パワー・ハラスメント問題

パワハラとは

パワハラとは、パワーハラスメントの略称です。このパワーハラスメントについては、セクハラと同様、
これを直接的に処罰するような法律はありません。

したがって、パワーハラスメントの法律的な定義も存在しませんが、一般的には、
上司が職務上の権限を濫用して嫌がらせを行うことを指すことが多いようです。

労働者に対する嫌がらせ、いじめ、暴力、暴言、叱責、差別など、パワハラには様々な類型があります。
 
会社は、社員に対して良好な職場環境を維持する
義務(安全配慮義務、職場環境配慮義務)を負っています。


もしパワハラが発覚したときに適切な対策を講じなかった場合には、この良好な職場環境を維持する義務を
果たさなかったとして、会社が損害賠償責任等を問われることもありますので、注意が必要です。
 
 

会社の責任

会社がパワハラに関して損害賠償責任を問われるのは、
①使用者責任を負う場合と、②職場環境を維持する義務を怠った場合が考えられます。

例えば、上司から受けたパワハラが原因でうつ病となり、仕事が出来なくなってしまった場合には、
パワハラを行った上司とともに、会社の使用者責任も問われます(民法715条)。
その結果、数年分の年収が請求される可能性も十分に考えられます。

この場合、たとえ会社がパワハラ行為を指示していなかったとしても、仕事に関連した嫌がらせであれば、
上司だけでなく会社も責任を負わなければならないのです。
 
パワハラは職場環境を常に観察していなければ、見逃してしまう可能性の高い問題です。
だからといって、訴訟を起こされてから対応を急いでも「後の祭り」です。

パワハラに関して従業員から相談や苦情の申し出があれば、早急に調査して適切な処置を施しましょう。
 
 

パワハラが発覚した場合の会社の対応

(1)実態調査

一口に「パワハラ」と言っても、その境界線を明確に定められるわけではありません。
上司として指導に熱が入りすぎたものかもしれませんし、部下が人一倍大げさに反応したのかもしれません。

こういった可能性も考えられますので、パワハラの相談や申告があれば、
まずは実態調査を行って事実関係の把握に努める必要があります。

該当する上司や部下へのヒアリングの他に、現場を目撃した従業員へのヒアリング、
上司と部下のメールのやりとり等についてチェックを行うべきです。

ヒアリングや調査を実施する場合は、「いつ」「だれが」「どこで」「何をしたのか」について記録するようにしましょう。
また、上司と部下との言い分が食違っている場合、メール等の客観的な資料の存在がとても重要となってきます。
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(2)懲戒処分の検討

パワハラが認められた場合には、パワハラを行った従業員に対しては懲戒処分を検討すべきです。
 
ただ、注意しなければならないのは、直ちに懲戒解雇を行うということはできないということです。

なぜなら、後に、懲戒解雇された従業員から「解雇権の濫用」等を理由に不当解雇だとして、
訴訟等を提起された場合、裁判所からはパワハラを防ぐ措置を怠っていたと判断され、
懲戒解雇が無効とされる可能性が高いためです。

パワハラの内容にもよりますが、まずは、譴責、出勤停止等の軽い処分等を
過去の処分事例を考慮しつつ、就業規則に基づいて行うべきです。
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(3)人事異動

パワハラを行った従業員を別の部署に異動することも一つの手段です。

また、その従業員が管理職であれば、マネジメントの役割を果たしていないという理由で
降格することを検討してもいいでしょう。

事前に定められている就業規則にもよりますが、これらの処分は懲戒処分に該当しないため、
懲戒処分と同時並行で行うことも可能です。
 
 

パワハラ問題への弁護士の対応

パワハラについても、セクハラと同様に次の3つの局面が考えられます。

 

(1)法的助言

詳しい事情を伺った上で、
①まず、当該行為がパワハラ行為にあたるか
②次に、パワハラ行為があったとすればどのような処分が適切か
③パワハラ行為でなかったとすれば、その後従業員にはどのように対応すべきか
等を専門的観点より適確にアドバイスします。
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(2)示談交渉

パワハラ行為を受けたと申告してきた社員、またはパワハラ行為を行ったとして懲戒処分等を受けた社員が、
会社の対応に不満を持ち、不適切だったとして争ってきた場合には、弁護士が御社に代わって交渉にあたります。
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(3)訴訟

上記のアドバイスに従って対応したにもかかわらず、訴訟を提起されてしまった場合には、
事実関係をよく把握している弁護士が御社の対応が適切であったことを代弁して戦います。
 
また、上記のアドバイスを受けずに訴訟を提起されてしまった場合でも、
弁護士が出来る限り御社の対応の正当性を主張し、ダメージが最も少なくなるように最大限努力します。

 

専門家に相談しましょう

以上まででパワハラが発覚した場合の大まかな対処方法を説明してきましたが、実際には、
会社や部署ごとに環境が異なる状況でパワハラに該当するか否かを判断することは難しいでしょう。

また、パワハラだと判断できた場合でも、適切な処置を講じることができなければ、
そのことに対する責任が問われてしまいます。

したがって、パワハラの相談や申告を受けた場合には、
労働諸法に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

 

弁護士(法律事務所)を外部相談窓口として活用する

企業の方に是非お勧めしたいのは、御社内部ではなく、弁護士(法律事務所)をパワハラ等の
相談窓口として定め、社員の方々に周知しておくという方法です。
 

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