弁護士コラム

トラック運転手の睡眠時間チェックは法律の義務?

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

現在、トラック運転手の睡眠不足チェックは義務とされています。

事業者(会社)は、点呼の際に運転手が十分な睡眠時間を確保しているかを確認し、睡眠不足によって安全な運転に支障がないかをチェックする必要があります。

この義務は、法律に基づいており、企業の責任として明確に位置づけられています。

本記事では、運転手の睡眠時間と法律との関係、そして企業が注意すべき実務対応について、労働問題に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

運転手の睡眠不足チェックは法律上の義務!

国土交通省の発表する改正の概要は以下のとおりです。

睡眠不足が乗務NG

会社(事業者)は、運転手が睡眠不足である場合は乗務させてはいけないとされています。

「睡眠不足かどうか」は点呼時のチェック項目

運行前の点呼では、運転手本人からの申告を受けて、睡眠不足による運転への影響がないか確認する必要があります。

運転手自身にも申告義務があります。

もしも睡眠不足で安全な運転ができそうにないと感じた場合は、その旨を会社に伝えなければならないとされています。

 

こうした改正により、業務開始前の点呼において、ドライバーが睡眠不足で安全な運転ができない可能性を申告した場合には、会社としては、そのドライバーを乗務させることができなくなりました。

参考:睡眠不足に起因する事故の防止対策を強化します!!|国土交通省

 

 

会社に求められる対応とは?

会社に求められる対応

 

点呼記録簿の見直しと運用の徹底

会社の対応としては、点呼記録簿を改定する必要があるでしょう。

点呼記録簿に新たに睡眠不足のチェック欄を設けるか、疾病や疲労をチェックする欄に睡眠不足のチェックも加えるなどの改定が必要となります。

 

睡眠時間確保の意識づけと運用の徹底

また、ドライバーが頻繁に睡眠不足で乗務できないのは業務に支障が出ますから、ドライバーに十分な睡眠時間を確保することの意識付けをする必要があります。

会社として、睡眠不足のドライバーは乗務させないこと説明して、それを徹底して運用していくことが大切です。

 

労務管理・就業規則の整備も重要

当然のことながら、十分な睡眠時間をとれないような労働時間になっている場合には、会社としても労務管理を見直し、睡眠時間が確保できるようにしなければなりません。

ドライバーまた、就業規則においても、遵守事項として十分な睡眠をとって職務に臨むこと、懲戒事由として睡眠不足での乗務は懲戒処分をすることなどを明記して、会社全体として意識付けしていくことが重要です。

 

睡眠時間の基準づくりと現場の声の反映

ドライバーが睡眠不足であるかどうかを判断するのはなかなか容易ではありません。

どの程度の睡眠時間を確保すれば十分といえるのかは人によって異なるからです。

したがって、明確な線引きをすることは難しいですが、会社としては、現場のドライバーの意見を聴きつつ、何時間は睡眠時間を確保するというように明確にした方が判断しやすくなるでしょう。

一般的には7~8時間の睡眠時間は確保する必要があると考えれます。

 

 




  

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