固定残業代とは?メリット・計算・違法となる事例を解説

監修者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

保有資格 / 弁護士・MBA・税理士・エンジェル投資家


固定残業代とは、実際の残業時間にかかわらず毎月固定で支給される残業代のことです。

固定残業は誤解されていることも多く、トラブルに発展する事例が見られます。

このページでは、固定残業が有効となる要件や、メリット・デメリット、気をつけるべきポイントなどを、弁護士が解説します。

 

固定残業代とは

固定残業代とは、実際の残業時間にかかわらず毎月固定で支給される所定の時間分の残業代をいいます。

たとえば、固定残業時間を「10時間」と設定した会社において、従業員が5時間の残業をしたとします。

この場合、実際の残業時間は10時間に達していませんが、会社は固定残業時間として設定した10時間分の残業代を支給しなければなりません。

実際の残業時間にかかわらず残業代が「固定」されるため、固定残業代と呼ばれるのです。

注意していただきたいのは、月の残業時間が10時間を超えた場合は、その超えた部分に対しては残業代を支払うことになる点です。

「固定」といっても、少なくとも固定時間分の残業代が支払われるというだけであり、残業代が常に一定になるという意味ではありませんので、誤解のないようにしてください。

なお、残業には時間外労働、深夜労働、休日労働が考えられますが、この記事では、特に明示した場合を除き、残業は時間外労働のことを指しています(残業代は時間外割増賃金)。

「固定残業」と「みなし残業」との違い

固定残業は、「みなし残業」と呼ばれることもあります。

これらは実質的には同じ制度であり、単に呼び方の違いにすぎません。

固定残業制を採用した場合、実際の残業時間が規定の時間に満たない場合であっても、固定した時間分の残業代が支払われるため、「していない残業」を「した」とみなしているという意味で、「みなし残業」と呼ばれることがあるのです。

固定残業には2種類ある

固定残業には、固定残業代の支給方法に応じて2つの種類があります。

定額給制

定額給制とは、固定残業代を基本給と合算して支給する方法をいいます。

具体例 基本給30万円(固定残業代を含む)

定額給制の場合、固定残業代とその他の賃金の区別を明確にしておかないと、残業代が支払われているかがはっきりしないという問題があります。

上記の例では、基本給に固定残業代が含まれているため定額給制であることはわかりますが、通常の賃金と固定残業代がそれぞれいくらなのかが明らかではありません。

このような場合、残業代の支払いと認められない可能性がありますので注意してください。

定額給制の適切な記載例については、こちらをご覧ください。

 

定額手当制

定額手当制とは、固定残業代を、基本給とは別に手当の形で支給する方法です。

具体例 基本給25万円、営業手当5万円(残業代を含む)

手当は固定残業手当といった名目のほか、上記例のように営業手当などの名称で支給する例もあります。

しかし上記の例では、営業手当のうちいくらが残業代で、またそれが残業の何時間分なのかがわかりません。

このような場合も、固定残業代として認められない可能性があります。

適切な記載例については、こちらをご覧ください。

 

 

固定残業は違法?

固定残業について、法律上の定めはありません。

このため、固定残業という制度の効力が争われたこともありますが、一定の条件を満たしていれば、固定残業とすることも違法ではないと考えられています。

以下では、固定残業が違法とならないための条件をご紹介します。

違法とならないための条件

これまでの裁判例では、固定残業が適法となるためには、支給されている給料の内訳として、通常の賃金と残業代にあたる部分が明確に区別されている必要があるとの判断が出されています。

具体的には、就業規則、雇用契約書(または労働条件通知書)、給与明細等において、固定残業の時間と残業代(時間外割増賃金の額)を明記しておくとよいでしょう。

定額給制であれば、基本給の金額に添えて「基本給のうち、○円は、1か月○時間の時間外労働に対する時間外勤務手当とする。」のような記載があると、固定残業代が明確に区別されているといえるでしょう。

固定残業代の金額と同時に、それが何時間分に相当するのかを記載することも重要です。

定額手当制の場合、名称を「営業手当」、「職務手当」などとすることがありますが、そのような一見して固定残業手当なのかが明らかでない名称にすると、残業代が支払われていないとの誤解を招くおそれがあります。

残業代として支給している以上、固定残業代として支給していることを明らかにすべきでしょう。

実際の判例や就業規則の記載例についての詳しい解説は、こちらをご覧ください。

また、就業規則や雇用契約書(または労働条件通知書)への記載については、それぞれの会社の実態に即して具体的な検討を要します。

たとえば、就業規則には固定残業についての制度の大枠を示すにとどめ、具体的な固定残業代や固定残業時間は個別の雇用契約書で示すというやり方も考えられます。

制度を適切に運用していくためにも、具体的な記載方法については労働問題に詳しい弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 

このようなケースは要注意!

