合

労働者派遣契約の内容 労基法違反の内容
時間外労働が認められている。 派遣元で、時間外・休日労働協定を締結していない。
休日労働が認められている。 派遣元で、休日労働協定を締結していない。
深夜労働(午後10時から午前5時)に従事できる。 派遣労働者が年少者(18歳未満)であった。

 

労働者派遣については契約関係等が複雑になります。そのため、労務管理についてもより慎重な対応が求められる場面もあります。

派遣労働問題については、労務問題に精通した弁護士に相談されることをお勧めします。

 

 


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