弁護士コラム

ある会社の産業医は他の会社の産業医もできるのか


弁護士森内公彦イラスト皆さんは、疑問に思われたことはないでしょうか。「うちの会社には、会社から給与を得ている産業医がいるけれども、他にも色々な会社で産業医をしているのは、何か問題のような気がする」という疑問です。

この疑問は、事実上色々な会社で勤務しているという違和感からくる、もっともな疑問だと思います。

そこで、今回は産業医について少しお話をさせていただきます。

医師のイメージ画像例えば、グループ企業内で、A社の産業医(A社から給与を得ている)が、B社の産業医もしているというケースがあります。

このように、企業間で業務委託契約を締結して、産業医を他のグループ会社の産業医とした場合、まず、労働者派遣事業法との関係が問題となります。

すなわち、労働者派遣事業法第4条第1項第3号、同法施行令第2条第1項第1号によると、医療関係の業務(医業)において派遣を行うことは、禁止されています。

ただし、産業医の行うことのできる業務は、労働安全衛生法第13条第1項、同規則14条において、
・健康診断及び面接指導等
・作業環境の維持管理に関すること
・作業の管理に関すること
・労働者の健康管理に関すること
・健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
・衛生教育に関すること
・労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること

とされており、これらは医業に該当しないと考えられています。「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為を、反復継続する意思をもっておこなうことであると解されているからです(医政発第0726005号 平成17年7月26日)。

したがいまして、産業医が行っている行為にもよりますが、基本的には、業務委託契約により産業医を他のグループ会社で従事させることについては問題がないと思われます。

病院のイメージ画像なお、専属産業医が他の事業場の非専属の産業医を兼務することについては、「基発第214号 平成9年3月31日」が出ています。

この基発については、

http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/hor/hombun/hor1-38/hor1-38-8-1-0.htm

に載せられています。

 

 


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