ここでは、固定残業制を適切に運用する上で気をつけるべきポイントをいくつか紹介します。

これらに該当したからといってただちに違法になるわけではありませんが、該当するものがある場合は、一度弁護士のチェックを受けることをおすすめします。

検討チェックシート

 

就業規則に固定残業制の規定がない

賃金の決定や計算等に関する事項は、必ず就業規則に定める必要があります(労働基準法89条2号)。

参考:労働基準法|e-GOV法令検索

固定残業も賃金の計算に関する事項ですので、就業規則に定める必要があると考えられます。

就業規則に固定残業に関する規定がない場合、無効と判断される可能性がありますので注意してください。

就業規則の規定例について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

雇用契約書等に明記されていない

賃金をはじめとする労働条件については、雇い入れの際に書面により明示しなければなりません(労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条4号)。

賃金等の労働条件を明示する書面としては、雇用契約書や労働条件通知書などがあります。

これらの書面に固定残業についての記載がない場合も、就業規則の場合と同じく無効となる可能性があります。

判例においても、補足意見として、固定残業のような制度を採用するのであれば、そのことを雇用契約上明確にしなければならないという意見があります。

参考判例:最判平成24年3月8日|最高裁ホームページ

 

ワンポイント:補足意見とは?

補足意見とは、多数意見に加わった裁判官がそれに付加して自己の意見を述べたものです。

拘束力はありませんが、今後の裁判所の判断に影響するかもしれないため無視できないと考えられます。

雇用契約書の記載の仕方や上記の判例についての詳細は、こちらをご覧ください。

 

給与明細に記載がない

固定残業制が適法であるためには、残業代とそれ以外の賃金が明確に区別されていることが必要でした。

このため、定額給制と定額手当制のいずれについても、給与明細上に固定残業代の時間と金額の記載がないと、この区別の要件を満たしていないと判断される可能性があります。

前記の補足意見も、雇用契約書への記載に加え、給与の支給時にも固定残業代の時間と金額を明示すべきとしています。

トラブル予防の観点からも、給与明細において固定残業代の金額と、それが残業の何時間分に相当するのかを明示するのが適切といえそうです。

 

固定残業時間が月45時間を超える

従業員に残業をさせるには、労働基準法36条に基づく協定(いわゆる36協定)の締結が必要ですが、36協定を締結したとしても、月の残業時間は原則として45時間を超えてはいけません(同条4項)。

裁判例でも、固定残業時間を95時間と定めた事例について、上限を45時間とする法の趣旨に反するとして、45時間を超える部分について無効と判断したものがあります(ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件 札幌高裁平成24年10月19日)。

固定残業時間は、毎月発生するであろう残業時間を目安として設定されることが多いです。

固定残業時間が45時間を超えるということは、法律の上限を超える違法な残業が常態化している可能性があります。

適正な労務管理の点からも、固定残業時間は45時間以下に設定しておくべきものと言えるでしょう。

 

固定残業時間を超えているのに残業代を払わない

固定残業に関しては、「何時間残業しても、固定額の残業代を支払えばよい」と誤解されることが非常に多いです。

「固定」という語感から、残業時間がどうであろうと残業代を固定額にできるように捉えてしまうのかもしれません。

固定残業が違法でないのは、固定残業時間を超えた場合には別途残業代を支払って残業代の不払いが生じないことが前提です。

つまり、残業代が「固定」されるのは、従業員の残業時間が固定残業時間以下の場合に限られるのです。

固定残業時間を超えて残業した場合は超過分の残業代を支払うことになりますので、この点は十分気をつけていただきたいと思います。

 

 

