残業時間の上限に規制の動き―政府の働き方改革実現会議

残業時間抑制を図る法改正への動き

昨年の9月から始まった政府の働き方改革実現会議において、長時間労働を是正しようという動きがあります。
 
具体的には、36協定により可能となる残業について、残業時間の上限を設けることにより過労死のリスクが伴う長時間労働を是正することを、政府の働き方改革実現会議の場で議題にされています。
 

36協定とは?

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そもそも労働時間は、労働基準法の規制により原則として1日8時間、週40時間を超えることはできません。
 
しかし、事業遂行上の必要性があるなどの事情から、原則となる労働時間を超えて残業しなければならない場合があります。
 
36協定は、その原則となる労働時間を超えて残業を可能とするための、事業場における労使の時間外・休日労働に関する労働協定のことです。
 
使用者は、この労使協定を締結し、それを行政官庁に届け出ることで、初めて協定の定めに基づいて労働時間を延長し、休日に労働させることが可能になります。
 

現行の残業時間の上限

現行法において、労使により36協定が締結された場合の残業時間に関する上限規制は存在しません。
 
しかし、協定の内容として、労働者に「1日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日」は定めなければならないこと(労規則16条1項)、過労死ラインと呼ばれる1か月での残業時間が100時間とされること、「労働基準法代36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度に関する基準」という労働大臣告示により(平成10年12月18日労告154号)下表のように時間外労働の限度に関する基準が定められたため、時間外労働の上限に関する枠組み自体は存在していたといえます。

期間

上限時間

期間

上限時間

1週間

15時間

1か月

45時間

2週間

27時間

2か月

81時間

4週間

43時間

3か月

120時間

1年間

360時間※特別事情により超過可能

 

平成29年2月14日の会議における上限案

時間外労働の上限に関する枠組み自体は存在しているといえますが、現行法において上限規制がない以上、法的拘束力があるわけではありません。
 
労働大臣告示も、これはあくまで行政内部における通達であるため法的な拘束力が生じるような性質のものではありません。
 
それを、今回、法的な拘束力を生じさせるための法改正を行うために政府が動いているということです。
 
平成29年2月14日の会議においては、事務局より、「残業時間上限を年720時間、月平均60時間」とする具体的な提示がありました。
 
繁忙期については月100時間まで認めるとする案もありましたが、労働側より反発を受け、改めて調整する予定であるとのことです。
 
弁護士勝木萌イラストのサムネール画像
どのような結論となるにせよ、電通の時間外労働による過労死事件等、残業時間問題は社会問題化しており、近い将来に法改正が見込まれます。
 
経営者にとっても時間外労働に関する法改正は大きな出来事となりますので、幣所でも今後の動向に注目し、情報を発信していきます。
 

労働問題に関する弁護士コラムです。ぜひご覧下さい。

                                                      

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