弁護士コラム

パワーハラスメントについての考察


パワーハラスメント(パワハラ)と法律

セクシャルハラスメントについては、均等法11条1項が、事業主に対して雇用管理上必要な措置を講じる義務を定めています。

これに対し、パワーハラスメントについては、法律で何かしらの義務が定められているわけではありません。

しかしながら、パワーハラスメントは、近似、職場でのハラスメントの一類型として、メディア等でもとりあげられることも少なくありません。

そこで、本コラムでは、パワーハラスメントについて解説したいと思います。

 

 

パワーハラスメントとは

働く人にとって、最も辛いことはなんでしょうか?

膨大な業務量でしょうか?

長時間労働でしょうか?

弁護士竹下龍之介私見ですが、私は、職場の人間関係の悪化こそが、人にとって、最も辛いことなのではないかと思います。

現在の労働行政で過労死基準とされているのは、月80時間の時間外労働とされています。これは、月に20日出勤とすると、1日4時間以上の残業(つまり12時間労働)相当になります。

しかし、伸び盛りのベンチャー企業等で、過労死基準を超える残業が常態化しているような会社でも、従業員はイキイキと仕事をしているということも多いと聞きます。
(※私は、過労死基準を超える残業を肯定しているわけではありません。念の為。)

そのような会社で、皆がイキイキと仕事ができる理由は、人間関係が良好であることが頑張る原動力となっていることが多いようです。

もちろん、コンプライアンスの観点から、労務時間の適切な管理は、経営者としては不可欠ですが、会社として伸びていくためには、従業員のやる気を削がない職場を創ることは非常に重要です。

そして、従業員のやる気を最も削ぐことの一つが、パワーハラスメントといえるでしょう。

 

パワーハラスメントの種類

では、職場のパワーハラスメントの行為類型として、どういったものがあるでしょうか。

平成24年1月に取りまとめられた厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」の報告(以下「WG報告」)では、職場のパワーハラスメントを、以下のように定義しています。

職場のパワーハラスメント…

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為…

そして、WG報告によると、職場のパワーハラスメントの行為類型を次のとおり整理しています。

 

職場のパワーハラスメントの行為類型
  1. 暴行・傷害(身体的な攻撃)
  2. 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
  3. 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
  4. 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
  5. 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
  6. 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

また、これらの行為を予防、解決するために、WG報告は、以下の取組例を紹介しています。

 

 

パワーハラスメントの予防と解決

【予防】

  1. 組織のトップによるメッセージ
  2. 就業規則に関係規定を設ける等のルールの策定
  3. 実態の把握
  4. 教育
  5. 組織の方針や取組についての周知・啓発

【解決】

  1. 相談や解決の場の設置
  2. 再発防止研修

予防と解決の意義

では、企業が、職場のパワーハラスメントの予防・解決に取り組む意義はどこにあるのでしょうか。

WG報告は、企業に、パワーハラスメントに対策の法的義務を課すものではありません。

しかしながら、パワーハラスメントは、組織の生産性に悪影響が及びなど損失をもたらす要因であり、また、場合によっては、私法上の損害賠償責任(不法行為責任や債務不履行責任)を問われるおそれもあります。

したがって、企業は、WG報告を踏まえて、職場のパワーハラスメントをなくすために、予防・解決に向けた取組を行うべきです。

 

 

パワーハラスメントの影響

厚生労働省の調査によれば、パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を実施している企業は、52.2%で、企業規模が小さいほど、実施率は低いとのことです(平成29年4月28日厚生労働省公表)。

しかし、企業規模が小さいほど、人間関係が蜜で、人間関係の悪化が、業績のダウンに直結します。

その意味で、企業規模が小さい会社ほど、職場のパワーハラスメント対策が重要といえます。

デイライト法律事務所ロゴ弊所では、ハラスメント対策に注力した弁護士が、出張研修を行い、ハラスメントを撲滅し企業の業績を向上する取組を行っています。

興味がある企業の方は、弊所にご相談ください。

 

 


この記事を書いた人

弁護士 竹下龍之介

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