労働関係法令違反を理由とする刑事責任の手続きを教えて下さい。


その他についてよくある相談Q&A

質問労働関係法令に違反したことを理由に刑事責任を追及される場合、どういった手続きの流れになるのでしょうか?

 

Answer

弁護士西村裕一イラスト重大な法違反や告訴・告発等をきっかけに、労働基準監督官が捜査を開始します。その後、労働基準監督官が集めた証拠や意見書を検察官に送致し、検察官が最終的に起訴するか否かを決定し、起訴された場合には裁判所の判決が下されます。

 

労働基準法等の違反による刑事責任

赤色灯労働基準法や労働安全衛生法には、法違反を犯した場合には懲役ないし罰金の罰則が規定されています。したがって、法違反を隠匿していたり、違反が重大であるような悪質なケースについては、労働基準監督官が捜査を行い送検され起訴される場合があります。

検察官に起訴されて、有罪判決を受ければ懲役ないし罰金の支払をしなければなりません。当然、前科も付くことになります。また、有罪判決となれば企業としての信用を失い経営自体立ち行かなくなるかもしれません。

したがって、使用者としては、労働基準法に違反することは犯罪にもなりえるということはしっかり肝に銘じておくべきです。

 

 

刑事責任追及の流れ

刑事責任の追及への端緒

労働基準法の違反があったとしても、労働基準監督官が刑事責任追及に向けて直ちに捜査を開始することはありません。行政指導等により法に沿うように是正することを使用者に促します。使用者がそれに応じて是正されれば、それで事件は完結です。

違反 イメージしかし、使用者が是正に応じず、行政指導を無視し続けた場合には、労働基準監督官もそれを無視することはできないため、具体的に送検することを検討することになります。

また、労働者から告訴があったり、第三者からの告発があった場合には、労働基準監督官は捜査を開始することになります。告訴ないし告発があった場合には、労度基準監督官の裁量で行政指導等に代えることはできないからです。

さらに、死亡・重症事故が発生した場合や労災隠しなどの重大な法違反が発覚した場合にも捜査が開始される場合があります。

 

捜査

管理職イメージ例えば、割増賃金の未払いの場合には、労働時間の記録や賃金台帳、労働者名簿などを任意提出させ、必要な捜査資料について照会し、代表者や管理者の取調べを実施することが考えられます。必要資料について、企業が任意に提出しなければ捜索差押えされる場合もあります。

労働災害が発生した場合には、必要書類の収集に加えて、産業安全専門官や労働衛生専門官とともに災害調査を行い、実況見分などの捜査が行われる場合があります。

被疑者や参考人として取調べを受けることは精神的にも大きな負担がかかることになりますが、捜査には誠実に協力すべきです。

 

送検

大量の資料のイメージ画像労働基準監督官の捜査が終了すると、捜査によって集められた証拠と労働基準監督官の意見書とともに、検察官に送致されます。

ほとんどの場合が書類送検となりますが、被疑者が勾留されている場合には、被疑者の身柄も一緒に検察官に送致されることになります。

 

起訴・不起訴

最終的に起訴するかどうかは、検察官の判断に委ねられます。

労働基準監督署の送致事件の平成26年の起訴率は40.3%です。送検されたとしても約6割程度は不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、罪とならず)として処分されています。

起訴される場合には、正式手続きと略式手続のいずれかで起訴されることになります。

正式手続きによる場合には、公判期日を設定して公開された法廷にて、冒頭手続き、証拠調べ、論告・弁論、判決という流れで裁判が行われます。

略式手続の場合には、簡易裁判所で行われ、公判を開かずに書面審理で刑を言い渡すことになります。

 

判決

検察官から提出された証拠や被告人が提出した証拠や弁論を踏まえて、裁判官が判決を下すことになります。

判決により有罪判決がなされ、判決が確定したときに有罪が確定することになります。メディアでは、逮捕や送検がなされた時点で、すでに有罪が確定しているかのような報道がなされますが、裁判所での判決が確定するまでは、無罪が推定されています(無罪推定の原則)。

労働基準法や労働安全衛生法に違反した場合にも刑事罰が処せられる場合があります。

弊所では企業側で労働問題に精通した弁護士や刑事事件に特化して活動している弁護士が在籍しておりますので、刑事処分に関してお困りの経営者の方はお気軽にご相談ください。

刑事責任追及の流れ

①刑事責任追及への端緒
・是正勧告や行政処分に従わず法令違反状態を放置する場合

・死亡・重篤な労働災害の発生や重大な法違反が発覚した場合

・被害者の告訴、第三者からの告発があった場合など

 

②捜査
・証拠品の収集(任意提出を求め拒否されれば強制捜査される場合もある)

・必要な捜査資料について照会・収集

・関係者(被疑者・参考人)からの事情聴取

・実況見分の実施など

 

③送検
捜査活動で収集した証拠に基づき、犯罪事実を確定して、送致書を作成し検察官に送致。

 

④起訴・不起訴
検察官が送致書や証拠を検討し起訴・不起訴を判断する

 

⑤判決
提出された証拠に基づき、裁判官が有罪・無罪を判断する

 

 


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