高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第78号)


背景

今回の法律改正については、年金制度が大きくかかわっています。

すなわち、平成6年の厚生年金保険法の改正により、これまで段階的に引き上げられてきた老齢厚生年金の定額(基礎)部分の支給開始年齢が平成25年度で65歳への引き上げが完了します。

また、平成12年の同法改正により、老齢厚生年金の報酬比例部分(2階建ての2階部分)が平成25年度から平成37年度にかけて段階的に65歳まで引き上げられます。

legal revision_img.pngつまり、労働者は約10年後には65歳まで年金を受給することができなくなるのです

そこで、こうした年金支給年齢の引き上げを踏まえて、高年齢者の雇用確保をどうするかが議論されてきました。

その結果、本法律が成立しています。

 

 

内容

65歳未満の定年の定めのある企業(事業主)は、65歳までの安定した雇用を確保するために、①定年年齢の引き上げ②継続雇用制度の導入③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければならないとされています(9条1項)。

②の継続雇用制度については、これまで労使協定により継続雇用制度の対象となる労働者についての基準を定めたうえで、制度を導入すれば、継続雇用制度を導入したものとみなすとされていました(改正前の9条2項)。

つまり、労使間で合意すれば、一定範囲の者のみを継続して雇用すればよかったのです。

しかし、今回の改正で同規定は削除されましたので、今後は継続雇用の対象者を絞ることはできなくなります

今回の改正により、継続雇用制度の対象者が拡大することから、親子関係にある会社や関連会社等、一定の関係にある企業との間で雇用継続することができるとされました(9条2項)。

例えば、対象となる労働者を定年まで勤務していた企業の子会社で雇用することも、②の継続雇用制度として許容されます。

これは、対象者の拡大により、同一の企業だけで雇用を確保することに限界があると考えられたためです。

企業としては、こうした規定を活かして労働力の効率化を進める必要があるでしょう。

 

 

注意点等

高齢者のイメージ画像(2)に書いた通り、今後企業は、①~③の措置を採ることが要求されます。

③を採用する企業は少ないと思いますが、①と②の違いは、以下のような場合に現れます。

例えば、これまで定年年齢を60歳としていたA社とB社という会社があったとします。

A社は①の定年年齢の引き上げを行って、定年年齢を65歳としました。

他方、B社は②の定年年齢を60歳で維持したうえで、継続雇用制度を採用しました。

この場合、A社は従業員全員が65歳まで継続雇用されるのに対して、B社では、一度60歳で退職することを前提に、希望者のみが継続雇用制度を利用して会社に残ることになります。

こうしたことから、改正前も②の継続雇用制度を採用する企業が多かったというのが実情です。

本改正により、上記3つのいずれかをとる必要が生じますが、多くの企業が②の継続雇用制度を採用すると思われます。

また、本法律には厚生労働大臣が高年齢者雇用確保措置に関する勧告をした場合に、当該勧告に従わなかった場合には、その旨を公表することができるという規定が新たに設けられました(10条3項)。

このような事実が公表されれば、企業イメージの低下は避けられません。

したがって、今後、悪質な企業については、公表という制裁が加えられる可能性があることに注意が必要です。

なお、本改正の施行日は、平成25年4月1日です。

 

 

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