賃金台帳とは?労基署が問題視するポイントを教えて下さい。

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者


質問 社員賃金台帳とはどのようなものですか?

また、賃金台帳について、労基署はどのような場合を問題視しますか?

 

Answer

弁護士森内公彦イラスト賃金台帳とは、使用者が事業場ごとに賃金支払の都度遅滞なく各労働者ごとに調整しなければならないと定められている台帳です。

使用者は、賃金台帳を作成・記入し、3年間保存しておかなければ、労働基準法違反となります。

 

賃金台帳の調製義務

使用者は、事業場ごと(2つ以上の事業場を持っている企業は、それぞれの事業場ごとに)に賃金台帳を作成し、すべての労働者(日日雇い入れられる者を含む。)について、労働者ごとに下図に掲げる事項を記入しなければなりません(労基法108条・労基則54条)。

賃金台帳の記入事項

①氏名

②性別

③賃金計算期間:日日雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)は記入する必要がない。

④労働日数

⑤労働時間数

⑥時間外労働時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数

⑦基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額:通貨以外のもので支払わる賃金がある場合には、その評価総額

⑧法令及び労使協定に基づいて、賃金の一部を控除した場合には、その額

賃金台帳使用者は、この賃金台帳を3年間保存しておかなければなりません(同法109条)。

なお、この3年間の起算点は、最後の記入をした日となります(労基則56条2号)。

したがって、使用者は、賃金台帳を作成・記入し、3年間保存しておかなければ、労働基準法違反となります。賃金台帳の違反の場合は30万円以下の罰金が法定刑となっています(労基法120条1号)。

 

 

パソコン等に保存する方法

近年はペーパーレス化が進んでいることから、賃金台帳をパソコン等で作成し、電子データとして保存する企業が増えています。このような場合、賃金台帳をわざわざ紙で出力して保存しなければならないのかが労働基準法上明らかではないため問題となります。

ノートパソコン

これについては、行政解釈(通達)があり、次の①及び②のいずれをも満たす場合には、労働基準法の要件を満たすものとして取り扱うとされています(平成7年3月10日基収第94号)。

①電子機器を用いて磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等により調製された賃金台帳に法定必要記載事項を具備し、かつ、事業場ごとにそれぞれ賃金台帳を画面に表示し、及び印字するための装置を備えつける等の措置を講ずること。

②労働基準監督官の臨検時等、貸金台帳の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていること。

賃金台帳等の作成について、詳しくは労働問題に詳しい弁護士へご相談ください。

当事務所の労働弁護士は、使用者側専門であり、企業の人事労務戦略をサポートしています。

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