弁護士コラム

最近の障害者雇用促進法の主な改正について


弁護士森内公彦イラストここ数年、障害者雇用促進法は、度々改正されています。この背景には、厚生労働省が障害者雇用対策に力を入れている点があると思われます。

厚生労働省は、「障害のある人が障害のない人と同様、その能力と適正に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現を目指し、障害のある人の雇用対策を総合的に推進していく」というスローガンを掲げています。

そこで、ここでは最近の障害者雇用促進法の障害者雇用率に関する主な改正点を紹介したいと思います。

 

障害者雇用促進法の障害者雇用率に関する主な改正点

まず、そもそも障害者雇用率制度とは、身体障害者及び知的障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、事業主等に障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するものです。

 

そして、この障害者雇用率に関して

①平成22年7月1日施行の改正

短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)が、障害者雇用率制度の対象になりました。

②平成25年4月1日施行の改正

民間企業の障害者法定雇用率が、1.8%から2.0%になりました。これに伴い、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が従業員56人以上から50人以上に変わりました。

③平成27年4月1日施行の改正

障害者雇用納付金制度の対象となる事業主が、現行の201人以上から、常用労働者101人以上の事業主に拡大されます。

障害者雇用納付制度とは、障害者法定雇用率(2.0%)を達成できない事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて、1人につき月額5万円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされている制度です。つまり、障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善など障害のない人の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うことになります。そうすると、障害者法定雇用率を誠実に守っている企業とそうではない企業で、経済的負担のアンバランスが生じることになります。そこで、障害者法定雇用率を達成できない事業主に対して、障害者雇用納付金を納付しなければならないという制度をつくったのです。

④平成30年4月1日施行の改正

障害者法定雇用率の算定基礎に精神障害者を加えることとなります。ただし、施行(平成30年)後5年間(平成30年4月1日~平成35年3月31日まで)までは、猶予期間とし、精神障害者の追加に係る法定雇用率の引上げ分は、計算式どおりに引き上げないことも可能です。つまり、精神障害者の追加に伴い、法定雇用率が引き上がる可能性がありますが、具体的な引上げ幅は、障害者の雇用状況や行政の支援状況等を踏まえて、今後検討されるということになるということです。

なお、現在の一般民間企業における法定雇用率の算定式は、
障害者雇用率=(身体障害者数、知的障害者である常用労働者の数+失業している侵害障害者、知的障害者の数)÷(常用労働者数+失業者数)ですが、改正後は、
障害者雇用率=(身体障害者、知的障害者及び精神障害者の数+失業している身体障害者、知的障害者及び精神障害者の数)÷(常用労働者数+失業者数)となります。

ただし、
・短時間労働者(上記①を参照ください)は、1人を0.5人
・重度の身体障害者、知的障害者は1人を2人
・重度の身体障害者、知的障害者で、かつ、短時間労働者は1人
・精神障害者については、雇用義務の対象ではありません(現時点)としてカウントします。

雇用した場合には、障害者数に算入することができます。

 

以上のように、ここ数年の障害者雇用促進法の改正頻度には目まぐるしいものがあります。

人材の採用には、長期的な見通しが必要になりますので、このような法改正を意識した採用計画がますます必要になると思われます。

 

 


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