会社の権利を確認する

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

経営三権とは

会社のイメージ画像労働者には「団結権」「団体交渉権」「争議権」という労働三権があるのに対し、使用者には「業務命令権」「人事権」「施設管理権」があり、これらを経営三権と言います。経営三権で認められている事項に関しては、経営者の専決事項としておくことが重要です。

つまり、労働組合に介入させないようにしておくことです。これらの権利については、労働組合と交渉する義務はありません。

経営主体がどちらなのか分らなくなりますので、交渉事項にすることは絶対に避けましょう。

 

業務命令権

使用者には、健康診断の受診、企業秩序を維持するための不作為命令など、本来の労働の提供とは直接的に関連しない事項に関しても労働者に対して必要な指示・命令を発する権限があり、これを「業務命令権」といいます。

労働の大原則として、使用者が労働者に対して指揮命令を行った場合、労働者は会社の指揮命令に従って誠実に職務を遂行するという義務があります。したがって、業務時間内に組合活動を要求された場合でも、会社は業務命令権を根拠として要求を拒否することができます。ややもすれば、組合に遠慮して組合活動を優先させてしまうようなケースがあります。

これが常態化していくと、職場規律が乱れて、円滑な業務遂行に支障が出てきます。

ルールを明確にし、きちんと線引きをしておきましょう。

例えば、労働協約の中で「組合の機関会議のみ、業務より優先させる場合がある」などと規定しておくことなどです。

 

人事権

使用者は、会社の人事(採用、配置、異動、人事考課、昇給、休職、解雇など)に関して決定する権限を有しています。人事異動を労働組合との交渉対象にしてしまうと、会社の人事に関して変更がある場合、労働組合の同意を得なければならないことになってしまいます。一般的に、使用者の人事に関する構想が、労働組合のそれと一致する可能性はほぼ無いと言っても過言ではないでしょう。

会社内に存在する労働組合の場合は、組合役員の資格に影響を及ぼすような人事異動に関しては不当労働行為になる可能性があるので、注意が必要です。

 

施設管理権

労働組合は使用者の援助なしに運営するのが原則であり、使用者が労働組合に便宜供与を行うことは労働組合の自主性を損なうおそれが強いという理由で、労働組合に対する便宜供与は禁止されています。しかしながら、一定範囲内では例外とされています。例えば、労働組合の事務所や掲示板の提供などは物的便宜供与として例外にあたります。

ただし、会社は施設管理権を有しているため、これを認めるも認めないも会社の自由です。

掲示板の内容に関する干渉は「表現の自由」の観点から注意が必要ですが、そもそも掲示板の設置を認めなければ、このような問題は起きません。

 

 

専門家に相談しましょう

弁護士イメージ画像経営三権以外にも、会社に不利益が生じないように考慮すべき点は多数存在します。

したがって、まずは労働諸法に詳しい弁護士に相談することをお薦めします。


 

 





  

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