育児・介護休業法における制度の概要

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

育児休業 介護休業
休業制度 対象となる者 ○労働者(日々雇用を除く)
○有期契約労働者は、申出時点において、次の要件を満たすことが必要
・同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
・子が1歳6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者
○労使協定で対象外にできる労働者
・雇用された期間が1年未満の労働者
・1年(1歳6か月までの育児休業の場合は、6か月)以内に雇用関係が終了する労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者
○労働者(日々雇用を除く)
○有期契約労働者は、申出時点において、次の要件を満たすことが必要
・同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
・介護休業取得予定日から起算して93日 経過する日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されない ことが明らかでないこと
○労使協定で対象外にできる労働者 ・雇用された期間が1年未満の労働者
・93日以内に雇用関係が終了する労働者
・週の所定労働日数が2日以下の労働者
対象となる家族の範囲 ○子ども ○配偶者(事実婚を含む。以下同じ。) 父母、子、配偶者の父母 祖父母、兄弟姉妹及び孫
回数 ○子1人につき、原則として1回
○以下の事情が生じた場合には、再度の育児休業取得が可能
・新たな産前産後休業、育児休業又は介護休業の開始により育児休業が終了した場合で当該休業に係る子又は家族が死亡等した場合
・配偶者が死亡した場合又は負傷、疾病、障害により子の養育が困難となった場合 ・離婚等により配偶者が子と同居しないこととなった場合
・子が負傷、疾病、障害により2週間以上にわたり世話を必要とする場合
・保育所等入所を希望しているが、入所できない場合
○子が1歳6か月までの育児休業については、子が1歳までの育児休業とは別に取得可能
○対象家族1人につき、3回
期間 ○原則として子が1歳に達するまでの連続した期間
○ただし、配偶者が育児休業をしているなどの場合は、子が1歳2か月に達するまで出産日と産後休業期間と育児休業期間とを合計して1年間以内の休業が可能
○子が1歳に達する日において(子が1歳2か月に達するまでの育児休業が可能である場合に1歳を超えて育児休業をしている場合にはその休業終了予定日において)いずれかの親が育児休業中であり、かつ次の事情がある場合には、子が1歳6か月に達するまで可能
・保育所等への入所を希望しているが、入所できない場合
・子の養育を行っている配偶者(もう一人の親)であって、1歳以降子を養育する予定であったものが死亡、負傷、疾病等により子を養育することが困難になった場合※同様の条件で1歳6か月から2歳までの延長も可能(平成29年10月1日から)
○対象家族1人につき通算93日まで
手続 ○書面等で事業主に申出
・事業主は、証明書類の提出を求めることができる
・事業主は、育児休業の開始予定日及び終了予定日等を、書面等で労働者に通知
○申出期間(事業主による休業開始日の繰下げ可能期間)は1か月前まで(ただし、出産予定日前に子が出生したこと等の事由が生じた場合は、1週間前まで)
1歳以降の申出は2週間前まで
○出産予定日前に子が出生したこと等の事由が生じた場合は、1回に限り開始予定日の繰上げ可
○1か月前までに申し出ることにより、子が1歳に達するまでの期間内で1回に限り終了予定日の繰下げ可
1歳以降の休業をしている場合は、2週間前の日までに申し出ることにより、子が2に達するまでの期間内で1回に限り終了予定日の繰下げ可
○休業開始予定日の前日までに申出撤回可
○上記の場合、原則再度の申出不可
○書面等で事業主に申出
・事業主は、証明書類の提出を求めることができる
・事業主は、介護休業の開始予定日及び終了
予定日等を、書面等で労働者に通知
○申出期間(事業主による休業開始日の繰下げ可能期間)は2週間前まで
○2週間前の日までに申し出ることにより、 93日の範囲内で、申出毎に1回に限り終了予定日の繰下げ可
○休業開始予定日の前日までに申出ることにより、撤回可
○上記の場合、その後の再度の申出は1回は可
子の看護休暇 制度の内容 ○小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、1年に5日まで(当該子が2人以上の場合は10日まで)、病気・けがをした子の看護又は子に予防接種・健康診断を受けさせる ために、休暇が取得できる
○半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得も可能。ただし、労使協定により、半日単位 での取得ができないとされる労働者は、1日単位での取得。
○労使協定により、所定労働時間の2分の1以外の時間数を半日と定めることも可能
対象労働者 ○小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(日々雇用を除く)
○労使協定で対象外にできる労働者 ・勤続6か月未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 ・半日単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者
◯1日の所定労働時間が、4時間以下の労働者は半日単位での取得は不可
介護休暇 制度の内容 ○要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、1年に5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで)、介護その他の世話を行うために、休暇が取得できる
◯半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得も可能。ただし、労使協定により、半日単位での取得ができないとされる労働者は、1日単位での取得。
○労使協定により、所定労働時間の2分の1以外の時間数を半日と定めることも可能
対象労働者 ○要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者(日々雇用を除く)
○労使協定で対象外にできる労働者 ・勤続6か月未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 ・半日単位で介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者
○1日の所定労働時間が、4時間以下の労働者は半日単位での取得は不可
所定外労働を制限する制度 制度の内容 ○3歳に満たない子を養育する労働者がその子を養育するために請求した場合においては、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない ○要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその対象家族を介護するために請求 した場合においては、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない
対象労働者 ○3歳に満たない子を養育する労働者
○労使協定で対象外にできる労働者
1 日々雇用される労働者
2 勤続1年未満の労働者
3 週の所定労働日数が2日以下の労働者
○要介護状態にある対象家族を介護する労働者 (日々雇用を除く)
○労使協定で対象外にできる労働者
1 勤続1年未満の労働者
2 週の所定労働日数が2日以下の労働者
期間・回数 ○1回の請求につき1月以上1年以内の期間
○請求できる回数に制限なし
○1回の請求につき1月以上1年以内の期間○請求できる回数に制限なし
手続 ○開始の日の1月前までに請求 ○開始の日の1月前までに請求
