弁護士コラム

パワハラがあった会社に対して労働局の指導が入る可能性があります!

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

平成29年度よりパワハラがあった会社に対して労働局の指導が入る可能性があります!!

厚生労働省は、平成28年12月26日に、「過労死等ゼロ」緊急対策を打ち出しました。
これは、最大手の広告代理店の新入社員だった高橋まつりさんが過労自殺し、平成28年9月末に労災が認められたことをきっかけにまとめられたものです。
高橋さんが自殺に至った原因として、遺族側は、上司によるパワハラがあったと主張していました。これを受けてまとめられたこの「過労死等ゼロ」緊急対策では、パワハラ防止策の強化がうたわれています。
では、そもそもパワハラとはなんでしょうか?
法的な意味での明確な定義はありませんが、一般的には、
①会社での地位や優位性を利用し
②本来の業務の範囲を超えた指示を強要する又は相手の人格や尊厳を侵害する発言を断続的に行うことで
③もって、精神的・身体的な苦痛を与え職場環境を悪化させる行為のこと
をいいます。
通勤のイメージ画像

会社の経営者の方自身がこのようなパワハラを行わないよう注意しなければならないのは当然ですが、経営者の方に限らず、たとえば部下をもつ管理職が自社にいるというような場合には、その管理職の方が部下に対しパワハラを行っていないかも注意しなければなりません。管理職が部下に行ったパワハラを放置した場合、場合によっては、会社は民法715条に基づく使用者責任として損害賠償責任を負わされる可能性があるからです。

次に、「過労死等ゼロ」緊急対策で強化されるパワハラ防止策の具体的な中身を紹介したいと思います。
「過労死等ゼロ」緊急対策で挙げられたパワハラ防止策の特徴は、労働局が、精神障害による労災認定が複数回ある会社に対し、パワハラの疑いがあるとして指導を行うことが可能になるという点にあります。これは平成29年度から実際される予定です。
現在の日本の労働法令では、パワハラを規制する具体的な規定はないため、労働局がパワハラについて会社に是正勧告をすることはできませんでした。しかし、この緊急対策により、平成29年4月からは、労働局はそれが可能になります。
したがって、精神障害による労災認定が過去にあった会社は、労働局の指導が入る可能性があることに留意し、特に注意する必要があるでしょう。
弊所では、ハラスメントに注力した弁護士も在籍しており、会社の現状に応じた具体的なアドバイスを行うことが可能です。
社内のハラスメント問題でお悩みの会社は、ぜひ一度ご相談ください。



  

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