弁護士コラム

「過労死ライン」超えていませんか?!


厚労省の報告

時間のイメージ画像厚生労働省が、5月16日に発表した報告書によると、1ヶ月の残業が最も長かった正社員の残業時間が「過労死ライン」の80時間を超えた企業は、22.7%にのぼるとのことです。 

これによると、2014年度1年間の勤務実態について、1ヶ月間の残業が最も長かった正社員の残業時間は、「80時間超~100時間以下」が10.8%、「100時間超」が11.9%とのことでした。

なお、過労死の労災認定基準では、月80時間の残業がラインとされています。

 

 

長時間労働による過労死により、使用者が負うリスク

長時間労働により、従業員が過労死した場合、使用者は、損害賠償責任を負うリスクがあります。これは、使用者は、従業員との関係で、安全配慮義務を負っているからです。この安全配慮義務について、労働契約法第5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定しています。

長時間労働による従業員の過労死について、使用者はこの規定にもとづき、損害賠償の責任を負うことになります。

すなわち、過労死ラインである月80時間以上の残業が認められながら、その状態を放置し、その結果、万が一、その従業員が過労死してしまった場合、使用者は損害賠償の責任を免れません。

例えば、過労自殺と使用者の安全配慮義務責任についての有名な判例である電通事件(最高裁平成12年3月24日)においては、第一審において、140時間を超える残業時間が認定され、1億円を超える損害賠償義務が認められました。

このように、従業員の長時間労働を放置していると、場合によっては、極めて高額な損害賠償が認められてしまう可能性があります。

従業員の労働時間については、タイムカード等で客観的に管理、把握するとともに、長時間労働が目立つ場合には、従業員の増員や配置転換、業務の割り振りを工夫する等の措置を講じることが大切です。

 

 

労働時間管理の重要性

労働時間のイメージ画像本稿で取り上げた過労死ラインとの関係で、労働時間を管理することが極めて重要なことは言うまでもありませんが、過労死ラインに限らず、労働時間の管理は、事業者にとっては、とても重要です。というのも、従業員が未払い残業代を請求してくるということが近年増えているからです。

労働時間管理の方法については、雇用契約における賃金の定め方と合わせて、実務的に問題が散見されるところです。

会社を守るという観点から、今一度、見直されることをオススメいたします。

 

 


この記事を書いた人

弁護士 竹下龍之介

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