労災保険でカバーされる補償内容はどういった内容ですか?


労災・安衛法についてよくある相談Q&A

質問業務災害が発生した場合、労災保険でカバーされる補償内容はどういった内容でしょうか?

Answer

弁護士森内公彦イラスト労災保険の補償範囲は、療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付などがあります。請求漏れがないよう補償内容を把握しておくことが大切です。

 

労災保険の補償内容

療養補償給付

病室業務災害によって、負傷したり疾病にかかった場合には、治療費などが労災保険から支給されます。

代表的な例としては、病院での入院費や診察代薬代などが給付の内容となります。柔道整復師の施術(整骨院・接骨院)は、応急手当の場合を除き医師の同意を得た場合に行うことができるとされています(昭和31年11月6日基発754号)。

療養の給付を受けるためには、「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」を療養の給付を受けようとする指定医療機関を経由して所轄の労働基準監督署に提出することが必要です。

療養の費用の支給を受ける場合には、「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号(1))」の書式を利用します。柔道整復師の施術費や、はり・きゅうの施術費に関しても別に書式があります。療養の内容によって使用する様式が異なりますので、注意が必要です。

なお、各様式は、厚生労働省のホームページでダウンロードして使用することができます。

 

休業補償給付

休業補償給付は、業務災害に遭い仕事を休まざるを得なくなり、給料が減額された場合に支給されます。

給付額は、給付基礎日額(過去3ヶ月分の給料の総額をその総日数で除した金額)の60%が支給されます。

休業補償給付は、業務災害により療養したことで賃金を受けることができない日から4日目から支給されます。最初の3日間については、使用者が補償しなければなりません(労災保険法14条1項、労基法76条1項)。

また、休業補償給付とは別に、休業特別支給金も支給されます。給付額は給付基礎日額の20%が支給されます。

 

障害補償給付

車椅子のイメージ画像業務上の災害で負傷又は疾病にかかり、治った場合において、身体に障害が残存している場合には障害補償給付が支給されます。ここでいう「治った場合」とは、症状が安定し、それ以上の治療を行っても治療の余地がなくなった場合をいいます。

障害の程度は、労働基準法施行規則40条1項別表第2で定められています。1級から14級まで定められており、1級が最も重い障害となっています。1級から7級までに該当する場合は、障害補償年金が支給され、8級から14級の場合には障害補償一時金が支給されることになります。

障害補償年金は、給付基礎日額に給付日数を乗じた金額が支給されます。

支払いの始期・終期は傷病が治った日の属する月の翌月から始まり、その事由がなくなった日の属する月まで支給されます。

また、障害補償年金の支払は、毎年偶数月の6回に分割してそれぞれ前2ヶ月分が支払われます。

障害補償年金

障害等級 給付日数
第1級 313日
第2級 277日
第3級 245日
第4級 213日
第5級 184日
第6級 156日
第7級 131日

 

障害補償年金を受けることができる場合、障害補償年金の給付の決定があった日から1年以内に1回限り、障害補償年金について前払いで一時金を請求することができます

請求することができる金額は、給付基礎日額に下表の給付日数を乗じた金額を請求することができます。請求にあたっては、請求する金額を具体的に明示することが必要です。

障害補償年金前払一時金の額

障害等級 給付日数
第1級 200日、400日、600日、800日、1000日

1200日又は1340日

第2級 200日、400日、600日、800日、1000日又は1190日
第3級 200日、400日、600日、800日、1000日又は1050日
第4級 200日、400日、600日、800日又は920日
第5級 200日、400日、600日又は790日
第6級 200日、400日、600日又は670日
第7級 200日、400日又は560日

 

障害補償年金を受けている者が死亡した場合で、すでに支給された障害補償年金及び障害補償年金前払一時金の額の合計額が給付基礎日額に下表の給付日数を乗じた金額に満たないときには、その差額が遺族の請求に基づき、障害補償年金差額一時金として支給されます。

障害補償年金差額一時金の額

障害等級 給付日数
第1級 1340日
第2級 1190日
第3級 1050日
第4級 920日
第5級 790日
第6級 670日
第7級 560日

 

障害補償一時金は、給付基礎日額に下表の給付日数を乗じた金額が支給されます(労災保険法15条2項、別表第2)。

障害補償一時金

障害等級 給付日数
第8級 503日
第9級 391日
第10級 302日
第11級 223日
第12級 156日
第13級 101日
第14級 56日

 

さらに、1級から14級の傷害に認定された場合、障害特別支給金が支給されます。具体的な金額は以下のとおりです。

障害特別支給金の金額

第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
342万円 320万円 300万円 264万円 225万円 192万円 159万円
第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
65万円 50万円 39万円 29万円 20万円 14万円 8万円

 

 

遺族補償給付

通帳業務上の災害によって死亡した場合には、遺族には遺族補償給付が行われます。遺族補償給付には、遺族補償年金遺族補償一時金があります。

遺族補償年金

遺族補償年金の受給権者は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で労働者が粗暴した当時その収入によって生計を維持していた者です。

ただし、夫、父母又は祖父母は60歳以上であること、子または孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること、兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までにあること又は60歳以上であることが条件となっています。

もっとも、これらの条件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹であっても、障害等級5級以上に該当する障害があるなど一定の障害がある場合には受給権が認められています。

遺族補償年金の金額は、給付基礎日額に遺族の人数に区分して決められた給付日数を乗じることで算出されます。給付日数は下表のとおりです。

遺族補償年金の金額

遺族の数 給付日数
1人 153日(遺族が55歳以上又は障害のある妻の場合は175日)
2人 201日
3人 223日
4人以上 245日

 

遺族補償一時金

障害補償一時金は、①障害補償年金の受給権者がいない場合、②遺族補償年金の受給権を有する者がその権利を失った場合で、他に遺族補償年金の受給権者がおらず、かつ、すでに支給された遺族補償年金の額及び遺族補償年金前払一時金の額の合計額が給付基礎日額に1000を乗じた金額に満たないい場合に支給されます。

遺族補償一時金を受給できるのは、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹です。

遺族補償一時金の具体的な金額は、下表のとおりです。

遺族補償一時金

遺族 遺族補償一時金の額
①の場合 給付基礎日額に1000を乗じた金額
②の場合 すでに支給された遺族補償年金の額および前払一時金の額の合計額と給付基礎日額に1000を乗じた金額との差額

 

 

労災保険の利用

業務災害が発生した場合、労基署の調査に誠実に対応することも当然重要ですが、被災した労働者の補償をすることも必要です。労災保険では、上記のように療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付など補償が準備されています。

仮に業務災害が発生したことについて、労働者に一部過失があったとしても、過失相殺されずに支給を受けることができます。

ただし、労災保険のみで労働者の全ての損害を補償することができない場合も多々ありますそのような場合、労働者に仕事に従事させることについて、企業に安全配慮義務違反が認められる場合には、労災保険を超える部分の補償は、企業が補償しなければなりません

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「労災・安衛法」についてよくある相談

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