弁護士コラム

外国人の雇用の現状(2019年最新版—「特定技能」)

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者


進む労働力不足

外国人総務省統計局の人口推計(2019年10月報)によると、2019年10月1日現在の日本の総人口は1億2614万人で、前年同月に比べ約30万人(0.24%)減少しています。

日本の人口はこれで、2010年より9年間減少し続けていることになり、人口減少の流れは止まっていません。

確定値の出ている2019年5月1日現在の数値で詳しくみると、総人口が1億2618万1千人で、前年同月と比較して、15歳未満の人口が1.3%、働く世代の15歳以上64歳未満の人口が0.59%減少している一方、65歳以上の人口は1.01%増加しており、高齢者は年々増加しています。

こうした我が国の少子高齢化による人手不足を背景に、近年外国人労働者への期待が高まっています。

 

 

外国人の雇用状況

法務省の発表によると、2019年6月末現在の在留外国人の数は282万9416人です。

6月末の時点で既に昨年末と比較して約10万人増加しており、過去最高となっています。

外国人には「在留資格」が必要となりますが、在留外国人の構成比を在留資格(分野別)にみると、身分に基づき在留する者が51%(144万2207人)、技能実習が13%(36万7709人)、留学が11.9%(33万6847人)、専門・技術的分野が10.5%(29万6775人)と続きます。

この点、昨年からの変化が大きいのは、上位から介護(169.7%)、医療(18.7%)、高度専門職(17.9%)、技術・人文知識・国際業務(13.6%)となっており、専門・技術的分野での増加が顕著です。

介護に至っては、2倍近くの増加率となっています。

これは、専門・技術的分野の外国人労働者を積極的に受け入れていこうとする政府の基本的方針の現れだと思われます。

一方で、上記の専門・技術的分野以外の外国人については、政府は経済や国民生活等にも影響が大きいことから、「特定技能」の状況等も加味しつつ、受け入れを慎重に検討していく考えのようです。

 

 

 

 

特定技能の最新情報

「特定技能」は、労働者の人手不足を解消するために、人材の確保が困難な状況にある産業上の分野において、今年の4月から新たに加えられた在留資格です。

これまでは難しかった単純労働を外国人に認めることで、労働力を確保することができるようになると期待されています。

しかし、4月1日に施行されてから半年経過した2019年9月30日現在の速報値(法務省発表)によると、「特定技能」の許可状況等については、在留資格認定証明書交付が236件、在留資格変更許可が148件の合計384件にとどまっています。

政府は、5年間で最大約34万5千人の受け入れを予定しており、初年度は最大4万7千人を受け入れる計画でしたが、この数字から見ても「特定技能」による外国人の受け入れが進んでいないことがうかがえます。

また、「留学」については、先に示した在留外国人の増加傾向にもかかわらず、昨年と変わらず横ばいで推移しています。

これは、留学に関する入管の審査が厳格化している可能性が考えられます。

先日、東京福祉大学で多数の留学生が所在不明になっていたことが発覚したとニュースでも大きく取り上げられていましたが、留学生が不法残留となるのを防いだり、就労目的の外国人が留学名目で来日(不法入国)しないようにする政府の慎重な姿勢がうかがえます。

これまで技能実習生や留学生アルバイトが担ってきた単純労働については、今後、「特定技能」において、増やしていくことが政府の当初の想定ですが、特定技能の許可件数を踏まえるとまだまだ課題は多いといえます。

課題解決のためには、在留資格の認定手続をスムーズに行っていくことのほかに、自治体や企業も、情報窓口の設置や多言語化、日本語教育支援、積極的なコミュニケーション、魅力的な賃金体系、就労状況のフォローアップ等、外国人が働きやすく、生活をしやすいような支援や環境づくりが求められます。

その中でも、「地方創生」が叫ばれる中、日本人のみならず外国人も、特に地方においての人材確保が重要になってくると思われます。

先に示した法務省発表による2019年6月末の在留外国人の都道府県別構成比では、上位から東京都(20.6%)、愛知県(9.6%)、大阪府(8.7%)、神奈川県(8.1%)、埼玉県(6.7%)と続き、都市部へ集中していることがわかります。

(在留外国人の数=外国人労働者の数ではありませんが、外国人労働者も都市部に集中していることは容易に推測されます。)

外国人が魅力を感じ、働きたいと思われるような日本、地域、企業となるために、これからますます加速していく少子高齢化、労働人口の減少のため、政府、自治体、企業等が協力し合い、今後の人材確保のために取り組んでいくことが求められるのではないでしょうか。

企業の皆様からの技能実習生や特定技能に関するご相談が増えてきています。

今後も、外国人の雇用をめぐる状況を随時お知らせしていきます。

 

 

 


   
執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

専門領域 / 法人分野:労務問題、外国人雇用トラブル、景品表示法問題 注力業種:小売業関連 個人分野:交通事故問題  

実績紹介 / 福岡県屈指の弁護士数を誇るデイライト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。労働問題を中心に、多くの企業の顧問弁護士としてビジネスのサポートを行っている。労働問題以外には、商標や景表法をめぐる問題や顧客のクレーム対応に積極的に取り組んでいる。



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