会社から見た固定残業のメリットとデメリット

固定残業については、会社側と従業員側の双方にとって、メリットとデメリットがあります。

固定残業制をお考えの際は、メリットとデメリットを比較の上検討されるとよいでしょう。

会社から見た固定残業のメリットとデメリット

会社にとってのメリット

無駄な残業の抑制

固定残業制を採用すると、固定残業時間の範囲内であれば、残業をしてもしなくても給与額は変わりません。

そうすると、従業員に効率よく仕事を済ませようという意識が生まれると考えられます。

固定残業制とすることで、残業代を稼ぐための「生活残業」の抑止につながり、従業員のワークライフバランス向上が期待できるのです。

 

基本給が高く見える

固定残業代を定額給制により支給した場合、基本給が高く見えるというメリットがあると考えられます。

たとえば、「月給20万円(残業代別途支給)」よりも、「月給25万円(20時間分の固定残業代5万円を含む)」とするほうが、一見すると給与が高く見えるのではないでしょうか。

実際は、仮に前者の企業で20時間残業した場合の残業代が5万円くらいであるならば、どちらの会社も同じような待遇といえます。

しかし給料は求職者が重視するポイントのひとつですので、少しでも高待遇に見える方が、より求職者に注目してもらいやすくなるでしょう。

 

給与計算事務の簡素化

固定残業制により、給与計算事務の簡素化につながるといわれることがあります。

実際の残業時間が固定残業時間に満たない従業員については、残業代を個別に計算する必要がなく、所定の固定残業代を支給すれば済むためです。

もっとも、このような処理は会社が実際の残業時間以上分の固定残業代を払うことで成り立っているものです。

また、固定残業制を採用していても、固定残業時間を超えて残業した従業員に関しては個別に残業代を計算しなければなりません。

固定残業代を導入することでどの程度のメリットが得られるかは、それぞれの会社で精査する必要がありそうです。

 

会社にとってのデメリット

余分な残業代

固定残業制を採用するデメリットのひとつは、余分な残業代が発生する点です。

固定残業制を採用した場合、全ての従業員が所定の時間を超えて残業しない限り、本来は不要な残業代の支払いが発生します。

固定残業制によって残業代が抑えられるというのは誤解によるところも多く、無駄な残業の抑止効果は期待できる反面、固定残業代の支払いが生じますので、残業代を大きく削減することは難しいかもしれません。

もちろん、従業員の待遇を改善する観点から、経済的には必ずしもメリットにならないことを踏まえた上で導入することは問題ありません。

また、従業員の勤務実態に照らして、ほぼ確実に超えるであろう時間数を設定することで、余分な残業代の支払いを最低限に抑えることが可能です。

 

運用を誤るリスク

固定残業制は、「残業が固定残業時間に満たない場合でも固定額の残業代を支給する制度」であり、その逆、すなわち「何時間残業していても固定の残業代を支払えばいい制度」ではありません。

この点を誤解し、「固定残業制だから」といって一定額以上の残業代を支払わないというケースが非常に多く見られます。

実際の残業時間が固定残業時間を超過したのであれば、会社は当然その超過分について別途残業代を支払う義務を負います。

また、固定残業の時間と残業代を明確にし、就業規則等を整備するといった対応も必要となり、これらが不十分な場合、違法となる可能性があります。

固定残業制は要件が厳格であり、正しく理解していないと、誤って違法な制度運用となるリスクがあるのです。

 

求職者に警戒される可能性

固定残業代を含めた「月給」を提示することにより給与が高く見える点をメリットのひとつとしてご紹介しましたが、これには逆の側面もあります。

求職者の中には、固定残業制の会社をいわゆる「ブラック企業」として警戒する人も存在しているのです。

一部の会社が固定残業制を口実にして残業代を支払わないという実態を求職者の方でも把握しており、「固定残業」という言葉自体にマイナスのイメージを持ってしまっているのでしょう。

また、仮に残業代の不払いはないとしても、固定残業時間として設定された時間があまりにも長時間であると、「毎月こんなに残業しなければいけないのか」と捉えられることもあります。

実際に長時間の残業が見込まれるのであれば、事前にそれを明示することでミスマッチによる離職を防げるともいえますが、固定残業制が人材獲得の点で不利に働くこともあることは認識しておいた方がよいでしょう。

