裁量労働制(専門業務型・企画業務型)

これは、一定の専門的・裁量的業務に従事する労働者について、遂行の手段・時間配分の決定等を
労働者の裁量に委ね、労働時間については「みなし労働時間」を定めて労働時間を
算定する制度
です。
 
この裁量労働制には、以下の2種類があります(労基法38条の3,38条の4)。

専門業務型裁量労働制
企画業務型裁量労働制

 

①専門業務型裁量制

これは、以下の19の対象業務に導入できます。

(1)新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
(2)情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
(3)新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
(4)衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5)放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
(6)広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
(7)事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
(8)建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
(9)ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10)有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
(11)金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(12)学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
(13)公認会計士の業務
(14)弁護士の業務
(15)建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
(16)不動産鑑定士の業務
(17)弁理士の業務
(18)税理士の業務
(19)中小企業診断士の業務
 
 

制度導入のための手続は?

制度の導入に当たっては、原則として次の事項を労使協定により定めた上で、
労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
 
(1)制度の対象とする業務
(2)対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
(3)労働時間としてみなす時間
(4)対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
(5)対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
(6)協定の有効期間(※3年以内とすることが望ましい。)
(7)(4)及び(5)に関し労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること

 

②企画業務型裁量労働制

この制度は、事業運営に関する企画・立案等の業務を自らの裁量で行う従業員を対象とした
制度
です。

専門業務型裁量労働制と同じように、対象者は実際の労働時間が何時間であろうと、あらかじめ決められた時間
(たとえば7時間)労働したものとみなすことができ、残業代対策に非常に効果があります。

 

○対象業務

ホワイトカラーの業務すべてがこれに該当するものではありません。
指針によれば、次のような業務が対象となります。

(経営企画担当部署)
経営状態・経営環境について調査および分析を行い、経営に関する計画を策定する業務
現行の社内組織の問題点やそのあり方等について調査および分析を行い、新たな社内組織を編成する業務

(人事/労務担当部署)
現行の人事制度の問題点やそのあり方等について調査および分析を行い、新たな人事制度を策定する業務
業務の内容やその遂行のために必要とされる能力等について調査および分析を行い、社員の教育・研修計画を策定する業務

(財務/経理担当部署)
財務状態等について調査および分析を行い、財務に関する計画を作成する業務

(広報担当部署)
効果的な広報手段等について調査および分析を行い、広報を企画・立案する業務

(営業企画担当部署)
営業成績や営業活動上の問題点等について調査および分析を行い、企業全体の営業方針や取り扱う商品ごとの全社的な営業に関する計画を策定する業務

(生産企画担当部署)
生産効率や原材料等に係る市場の動向等について調査および分析を行い、原材料等の調達計画も含め全社的な生産計画を策定する業務

 

○対象業務となり得ない業務

・経営に関する会議の庶務等の業務
・人事記録の作成および保管、給与の計算および支払、各種保険の加入および脱退、採用・研修の実施等の業務
・金銭の出納、財務諸表・会計帳簿の作成および保管、租税の申告および納付、予算・決算に係る計算等の業務
・広報誌の現行の校正等の業務
・個別の営業活動の業務
・個別の製造等の作業、物品の買い付け等の業務

 

○導入のための流れ

1)対象業務が存在する事業場※

使用者の届出・報告







2)労使委員会を組織します
  ・ 準備について労使で話し合う
  ・ 労使委員会の委員を選ぶ
  ・ 運営のルールを定める  

 

3)企画業務型裁量労働制の実施のために
 労使委員会で決議をします

届出(すみやかに)

4)対象となる労働者の同意を得ます 

 

5)3の決議に従い企画業務型裁量労働制を実施します

定期報告
(決議から6カ月以内ごとに1回)

 

6)決議の有効期間(3年以内とすることが望ましい)の満了(継続する場合は3へ)

※対象となる事業場
いかなる事業場においても導入できるということではなく、「対象業務が存在する事業場」です。
具体的には、以下の事業場が該当します。
1. 本社・本店である事業場
2. 1のほか、次のいずれかに掲げる事業場 
   (1) 当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行なわれる事業場
   (2) 本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に
    大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等である事業場

 
個別の製造等の作業や当該作業に係る工程管理のみを行っている事業場や本社・本店又は支社・支店等である
事業場の具体的な指示を受けて個別の営業活動のみを行っている事業場は、企画業務型裁量労働制を導入する
ことはできません。
 
企画業務型裁量労働制は残業代対策として有効ですが、規制が厳しく導入が難しい
と言えます。

したがって、労働諸法に詳しい専門家に依頼された方がよいでしょう。

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