弁護士コラム

新型コロナウィルスに伴うハラスメントとパワハラ防止法

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

コロナウィルス・ハラスメント

新型コロナウィルスへの感染、新型コロナウィルスに関連して労働者が休暇を取得したこと等コロナウィルスに関連したいじめ、嫌がらせが生じているようです。

報道による実際に生じた具体例としては、

  • 除菌スプレーをかけられた
  • 病院関係者が家族にいる同僚に対し、「ばい菌を撒き散らす。来るな。」と言われた
  • 若いから感染しても大丈夫等と言われ混雑した電車通勤を指示された

等が相談としてあがっているようです。

これらは、違法なハラスメント行為であり、許されてはなりません。

 

 

パワハラ防止法

2019年5月に、改正労働施策総合推進法が成立しました。

これは、通称、パワハラ防止法といわれるものです。

パワハラ防止法により、会社は、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが義務となります。

具体的な措置としては、以下があげられます。

  • 会社(事業主)によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発
  • 苦情等に対する相談体制の整備
  • 被害を受けた従業員に対するケアや再発防止

解説する弁護士罰則規定はないものの、パワハラが常態化している場合には会社名が公表されます。

すなわち、ブラック企業のレッテルが貼られ、事実上の制裁となるのです。

このパワハラ防止法は、大企業では2020年6月から、中小企業では2022年4月から施行となります。

新型コロナウィルスに伴うハラスメントは、(たとえ施行前の会社であっても)パワハラ防止法の観点から看過してはなりません。

他の従業員の士気にも影響することから、厳しい対応で臨むべきです。

 

 

不法行為

裁判例各ハラスメントは、程度によっては、民法上の不法行為(民法709条)に該当しえます。

そして、例えば上司から部下に対するハラスメントがなされた場合、会社も使用者責任を問われ、損害賠償が請求される可能性があります(民法715条)。

パワーハラスメントによる慰謝料は、自殺等に至る場合には、2000万円にものぼることがあり(例えば、東京高裁平成26年4月23日付判決、甲府地裁平成27年1月13日付判決等)、決して安易に考えてはなりません。

会社としては、未然にその芽をつむべく、新型コロナウィルスに伴うハラスメントに対して真摯に向き合うべきです。

具体的には、新型コロナウィルスによるハラスメント事例の相談を受けた場合には、被害者と加害者を別々にヒアリングを行い、議事録をとり、ハラスメントが認定できるという場合には、就業規則に沿い懲戒処分を行うとともに、被害者の心のケアを行う等の対応をとるのが望ましいでしょう。

なお、当事務所では、顧問先の会社に対し、ハラスメントの外部窓口として当事務所を設定できるというサービスを行っております。

新型コロナウィルスに伴うハラスメントのご相談があれば、当事務所までご連絡ください。

 

 

 




  

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