うつ病社員が休職中に海外旅行。会社は注意できる?

Q)
会社にうつ病で私傷病休職中の社員がいます。この社員が休職中、海外旅行に行ったり、競馬に行ったりして、楽しく毎日を過ごしていることが分かりました。そのことが判明するきっかけとなったのは本人が書いたブログで、これを見つけた同僚は、休職した社員に対する不満を募らせています。会社としては、周りの社員の士気にもかかわりますので、休職中の社員の行動に対し懲戒処分を下したり、できれば解雇したいと思っています。会社がこの社員に何らかの処分をくだすことは可能でしょうか?

A) 海外旅行に行ったことを理由に、会社が社員に懲戒処分や解雇処分を下すことは難しいです。


そもそも、私傷病休職制度は、私傷病により働くことが困難な社員の解雇を猶予する恩恵的な制度で、当該社員が健康を取り戻し、復職することを目的にもうけられています。とすると、この制度を利用して休職した社員は、当然治療に専念すべきで、海外旅行に行くなどもってのほか、と思われるかもしれません。そのうえ、この社員が休職することで、同僚の社員の負担が増している場合、休職中に海外旅行を満喫していることが知れ渡れば、当然同僚の社員が不満を抱き、反感をもつことにつながります。
 
しかし、海外旅行や競馬それ自体が、倫理に違反する行為とまではいえません。
また、治療のために家に一日引きこもっているより、外に出かける機会を持ったほうが、うつ病からの回復に良い場合も考えられなくはありません。
このような事情から、うつ病で休職中の社員が海外旅行や競馬に行ったとしても、それをもとに懲戒処分や解雇処分を下すことは困難です。
 
しかし、海外旅行や競馬が常識的な範囲を超え繰り返されており、うつ病を治療している様子が全く無いという場合には、会社としても当該社員を放置しておくわけにはいきません。このような場合には、会社が当該社員に対し、治療に専念するよう指導することも十分に考えられます。
 
ところで、海外旅行に行けるということは、それまでにパスポートを取得したり、ツアーに申し込んだり、複雑な手続を済ませたということになります。これを1人でやり遂げたのであれば、そもそも症状が治癒し、通常業務に復帰できる可能性もあります。したがって、当該社員に対し、産業医などの受診をすすめ、復職の可否について再度判断を仰ぐことも検討すべきでしょう。




 

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