トラックの積み込み待ちは休憩扱い?労働時間になるケースを解説!
トラックの積み込み待ち時間、状況によっては労働時間として扱われ、適切な賃金の支払いが必要になる場合があります。
この待機中、ドライバーに特別な業務がない、ただ「暇を持て余している」だけというケースも珍しくありません。
しかし、労働基準法においては「使用者の指揮命令下にあるかどうか」が、労働時間と休憩時間を分ける明確な基準とされています。
そのため、たとえ作業を伴わない時間であっても、会社の管理下にあると見なされれば、未払い賃金の請求や労基署からの是正指導など、法的リスクに発展する可能性があります。
本記事では、積み込み待機中の時間が「労働時間」と認定される代表的なケースと、企業としての労働時間の考え方について、弁護士がわかりやすく解説します。
トラックの積み込みの待ち時間は本当に休憩?労働時間との判断基準
トラック運送では、配送センターなどで、荷物を受け取り、それを配送先に運送することになります。
トラックが到着した際に、すでに荷物が届いており、すぐに積み込み作業に入れるのであれば、ドライバーが暇を持て余すこともありません。
しかし、例えば、積み荷がまだ届いていない、あるいは、積み荷は届いているが他社のトラックが積み込みをしており、スペースがなく待たなければならないといった場合があります。
ドライバーとしては、この待ち時間の間は特段に仕事もなく暇を持て余しているというケースはよくあります。
そこで、こうした待ち時間が労働時間であるのか休憩時間であるのか問題となります。
そもそも労働時間とは?
従業員が活動している時間が労働時間に該当するかどうかを考えるにあたっては、そもそも、労働時間とは何かを確認する必要があります。
労働基準法上、労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。
したがって、例えば、商店等の接客従業員について、お客が少なくただ待機する時間が多かったとしても、お客が来れば対応しなければならないのであれば、使用者の指揮命令下にあると評価され、お客がおらず特段に仕事がない時間帯についても労働時間と判断されることになります。
トラックドライバーの積み込み待ち時間|会社が抑えるべき労働時間の考え方
では、ドライバーが積み荷を待っている時間、あるいは積み込みの順番待ちをしている時間はどのように評価されるのでしょうか。
この点、配送先に到着し作業を終え次の仕事の指示を待つまでの時間が労働時間に該当するか判断した裁判例があります。
判例 ■大虎運輸事件 大阪地判H18.6.15の裁判例■
「配送先に到着した後、次の仕事にかかるまでの間の時間について」、
運転手は、「配送先である目的地に到着し、荷下ろしの作業を終え、次の仕事の指示を待つ間、拘束されているとはいえない。
仮に、被告から突然の指示が来ても、これに応じるか応じないかは、原告らの状況に基づき,原告らが自ら応諾するかしないかを判断することが許されていたことが認められる」
と判示し、労働時間に該当しないと判断しました。
この事案では、配送先での作業がいったん終了すると、次の仕事の指示まで自由に過ごすことができ、飲酒をしたり、パチンコをしたりすることまでも許されていた事案であり、かなり労働者の自由が許容されていた事案です。
どこまで労働者に行動の自由を認めていれば、休憩時間と評価されるかは個別の事案によって判断されることになりますが、例えば、単に車内での読書や食事を認めていたとしても、積み荷の順番が来たら直ちに作業に戻らなければならなかったり、指示があればすぐに対応しなければならなかったり、というようなケースであれば、使用者の指揮命令下にあると判断され、労働時間と評価されることになるでしょう。
労働問題でお困りの方は弁護士へご相談ください
労働時間と休憩時間の境目は、弁護士でも意見が分かれるケースは多々あります。
労働時間の該当性は残業代の有無にも大きく関係するため、労務管理に不安をお持ちの経営者の方はお気軽に弊所の弁護士にご相談ください。
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