弁護士コラム

労働弁護士が教える、フレックス休暇の活用事例


フレックス休暇の意義

カレンダーフレックスタイム制は知っていても、フレックス休暇という言葉は聞かれたことがないと思います。

フレックスタイム制とは、出社と退社の時刻を各労働者が自由に決めることができる制度のことでした。働き方の自由度が高まるため、優秀な人材の採用や定着につながるというメリットがありました。

この考え方を休暇に応用したのがフレックス休暇制です。すなわち、労働者が各自で休暇を自由に決めることができる制度のことです。

なお、フレックス休暇という言葉は労基法上の概念ではありません。休暇を労働者の裁量に一定程度委ねるという取り組みは、企業によってはすでに実施しているかもしれませんが、イメージしやすいようにフレックス休暇という言葉を使っています。

 

 

フレックス休暇の活用場面

日本において1年間に企業が付与した年次有給休暇日数は労働者1人平均18.2日です(平成29年就労条件総合調査)。有給消化率は低くても、年休の付与日数自体は他の先進国と比較して決して少なくありません。

したがって、有給消化率を上げれば休日の日数としては十分であり、これ以上、特別な休暇を増やす必要はないように思えます。例えば、現在、平均の有給付与日数18日、消化率50パーセント(9日間)の会社が80パーセントに消化率を上げれば、労働者は現在よりも5日間多い年間14日の年休が取得できることになります。

フレックス休暇は、現在よりも休日日数を増やすことを目的として導入するのではなく、あくまで働き方の自由度を高めるための施策です。

具体的には、多くの企業が採用している夏季休暇や年末年始休暇への適用が考えられます。例えば、毎年8月13日から8月15日までの間を夏季休暇としている企業は多いと思われます。お盆時季を休暇とするのは伝統的な日本人の意識に根付いたものでしょう。

しかし、企業によっては、お盆時期に生産活動を停止する必要性は少なく、むしろ営業していた方が売上げを上げることができる場合があります。

接客業飲食店などのサービス業はその典型でしょう。このような場合、夏季休暇をお盆時期に固定するよりも、例えば、「7月から9月までの間の連続する3営業日」とすると、総休日日数を削ることなく、お盆は営業することが可能となります。

また、労働者にとっても、夏季休暇がお盆時期に固定されているよりも、自分で休暇日を選択できた方がメリットが多いと思われます。例えば、お盆時期の混雑を避けることができる、海外旅行等の旅行代金が安くなる、家族の休暇にあわせて休むことができる、土日と組み合わせることで毎年大型連休が可能となる、などがあげられます。

「お盆や年末年始は休んで当然」という固定観念を捨てて、自社にとって最適な働き方は何かという視点で、検討すべきだと考えます。

 

 

フレックス休暇導入の方法

夏季休暇や年末年始休暇については、就業規則や雇用契約書に記載があるため、これらを変更することが必要となります。

 

フレックス休暇の記載例

第◯条(休日)

1.会社の休日は、次のとおりとする。
①土曜日
②日曜日
③国民の祝日に関する法律に定められた休日
④夏季休暇
⑤年末年始(12月31日から翌年1月3日まで)
⑥その他会社が休日と定めた日

2.夏季休暇は7月1日から9月末日までの間において、従業員が希望する連続した3営業日とする。ただし、会社は、従業員が希望した日に夏季休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

3.従業員は、夏季休暇を取得する場合、希望する日の1週間前までに所定の様式で届出るものとする。

なお、就業規則を変更することになるため、不利益変更となるかが問題となりますが、従業員の選択肢を広げる変更であることから、不利益変更とはならないものと考えます。

 

 


この記事を書いた人

弁護士 宮崎晃

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