例外 ○事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒める ○事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒める
時間外労働を制限する制度 制度の内容 ○小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者がその子を養育するために請求した場合においては、事業主は制限時間(1月24時間、1年150時間)を超えて労働時間を延長してはならない ○要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその対象家族を介護するために請求した場合においては、事業主は制限時間(1月24時間、1年150時間)を超えて労働時間を延長してはならない
対象労働者 ○小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者 ただし、以下に該当する労働者は対象外
1 日々雇用される労働者
2 勤続1年未満の労働者
3 週の所定労働日数が2日以下の労働者
○要介護状態にある対象家族を介護する 労働者 ただし、以下に該当する労働者は対象外 1 日々雇用される労働者 2 勤続1年未満の労働者 3 週の所定労働日数が2日以下の労働者
期間・回数 ○1回の請求につき1月以上1年以内の期間
○請求できる回数に制限なし
○1回の請求につき1月以上1年以内の期間○請求できる回数に制限なし
例外 ○事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒める ○事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒める
手続 ○開始の日の1月前までに請求 ○開始の日の1月前までに請求
深夜業を制限する制度 制度の内容 ○小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者がその子を養育するために請求した場合においては、事業主は午後10時~午前5時(「深夜」)において労働させてはならない ○要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその対象家族を介護するために請求 した場合においては、事業主は午後10時~午前5時(「深夜」)において労働させては ならない
対象労働者 ○小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
ただし、以下に該当する労働者は対象外
1 日々雇用される労働者
2   勤続1年未満の労働者
3 保育ができる同居の家族がいる労働者
※保育ができる同居の家族とは、16歳以上であって、次のイ〜ハのいずれにも該当する者をいう
イ 深夜に就労していないこと(深夜の就労日数が1月につき3日以下の者を含む)
ロ 負傷、疾病又は心身の障害により保育が困難でないこと
八 産前産後休業中でないことの
4 週の所定労働日数が2日以下の労働者
5 所定労働時間の全部が深夜にある 労働者
○要介護状態にある対象家族を介護する 労働者 ただし、以下に該当する労働者は対象外 1 日々雇用される労働者 2 勤続1年未満の労働者 3 介護ができる同居の家族がいる労働者  介護ができる同居の家族とは、16歳 以上であって、 イ 深夜に就労していないこと(深夜の就労日数が1月につき3日以下の者を含む)  口 負傷、疾病又は心身の障害により介護が困難でないこと 八 産前産後休業中でないことの いずれにも該当する者をいう  4 週の所定労働日数が2日以下の労働者 5 所定労働時間の全部が深夜にある 労働者
期間・回数 ○1回の請求につき1月以上6月以内の期間
○請求できる回数に制限なし
○1回の請求につき1月以上6月以内の期間 ○請求できる回数に制限なし
手続 ○開始の日の1月前までに請求 ○開始の日の1月前までに請求
例外 ○事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒める ○事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒める
所定労働時間の短縮措置等 ○3歳に満たない子を養育する労働者(日々雇用を除く)であって育児休業をしていないもの(1日の所定労働時間が6時間以下である労働者を除く)に関して、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含む措置を講ずる義務ただし、労使協定で以下の労働者のうち所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定められた労働者は対象外
1 勤続1年未満の労働者
2 週の所定労働日数が2日以下の労働者
3 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
○上記3の労働者について所定労働時間の短縮措置を講じないこととするときは、当該労働者について、次の措置のいずれかを講ずる義務
・育児休業に関する制度に準ずる措置
・フレックスタイム制
・始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ
・事業所内保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
○常時介護を要する対象家族を介護する労働者 (日々雇用を除く)に関して、対象家族1人につき次の措置のいずれかを、利用開始から3年の間で2回以上の利用を可能とする措置を講ずる義務
・所定労働時間を短縮する制度
・フレックスタイム制
・始業・終業時刻の繰上げ、壙下げ
・労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度
ただし、労使協定で以下の労働者のうち所定労働時間の短縮措置等を講じないものとして定められた労働者は対象外
1 勤続1年未満の労働者
2 週の所定労働日数が2日以下の労働者
小学校就学の始期に達するまでの子を養育又は家族を介護する労働者に関する措置 ○小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置又はフレックスタイム制等の措置に準じて、必要な措置を講ずる努力義務

○小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、配偶者出産休暇等の育児に関する目的で利用できる休暇制度を講ずる努力義務

○家族を介護する労働者に関して、介護休業制度又は所定労働時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずる努力義務
育児休業等に関するハラスメントの防止措置 ○事業主は.育児休業、介護休業その他子の養育又は家族の介護に関する制度又は措置の申出・利用に関する言動により、労働者の就業環境が害されることがないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずる義務
労働者の配置に 関する配慮 ○就業場所の変更を伴う配置の変更において、就業場所の変更により就業しつつ子の養育や家族の介護を行うことが困難となる労働者がいるときは、その子の養育や家族の介護の状況に配慮する義務
不利益取り扱いの 禁止 ○育児一介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等について、申出をしたこと、又は取得等を理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止
制度の個別周知 ○事業主は、次の事項について、就業規則等にあらかじめ定め、周知する努力義務
・育児休業及び介護休業中の待遇に関する事項
・育児休業及び介護休業後の賃金、配置その他の労働条件に関する事項
・その他の事項
○事業主は、労働者又はその配偶者が妊娠・出産したことを知った場合や、労働者が介護していることを知った場合に、当該労働者に対し、個別に関連制度を周知する努力義務

※平成29年3月の法改正(同年10月施行)に対応

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