派遣労働者を懲戒処分にする場合労基署から指摘等を受けますか?

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者


解説する弁護士のイメージイラスト弊社(派遣先)では、派遣元事業主から派遣されている労働者を就労させていますが、無断欠勤、備品損壊等の問題行動を立て続けに起こしています。

実際に就労をしている場所は弊社で、弊社が一番よく状況を把握していますので、この派遣労働者を懲戒処分にしたいと考えています。労基署から指摘等を受けることはあるのでしょうか?

 

Answer

弁護士勝木萌イラスト派遣先は、派遣労働者の雇用主ではないため、懲戒処分をすることはできません。

 

派遣元・派遣先と派遣労働者の関係

労働者派遣において、雇用関係にあるのは派遣元事業主と派遣労働者であって、派遣先と派遣労働者との関係は指揮命令関係のみとなります。

そのため、派遣労働者の労働条件は、派遣元から派遣労働者に明示された就業条件記載のもの(「就業条件明示書」)となります。

派遣元事業主と派遣先とは、事前に労働者派遣契約書を締結し、派遣労働者の従事する業務の内容、派遣先の事業所名と所在地、指揮命令者、派遣の期間、終業時間・休憩時間に関する事項を定めます(派遣法第26条1項)。

この時、仮にこの記載内容と就業条件明示書の記載内容が抵触した場合には、就業条件明示書の条件に従うことになります。

就業条件明示書と労働者派遣契約書

解説図

 

 

就業規則

懲戒処分の根拠

使用者は懲戒の事由と手段を就業規則に明定して労働契約の規範とすることによってのみ懲戒処分をなしうると解されています(菅野660頁)。

懲戒処分には、懲戒解雇、諭旨解雇、出勤停止、減給、戒告等の種類があるとともに、就業規則上懲戒事由も規定されることになります。

 

就業規則の適用

派遣元事業主、派遣先が、それぞれ就業規則を作成・届出をしていた場合、派遣労働者に適用される就業規則は、派遣元事業主のものとなります。雇用関係にあるのが、派遣元事業主と派遣労働者だからです。

そのため、設問のように派遣労働者が派遣先で、無断欠勤、備品損壊等の問題行動を立て続けに起こした場合は、派遣元事業主の就業規則に照らし、懲戒事由該当性、懲戒処分内容等を検討していくことになります。

 

 

対応方法

派遣先としては、派遣労働者が問題行動を起こした際、派遣元事業主に連絡して、今後の方向性を協議することになります。

場合によっては、損害賠償請求や労働者派遣契約書の解除の話になることも想定されます。

後々、派遣元事業主と派遣先でトラブルにならないよう、労働者派遣契約書にこうした場合の対処法を明示しておいた方がよいでしょう。

派遣労働問題に限らず、会社では懲戒処分を検討しなければならない場面が存在します。

しかし、どのような懲戒処分をすべきなのか(あるいはしてもよいのか)については慎重な対応が必要になることもあります。

当事務所ではこうした問題についてのご相談を多数いただいております。お悩みの方は是非ご相談ください。

 

 


その他
   
執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

専門領域 / 法人分野:労務問題、外国人雇用トラブル、景品表示法問題 注力業種:小売業関連 個人分野:交通事故問題  

実績紹介 / 福岡県屈指の弁護士数を誇るデイライト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。労働問題を中心に、多くの企業の顧問弁護士としてビジネスのサポートを行っている。労働問題以外には、商標や景表法をめぐる問題や顧客のクレーム対応に積極的に取り組んでいる。



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