メリット デメリット
  • 無駄な残業の抑制
  • 基本給が高く見える
  • 給与支払い事務の簡素化
  • 余分な残業代の発生
  • 運用を誤るリスク
  • 求職者に警戒される可能性

 

 

従業員から見た固定残業のメリットとデメリット

従業員から見た固定残業のメリットとデメリット

従業員にとってのメリット

残業の有無にかかわらず、固定残業代が支給される

固定残業制の下では、残業の有無にかかわらず固定残業代が支給されます。

残業が少ない月であっても決まった残業代が支給されるため、毎月の給与額が安定するというメリットがあります。

 

従業員にとってのデメリット

長時間労働の可能性がある

固定残業制では実際の残業時間よりも多くの時間分の残業代が支給される余地がありますので、従業員にとって基本的には得となる制度です。

これを会社側から見ると、少なくとも固定残業時間として設定した時間は残業をしてもらわないと、本来不要な残業代を支払っていることになります。

固定残業時間として設定された時間が長いということは、実際の勤務実態はそれを超えるほどの長時間労働となっていると推測されます。

「いずれにしても固定残業代が出るのだから無駄な残業をせず早く帰ろう」という意識づけになればよいのですが、「少なくとも固定残業代の分は残業しなくてはいけない」といったプレッシャーを感じてしまうと、残業を断りにくくなることも考えられます。

収入やスキルをアップさせるために長時間働きたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、日本人は働き過ぎの傾向があるともいわれますので、残業がつづくようであれば体調管理に注意する必要があるでしょう。

 

基本給が低い可能性

固定残業制の会社では、基本給が低くなっている可能性があります。

つまり、平均的な給料の相場に上乗せして固定残業代が支給されるのではなく、固定残業代と合算してやっと相場金額になるように設定されているかもしれないのです。

もちろん、すべての会社がそうというわけではありませんが、固定残業制により実際の賃金が分かりにくくなりますので、十分な給料が支給されるのか、よく検証する必要があるでしょう。

 

違法に運用されている可能性

固定残業制では実際の残業時間以上の残業代が支給される可能性があり、本来なら従業員に損はない制度のはずです。

しかし現実には、固定残業の趣旨を取り違えて、何時間残業しても決まった額の固定残業代しか支給しないという違法な運用となっていることもあります。

このような実態は実際に入社してみるまで分からないかもしれませんが、面接の際などに固定残業制を導入している趣旨を尋ねてみるといいかもしれません。

メリット デメリット
  • 残業の有無にかかわらず、固定残業代が支給される
  • 長時間労働の可能性
  • 基本給が低い可能性
  • 違法に運用されている可能性

 

 

固定残業代の正しい計算方法

固定残業制を導入する場合、固定残業代と固定残業時間をどのように設定するかで迷われることが多いようです。

固定残業の時間と金額については、次の点が気をつけるポイントです。

  • 固定残業代が時間外割増賃金以上の金額となっているか
  • 固定残業時間が45時間以下となっているか

たとえば、基本給月額が20万円、月所定労働時間が170時間の例を考えます。

この場合、1時間の単価に時間外割増率である1.25を掛けた1471円が、時間外割増賃金の時間単価となります。

計算式 20万円 ÷ 170時間 × 1.25 ≒ 1471円

つまり、固定残業時間を10時間にするのであれば、固定残業代は14710円以上に設定することになります。

定額給制の場合

基本給月額21万5000円(うち1万5000円を10時間分の時間外割増賃金として支給する。)

定額手当制の場合

基本給月額20万円、営業手当1万5000円(全額を10時間分の時間外割増賃金として支給する。)

 

固定残業時間を超えた場合の残業代の計算方法

固定残業時間を超えて残業をした場合、超えた時間分については別途残業代を支払う必要があります。

計算方法は通常の残業代を計算する場合と基本的には異なりませんが、固定残業代部分については基礎賃金に含めなくてよいと考えられます。

上記の例であれば、固定残業代を除いた20万円が基礎賃金となります。

残業代の計算方法についての詳細は、こちらをご覧ください。

 

 

