外国人労働者の現状

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

増加する外国人労働者とその現状

外国人少子高齢化や国際化の影響もあり、日本で就労する外国人労働者の数は年々増加傾向にあります。

厚生労働省は、雇用対策法28条に定める外国人労働者の届出状況について、毎年報告を行っています。

届出が義務化された平成19年以降、最初の報告となる平成20年10月末時点では、48万6398人でした(特別永住者と「外交」、「公用」という政治関係のビザでの在留外国人を除く。)。

ところが、平成29年10月末時点では、127万8670人にまで増加しています。つまり、わずか9年間の間に外国人労働者の数は約2.6倍にのぼっているのです。

そして、外国人労働者を雇用している事業所の数についても、平成20年10月末時点では7万6811か所でしたが、平成29年10月末時点では17万2798か所にまで増え、事業所数も約2.2倍増加している状況です。

特に、平成26年以降の増加率が大きくなっており、平成26年から平成29年までの4年間で約50万人もの外国人労働者が増えていることになります。

こうした数字を紐解いていくと、いかに外国人労働者の受入れが急速に進んでいるかを把握することができます。そして、2018年秋の入管法改正によって、この傾向はますます強くなることが予想されるところです。

 

表① 外国人労働者数の推移 (厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)

外国人労働者数(前年比)
平成26年 78万7627人(7万123人増)
平成27年 90万7896人(12万269人増)
平成28年 108万3769人(17万5873人増)
平成29年 127万8670人(19万4901人増)

 

 

在留資格の内訳

平成29年10月時点での外国人労働者127万8670人の在留資格の内訳についてみていくと、表②のようになります。

表② 外国人労働者の在留資格の内容(平成29年)

在留資格 労働者数(割合)
身分に基づく在留資格 45万9132人(35.9%)
資格外活動 29万7012人(23.2%)
技能実習 25万7788人(20.2%)
専門的・技術的分野の在留資格 23万8412人(18.6%)
特定活動 2万6270人(2.1%)
不明 56人

 

外国人労働者のうち、一番割合が多いのが、身分に基づく在留資格で全体の35.9%を占めています。

この区分には、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」が含まれています。

典型的には、日本人の夫または妻と国際結婚をした上で、日本国内で仕事をしているというケースがこれにあたります。

次に多いのが、資格外活動で、留学生がこの区分に該当します。

つまり、日本語を学ぶなどの理由で大学や専門学校に通いながら、アルバイトとして仕事をしているというケースです。

3番目に多いのが技能実習です。

技能実習生は年々特に増えており、平成28年から平成29年にかけて、4万6680人もの技能実習生が増加しています。

特定の分野について、一定の能力を有していることを前提とする在留資格である専門的・技術的分野の在留資格で就労している外国人労働者は技能実習生よりも少なく、23万8412人となっています。

もっとも、2018年秋の入管法改正によって新設される特定技能1号および2号の在留資格により、この区分で就労する外国人労働者の数は増えていくことが予想されます。

 

 

国別の内訳

外国人労働者の国別の内訳は表③のようになっています。表④は同じく国別内訳の平成20年データです。

表③ 外国人労働者の国別の割合(平成29年)

労働者数(割合)
中国(香港等を含む) 37万2263人(29.1%)
ベトナム 24万259人(18.8%)
フィリピン 14万6798人(11.5%)
ブラジル 11万7299人(9.2%)
G7+オーストラリア+ニュージランド 7万3636人(5.8%)
ネパール 6万9111人(5.4%)
韓国 5万5926人(4.4%)
ペルー 2万7695人(2.2%)
その他 17万5683人(13.7%)

 

表④ 外国人労働者の国別の割合(平成20年)

労働者数(割合)
中国(香港等を含む) 21万578人(43.3%)
ブラジル 9万9179人(20.4%)
フィリピン 4万544人(8.3%)
ブラジル 11万7299人(9.2%)
G7+オーストラリア+ニュージランド 3万9968人(8.2%)
韓国 2万661人(4.2%)
ペルー 1万5317人(3.1%)
その他 6万151人(13.7%)

 