会社側のポイント

要件が厳しく無効となるリスクがある

固定残業が適法であるためには、残業代とそれ以外の賃金とが明確に区別されていなければならないため、求人や給与明細の表記に注意が必要です。

また、賃金に関する事項として、就業規則や雇用契約書への記載も必要と判断される可能性があります。

固定残業時間の設定も、適法な水準を超えないように注意する必要があります。

このように、固定残業制では従業員の権利が不当に害されることのないよう、厳格なルールが要求されています。

これらのルールが一部でも守られていなかった場合、固定残業制は無効となるおそれがあります。

仮に固定残業制が無効となると、実際の残業時間に基づく残業代を改めて支給するということにもなりかねませんので、会社にとってはハイリスクな制度といえるかもしれません。

 

未払い残業代が高額化する傾向がある

固定残業が無効となった場合、未払いの残業代を支払う必要がありますが、その額は、固定残業をはじめから採用していなかった場合と比べて、さらに高額となるリスクがあります。

固定残業代は残業代を計算する基礎賃金から除かれると説明しましたが、固定残業が無効と判断されるということは、固定残業代のつもりで支給していた部分も含めて残業代計算の基礎としなければならないということです。

実際の額としてはたとえば、次のような差が生じてくることになります。

たとえば、基本給20万円、月所定労働時間が170時間、残業時間が1440時間(3年間)と仮定します。

具体例

【固定残業を採用しなかった場合】

20万円 ÷ 170時間 × 1.25 × 1440時間 ≒ 211万8240円

【固定残業が無効となった場合(固定残業代5万円の例)】
25万円 ÷ 170時間 × 1.25 × 1440時間 ≒ 264万6720円

このように、固定残業が無効となった場合、固定残業代が残業代の計算基礎に組み込まれるため、同じ残業時間に対してもいっそう多くの残業代を支払わなければならないのです。

 

固定残業を採用する場合は専門家に相談

このように、固定残業は適法となる要件が厳しい上、無効と判断された場合に高額の残業代を請求される可能性がある、リスクのある手法といえます。

しかし、固定残業制にはメリットもありますので、導入を検討されるのであれば、労働問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

後から無効になると多額の未払い残業代の支払いが発生する可能性がありますので、固定残業を導入する際は労働問題に強い弁護士に助言を受けながら進めるのがよいでしょう。

 

 

従業員側のポイント

就業規則を確認

固定残業は賃金に関する事項ですので、就業規則に規定がなければ無効の可能性があります。

「固定残業手当」や「固定残業代」など、名称は会社によって異なる可能性がありますが、固定残業に納得がいかない場合は、まずはそのような規定があるか確認してみてください。

 

雇用契約書等を確認

賃金に関する事項は、就業規則に記載するほか、従業員に対し雇用契約書等の書面で明らかにすべきと考えられています。

固定残業制の有効性を確認する上では、就業規則に加えて雇用契約書等の記載ぶりを併せてチェックすることになります。

 

労働者側の弁護士へ相談

固定残業の有効性に疑問があるときは、労働者側の弁護士に相談することをおすすめします。

固定残業の有効性を見極めるには、労働問題についての高い専門性が必要となってきます。

また、労働事件は企業側と労働者側では視点が異なりますので、労働者側の事件を多く手掛ける弁護士を選ぶことが重要です。

労働問題における弁護士の選びの重要性については、こちらをご覧ください。

 

 

まとめ

このページでは、固定残業が有効となる要件や、メリット・デメリット、注意すべきポイントなどを解説しました。

ここで改めて、記事の要点を確認します。

  • 固定残業とは、実際の残業時間にかかわらず決められた時間分の残業代を毎月支給する制度をいう。
  • 固定残業が有効となるためには、残業代とそれ以外の賃金が明確に区分されているほか、就業規則や雇用契約書、給料明細などに明記することが望ましい。
  • 固定残業制を採用しても、従業員が固定残業時間を超えて残業した場合は、超過時間分について別途残業代を支給しなければならない。
  • 固定残業について疑問があるときは、会社側も従業員側も、労働問題に強い弁護士に相談することが有効である。

当事務所では、労働問題を専門に扱うチームが企業の労働問題を強力にサポートしています。

Zoomなどを利用したオンライン相談も行っており、全国対応が可能です。

残業代についての問題は、当事務所の労働事件チームまでお気軽にご相談ください。

 

 




  

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