解説する弁護士一番多いのは、やはり中国で、全体の29.1%と3割ほどの割合にのぼっています。

次に多いのが、ベトナムの18.8%となっています。そして、フィリピン、ブラジルと続きます。

日本の隣国である韓国は、意外にも全体の4.4%の5万5926人にとどまっています。

統計を取り始めた平成20年の数字と比較すると、近年の傾向を見てとれます。

まず1点目が、約10年の間で全体に占める中国人の割合は減少しているということです。

そして、2点目に、ベトナムがランク外から中国についで2番目に多い国になったということです。

ネパールもベトナムと同様に平成20年にはランク外に位置していました。

他方で、ブラジルやペルーといった南米の国は平成20年と平成29年で中国ほどではありませんが、その割合が減少しているということも読み取れます。

つまり、ブラジルやペルーについては、技能実習という資格ではなく、日系ブラジル人が多いということもあって、もともと身分に基づく資格で日本に来ている割合が多く、ベトナムやネパールといった東南アジア圏の国の外国人は留学生や技能実習生として、日本に来日しているということです。

とりわけ、ベトナムについては、平成28年から平成29年の1年間で6万8241人の労働者増となっており、ベトナムからの労働力受入れが急速に進んでいることを物語っています。

 

 

外国人労働者を雇用している企業について

次に、外国人労働者を雇用している企業について検討していきます。

外国人を雇用している企業を産業別に分類したデータが表⑤になります。

一番多くの事業所が外国人を雇用している分野は、やはり製造業で、次いで卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、建設業と続いています。

前年の平成28年と比べると、製造業の割合が減少している一方で建設業が増加しているという傾向にあります。

これは、2020年に開催が迫った東京オリンピックに関連して、建設業の人手不足が続いているということが理由として挙げられます。

 

表⑤ 外国人労働者の雇用事業所の産業別の割合(平成29年)

業種別 事業所数(割合)
製造業 4万3293か所(22.2%)
卸売業、小売業 3万3229か所(17.1%)
宿泊業、飲食サービス業 2万7779か所(14.3%)
建設業 1万6711か所(8.6%)
サービス業(労働派遣業、ビルメンテナンス業を含む) 1万5528か所(8.0%)
情報通信業 9247か所(4.8%)
教育・学習支援業 5856か所(3.0%)
その他 4万2952か所(22.1%)

最後に、外国人労働者を雇用している事業所の事業規模については、下図のとおり、30人未満の事業所の割合が全体で一番多く、半数以上の57.5%に上っています。

特に、30人未満の規模の事業所の前年(平成28年)からの増加率は14.2%となっています。

これは、人手不足の影響が事業規模の小さい中小企業により大きく及んでいることを裏付けているといえます。

また、技能実習制度の整備により、中小企業でも比較的容易に外国人労働者を受け入れることができるようになっていることも理由に挙げられるでしょう。

 

表⑥ 外国人労働者の雇用事業所の産業別の割合(平成29年)

事業所の規模 事業所数(割合)
従業員30人未満 11万1847か所(57.5%)
従業員30人〜99人 3万6284か所(18.6%)
従業員100人〜499人 2万3360か所(12.0%)
従業員500人以上 7949か所(4.1%)
不明 不明 1万5155か所(7.8%)

こうしたデータを踏まえて、外国人の採用を検討している企業は、採用する前に検討しなければならない事項がいくつかあります。

外国人の雇用を安易に進めると現在の日本人労働者にも影響を与えるばかりでなく、労務トラブルに発展してしまうリスクもあります。

専門家である弁護士のサポートを受けて、自社の外国人採用について計画を立てなければなりません。

採用前のポイントはこちらをご覧ください。

 

   
執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

専門領域 / 法人分野:労務問題、外国人雇用トラブル、景品表示法問題 注力業種:小売業関連 個人分野:交通事故問題  

実績紹介 / 福岡県屈指の弁護士数を誇るデイライト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。労働問題を中心に、多くの企業の顧問弁護士としてビジネスのサポートを行っている。労働問題以外には、商標や景表法をめぐる問題や顧客のクレーム対応に積極的に取り組んでいる。





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